06.16.2025
選手個々がつながり、チームとして攻撃を展開する！ ジュニア年代で身につけたい「ペアリング」の概念
サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。
トレーニングを紹介してくれたのは、指導歴12年目を迎え、小学生を対象に2つのスクール（蹴和サッカースクール/対人式スクール）と1つのチーム（FK JADRAN）で指導を行う、Corsole FA代表の清宮優斗コーチだ。
清宮コーチは「今回は実践的なトレーニングを用いて、ペアリングの概念を伝えていきます。サッカーはボールとつながるのではなく、人とつながるスポーツだということを伝えていければと思っています」と話す。
今回の後編では「ボールを前進させるために、ペアリングを実践形式で取り組む」をテーマに、攻撃だけでなく守備においても、ペアリングを意識したプレーにチャレンジしていく。（文・鈴木智之）
つながるためのコーチング
後編最初のトレーニングは「2対2+サーバー」。清宮コーチは「自分がつながるんじゃなくて、味方同士でつなげてあげよう」と声をかけ、コーチングの重要性を伝えるとともに、「誰とつながっている？」などとシンクロしながら伝えることで、味方同士がつながることへの意識を高めていく。
続いて「サーバーからサーバーへの縦パスが入ったら、ワンタッチで次の人が受けなければならない」というルールを設定し、判断力とテクニックの両方を求めるトレーニングを展開。
清宮コーチは「どんなペアリングが想像できる？」と問いかけ、事前の準備とポジショニングの重要性を強調。「誰とつながるべき？誰と誰をつなげるべき？」という質問で、複数の選択肢を持つことの大切さを伝えていく。
さらに「ペアリングは誰でもできる」と話し、ボールを受ける選手だけでなく、パスを出す選手、さらには周囲の選手もペアリングに参加できることを説明。「だからコーチングは重要」と、チーム全体で連携することの重要性を強調していった。
守備のペアリングも習得
前編では攻撃時のペアリングにフォーカスしていたが、ここでは守備におけるペアリングの概念も取り入れていく。
清宮コーチは「守備もペアリングできます」と話し、2人で連携して守備をすることを伝授。具体的には、一人がボールホルダーにプレッシャーをかける際、後方の味方と距離がある場合、後ろの選手が「行くな」「止まれ」といったコーチングをすることで、２人の距離を近づける時間を作り、協力して相手にプレスをかけることができるようになる。
その際に「2人いるのに、黙っていたらバラバラになってしまう。コーチングしながらやった方がわかりやすい」とアドバイスし、守備時のコミュニケーションの大切さを説いていった。
スリーゾーンゲームで試合に近づける
後編最後のトレーニングは「スリーゾーンゲーム」。フィールドを3つのゾーンに分け、攻撃側はゾーン間の移動が可能。守備側は移動不可というルールで実施。（攻守が入れ替わった場合、元いたゾーンに戻ってから守備をする）。
シュートは相手ゴール側の最終ゾーンからのみ可能というルールにより、ボールを前進させるためのペアリングがより重要になる。
さらに攻撃側にも制約を加え、シュートゾーンに入ったら5秒以内にシュートを打つルールを追加。ただし、一度ゾーンから出ればリセットされるため、状況に応じた判断力を養っていく。
最終段階では、攻撃側はボールを失った瞬間にその場所のゾーンから動けないなど、ルールを次々に変えていくことで難易度を高めている。
また、今回のトレーニングではビブスを着用したが、ヘッドバンドをつけると「顔を上げて周りを見る」ことにもアプローチすることができる。そのあたりの考え方についても参考にしてほしい。
サッカーは人とつながるスポーツ
清宮コーチはトレーニングの総括として、「ペアリングを無意識下でできてくると、相手だけを見てプレーすることが可能になります」と説明。
また「サッカーはボールとつながるのではなく、人とつながるスポーツという概念が伝われば嬉しい」と、今回のトレーニングで伝えたかったメッセージを改めて強調した。
このペアリングの概念は、チームとしてボールがうまくつながらない、ポジショニングをどう教えていいか分からないといった悩みを持つ指導者にとって、非常に有効な指導法となるだろう。
前編・後編を通じて、清宮コーチが実践的な場面でのペアリングの活用方法を丁寧に解説しているので、ぜひ「COACH UNITED ACADEMY」の動画を繰り返し見て、チームの指導に活かしていただければと思う。
【講師】清宮優斗／
埼玉県にて18歳の時に指導者を志しその道へ。指導者8年目からはフリーランスで活動を始め、これまでに6つのスクールやチームにて指導。現在は2つのスクールと1つのジュニアチームで指導をしており、自身のCorsole FAでは、パーソナルトレーニングという形で、『関わる人の心に寄り添う』という指導者フィロソフィーのもと、選手のみならず保護者の心にも寄り添う形で活動している。埼玉県坂戸市トレセンスタッフとしても活動。
取材・文 鈴木智之
