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目視と間接視野の両方で情報収集し最適なプレー選択に繋げる!自然と観る力を高めるパス&コントロール

サッカーの指導を学ぶことができる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、指導経験の浅いコーチに向けて、U-6~U-10年代を指導する際の参考になる動画を配信中だ。

前回より、エルキーオフットボールアカデミー代表の米山大輔氏による「間接視野を養うパス&コントロールのトレーニング」を紹介中。米山氏は現役時代、セレッソ大阪やサガン鳥栖、ロッソ熊本(当時)、ツエーゲン金沢でプレー。引退後、指導の道に進んだ。

サッカーでは状況を認知することが大切で、ボールばかりを見ていては、周囲の情報を得ることができない。そこで今回は、間接視野を使ってボールを見る力にアプローチすることで、視野を確保して、次のプレーへスムーズに繋げる能力を高めていく。(文・鈴木智之)

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実戦で頻出する状況で間接視野を使ったボールの受け方を磨く

前編に続き、3つ目のトレーニングは「対面パス・パターン2」。2人で向かい合い、四角のマーカー内でパス交換を行う。

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米山コーチは「四角の目印となるマーカーのうち、背中側2つを色違いで配置します。パスを出す側がボールを蹴る瞬間に色を指定し、受ける側は間接視野で指定された色のマーカーを捉え、そのマーカーから遠い方へトラップしてリターンパスを行います」と説明する。

このトレーニングのポイントは、実戦での相手の動きを想定することにある。「指定された色の方向から相手が来ると予想したら、遠い場所、相手から離れてコントロールした方がボールを取られにくい。そのために、相手が来ている方を確認する練習です」と意図を語る。

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重要なのは、首を大きく振って確認するのではなく、間接視野でマーカーが目に入る位置まで、軽く首を動かすこと。「首を振りすぎるとボールを見失う。見える位置まででいいから、相手の顔とマーカーの両方が見える角度を探してください」とアドバイスしていた。

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周囲の状況を確認し立ち位置やパス方向を決める3対1ロンド

続くトレーニングでは「3対1ロンド」を実施。マーカーを三角形に、4歩から5歩の間隔で設置する。通常のロンドとは異なり、攻撃側は三角の外でボールを受けてもよいが、パスを出すときと受けるときは、必ずマーカー間を通さなければならないというルールだ。

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その理由を米山コーチは「相手から離れた位置でボールを受けることで、守備側のボール奪取の時間を稼ぐことができる。トラップとパスの精度が向上し、最適なプレー選択につながる」と説明する。

米山コーチが重視するのは「立ち位置」だ。「自分が立つ場所を分かっていない人は、それだけで損している。プレッシャーを受けてトラップする人とプレッシャーを少なくしてトラップできる人は、トラップの正確性が全然違う」と強調。

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さらに米山コーチは「相手の近くでボールを受けると、トラップしてからパスを出すまでに相手が近づいてきてしまう。でも後ろに下がれば、ディフェンスが来るのに時間がかかる。自分が得する立ち位置を、ボール、相手を見ながら、どこに立てば慌てずにボールをコントロールできるかを考えよう」と実演。

さらにバリエーションとして、右から来たボールは必ず左足でファーストタッチ、左から来たボールは右足でファーストタッチするルールを設定(アンダー3タッチ)。

「右から来たボールを左足でコントロールすれば、体の向きは両方見えるし、相手に取られにくい場所にトラップできる。両方へのリターンパスもできるし、遠いところにボールを運べる」と、遠い足でのトラップの利点を示していた。

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米山コーチは選手に対し「ボールの移動中に、少しでも動けば角度ができて、体の向きを作りやすい。ボールが動いたら、5㎝、10㎝でも場所を変えて、近づいた方がいいのか、離れた方がいいのかを考えよう」と、常に動き続ける意識を持つことの重要性を伝えていた。

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今回のトレーニングは技術習得にとどまらず、実戦での状況判断能力向上を意識した内容となっている。間接視野を活用した情報収集、適切なポジショニング、そして相手の動きを予測したプレー選択など、サッカーの基本となる要素を低学年のうちから身につけることができる指導内容だ。

技術指導と戦術理解を同時に高める方法として、参考になるトレーニングメニューなので、ぜひ繰り返し見て、日々のトレーニングに役立てていただければと思う。

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【講師】米山大輔/
三重県四⽇市市⽴暁⾼等学校を卒業後、セレッソ⼤阪、サガン⿃栖、ロッソ熊本(現ロアッソ熊本)、ツエーゲン⾦沢でプレーし、プロサッカー選⼿としての経験を積む。引退後は、YF NARATESORO(奈良)で、指導者としてのキャリアをスタートし、セレッソ⼤阪、バルサアカデミー品川校&横浜校、横浜FCでコーチして活動。2023 年にエルキーオフットボールアカデミーを設⽴し、⾃⾝が積み上げてきた知⾒を⼦供達へ還元するために⽇々奮闘中。