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守備の個人戦術をグループで実践する為に必要な練習法!マンツーマンからゾーンディフェンスの理解を深める

サッカーの指導を学ぶことができる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、指導経験の浅いコーチに向けて、U-6~U-10年代を指導する際の参考になる動画を配信中だ。

今回のテーマは「ボールを奪い切るための守備トレーニング」。講師を務めるのは、SALTZ FC U-15監督の中払大介氏だ。中払氏はアビスパ福岡や京都パープルサンガでMFとして活躍し、現在は福岡県の強豪クラブSALTZ FCでU-15の監督を務めている。

COACH UNITED ACADEMY動画前編では「ボールに行く、奪い切る1対1」をテーマに、基本的な守備の姿勢や腕の使い方について解説した。後編では、それをさらに発展させ、守備の質を上げる攻撃のトレーニングを紹介したい。(文・鈴木智之)

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攻守において相乗効果が期待できるトレーニング法

後編最初のトレーニングは、前編で実施したトレーニングのグリッドサイズを24m×24mへ拡大。その中で「5対5+フリーマン」を行う。

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中払コーチは「グリッドが広くなったことで、攻撃側は幅を使ってボールを回すこと。守備側はボールを奪う時に集結し、攻撃時には広がって適切な距離感と立ち位置を取ることを意識させます」と狙いを語る。

中払コーチは選手たちに「グリッドが広くなったよね。何が変わったの?」と問いかけ、「ボールを奪いに行く姿勢は継続しよう。コートが広くなっても、それは変わらないよ」「守備は複数人で奪いに行き、奪い切る。抜かれても構わないから、まずはボールに行くことが大切」と前編からのテーマを繰り返していく。

攻撃では「幅を取ること」を強調。一人が幅を取り、空いたスペースを仲間が使うことで、効果的なボール保持やチャンスメイクに繋がる。

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そのために必要なのが、首を振って周囲の状況を得ることだ。中払コーチは「幅を取るために何を意識すべきか」を問いかけ、「周囲を確認しなければ、自分の位置も相手の位置も把握できない。パスを出した後に周りを見て、相手との距離を意識し、相手のギャップを広げることで、ボールが回しやすくなる」と説明した。

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さらにステップアップとして、攻撃時の「相手のライン間でのポジショニング」「小さい三角形をたくさん作る」「テンポとリズム」について言及し、それに対してどう守備をするかという視点でトレーニングしているので、全容は動画で確認してほしい。

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ゾーンディフェンスへの移行と継続した守備の個人戦術

続いてのトレーニングは「マンツーマンからゾーンDFへの移行」をテーマに「5対5+3フリーマン」を実施。数的不利の状況でゴールを守り、ボールを奪って攻撃につなげる練習を行う。

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中払コーチは「これまで学んだマンツーマンでの守備からステップアップし、数的不利な状況でどのように守備をするか。マンツーマンではなく、ゾーンで対応しながら、適切なタイミングで複数の選手でプレスをかけることを意識させます」と説明する。

守備に関しては「強度を維持しながら、長い距離でもしっかり寄せていくことが重要」とアグレッシブな守備を強調。

さらに「(守備側が)数的不利の状況でマンツーマンでつくと相手が余る。そのため今度は、ゾーンで相手を見ることをしないといけない」と説明し、1人の選手が2人の選手に対応することができる「中間ポジション」を取ることを指導。その上で「相手を見ながら、ボールが入ったところに強く行く」と判断の重要性を伝えていった。

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他には、適宜プレーを止めながら、どこのスペースが危険か、そのためにどこの位置に立ち、ボールの動きに合わせてプレスに行くかをアドバイス。「マンツーマンからゾーンへの移行を覚えよう」と、頭の中に働きかけていった。

守備の際に気をつけなければいけないのが、相手のドリブル突破だ。中払コーチは「縦のドリブルを許してしまうと、数的不利な状況がさらに悪化する。縦のドリブル突破を防ぐことが最優先」と話し、「ゾーンで守りながらもプレスバックをして、ボールに対して積極的に行こう」と助言していた。

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COACH UNITED ACADEMY動画では、守備強度の高い中で攻防を繰り広げる様子が収録されているので、ぜひ動画を見て、コーチングによるプレーの変化を感じてほしい。

中払コーチはトレーニングのまとめとして「試合中の様々な変化を、選手自身が感じ取って対応することが重要です。そのため私は、ある程度プレーさせた上で、選手自身に答えを見つけさせ、ヒントを出しながら段階的にステップアップしていくことを大切にしています」と語った。

そのあたりの指導方針も踏まえて動画を見ていただくと、どのように段階を経て指導しているかが、より理解できるだろう。興味のある方はぜひ、COACH UNITED ACADEMY動画を確認していただければと思う。

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【講師】中払大介/
静岡県立清水東高校卒業後、アビスパ福岡や京都パープルサンガでMFとして活躍しプロサッカー選手として14年間プレー。京都では天皇杯優勝も経験。J1、J2通算346試合出場。引退後はサッカー解説者としてスカパー!のサッカー解説者や福岡のFBSでスポーツコメンテーター、そしてDAZNの解説者として活躍、福岡県SALTZFCではU-15監督を務める。
A級ジェネラルライセンス保持