06.05.2025

神奈川県大会優勝の強豪チームから学ぶ！FC PORTA流 対人ドリブルテクニックの磨き方

サッカーの指導を学ぶことができる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、指導経験の浅いコーチに向けて、U-6～U-10年代を指導する際の参考になる動画を配信中だ。

今回のテーマは「FC PORTA流 対人ドリブルテクニックの磨き方」。相手の守備ブロックを突破し、決定的な場面を作り出すために、ドリブル技術は欠かせない要素となっている。

そこで今回は、神奈川県の強豪クラブ・FC PORTA代表の谷口凱哉氏に、ドリブルテクニックを磨くトレーニングを紹介してもらった。FC PORTAは「PORTA BASE」など、選手としてクリアしなければいけない基準を明確に示し、Jクラブに負けないタレントを輩出している注目のクラブだ。

そんなFC PORTAでは、どのようなトレーニングを行っているのだろうか？　ビギナーコーチでも実践しやすいシンプルな内容でありながら、細部へのこだわりが試合でのプレーに直結する、質の高いトレーニングの秘密に迫った。（文・鈴木智之）

実際の試合を想定した速ドリ、移ドリで「運ぶ」「剥がす」スキルを習得

最初のテーマは「運ぶ」「剥がす」を意識したドリブル練習。谷口コーチは「ボールを広いスペースへ運ぶこと、剥がすことを意識してトレーニングを行います。動かないマーカーから動く人に変化させることで、目の前のスペースだけでなく、奥のスペースを確認する意識づけを行います」と説明する。

トレーニングでは「速ドリ→移動ドリブル」を実施。最初はマーカーの間を素早くドリブルし、次に歩いてくる人の間を素早くドリブルする。

谷口コーチは「体の中心にボールを置き、親指・小指を使って姿勢良くボールを運ぶこと。奥を覗くイメージを持ちながら、手前だけに集中しない」と、先の相手を見据えた判断を求めていく。

ほかに「体の向きを変えながら、相手を誘うイメージを持って」「ボールだけじゃない、体もちゃんと動かして騙そう」など、相手を欺くためのボディフェイクや肩の揺らし方など、デモンストレーションを交えながら指導していく。

続いて「剥がす」ドリブルでは、ボールタッチの変化を重視。「剥がすと運ぶでは、タッチのクオリティが変わる」と説明し、「ボールを突くのではなく、押し出すイメージを持って」「トップスピードで剥がしに行ってもいいし、運んでからグッと剥がしてもいい。全部同じテンポにせず、緩急を混ぜながらいこう」と、デモンストレーションを披露。質の高いお手本を見せることで、選手にプレーイメージが伝わりやすいところも注目だ。

さらには、人間をかわしていくドリブルにトライ。谷口コーチは「1個つづドリブルしない。1個進入で終わらず、2個目、3個目に入っていく」と、実際の試合をイメージした声をかけていた。

また「片手を上げた方にかわす」「守備のスピードを上げる」など、徐々に実戦に近づけていくオーガナイズが印象的だった。その様子はCOACH UNITED ACADEMY動画で確認してほしい。

ボールを奪われない為に「隠すこと」「正対すること」も身に付ける

2つ目のトレーニングは「対人を想定したドリブルスキル」をテーマに実施。マーカーをジグザグに配置し、より実戦的な状況を設定。狭いスペースで「隠すこと」「正対すること」を意識したトレーニングを展開していく。

設定としては、コーンをジグザグに置き、その間を進みながら、駆け引きを入れたドリブルを行う。

まず取り組むのが、ボールを相手から「隠す」技術。谷口コーチは相手（コーン）から遠い足でボールを保持しながら、腕を使って身体でボールを隠すテクニックを実践。

さらに、体の中心でボールを持つ「正対」に移行。同じテンポではなく、動きに緩急をつけることを重視し、ボディフェイントやアウトサイドでの切り返しなど、様々な技術を組み合わせることを推奨していた。

最後に、運ぶ、剥がす、隠す、正対するをミックスしたドリブルにトライ。前から来る相手に対して、どの技術を使うかを判断しながらドリブルでかわしていく。

FC PORTA流指導の特徴は、技術習得と状況判断の両立にある。単純な技術練習に留まらず、常に実戦を意識した声かけと段階的に設定を変えていくことで対応力を導き出し、選手の成長を促している。

このような質の高いトレーニングによって、FC PORTAはJクラブに負けないタレントを継続的に輩出しているのだろう。

今回の動画は指導経験の浅いコーチにとって、技術指導と状況判断指導のバランスを学ぶ貴重な教材となっている。ぜひ繰り返し見て、日々のトレーニングに役立てていただければと思う。

【講師】谷口凱哉／
愛知県名古屋市出身、幼稚園年中で地元サッカースクールでサッカーを始める。
小学6年生で愛知県トレセン、東海ナショナルトレセンに選出、高校2年時には東海トレーニングキャンプに参加（愛知県内高校生代表5名）。2018年、大学1年時に現FC PORTA監督の羽毛勇斗氏と出会いサッカーコーチへ転身、大学2年時にFC PORTAを創設。現在では神奈川県の強豪チームとして成長し、FC PORTAの代表を務める。