08.04.2025
神奈川で存在感を発揮するFCポルタが実践! 3対3、5対5で学ぶ、ゴール前の粘り強い守備
サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。
前編に続き、今回のテーマは「無失点にこだわる、ゴール前の守備の攻防」。FCポルタの山形直人コーチによる後編では、より試合に近い形でのトレーニングを展開。3対3、5対5という設定の中で、守備の連携、攻撃から守備への切り替え、そしてコミュニケーションの重要性を高めていく内容となっている。
FCポルタは毎年のようにJクラブのジュニアユースに選手を送り込む強豪で、選手育成に定評のあるクラブだ。前編で対人能力やゴール前での粘り強さに意識を向けた選手たちが、後編ではグループとしての守備にどうチャレンジしていくのか。その様子を紹介したい。(文・鈴木智之)
ゴール前の設定で3対3を実施
後編のテーマは「シュートを決めさせない! 攻守の切り替えの速さと、粘り強い守備を習得する」。山形コーチは「実戦に近い状況での守備の連携や攻撃から守備への切り替え、そしてコミュニケーションの重要性を高めていきます」と話し、トレーニングに入っていった。
トレーニングは「ショートサイズ シュートゲーム」を実施。ゴール前の設定で攻撃側と守備側に分かれて3対3+GKを行う。攻撃側はゴールを目指し、守備側はボールを奪い、攻撃側の背後にある2箇所のマーカー間の突破を目論む。
山形コーチは攻撃に関して「ゴールを目指す」「シュートを打ち切る」ことを意識づけするとともに、守備側にも実際の試合を想定し、「奪ったボールを大切にして、ライン突破を目指そう」と声をかけていく。
さらに「取り切ったボールを、どれだけ早くアタックに繋げられるか。 ゴールは2箇所あるんだから、相手を騙しながら行こう」とアドバイスを送っていった。

攻守の素早い切り替えを求める
山形コーチはトレーニングを見ながら、「攻撃からディフェンスに変わった時の切り替えが遅い」と指摘し、「守備をもっとやらないと」「首を振って状況を把握しよう」と、素早い切り替えの重要性を繰り返し強調していた。
他に「ゴール前だからすべて奪いに行くのではなく、ゴールを隠しながらブロックする、シュートが入らなければOK」とデモンストレーション。さらにルールを変更して、プレーのバリエーションを増やしていくので、詳細は「COACH UNITED ACADEMY」動画で確認してほしい。
試合を想定した5対5の攻防
後編ラストのトレーニングは「アタック・ディフェンス継続ゲーム」。5対5+GKを通じて、試合に近い状況で攻撃と守備を同時に高めていく。
このトレーニングは、コーチの笛の合図で攻守が入れ替わるルールを採用。山形コーチは「ちょっと狭くなった試合」と表現し、実際の試合における激しい攻防を再現していく。
攻撃側は常に攻撃を続け、守備側がボールを奪ってもコーチにパスを出すまでは守備を続けるという設定で、選手たちの判断力と体力を同時に鍛えていく。
ここでも「切り替えを速く。味方とコミュニケーションを取って戦おう」と、選手主体のコミュニケーションを求めていった。
きつい状況での粘り強さを養う
5対5はプレーが連続的に続くので、選手たちの運動量が格段に上がる。山形コーチは「きつい状態で、やれる選手になろう。きつい中でどれだけ守れるか」「もっと言っていい。負けたくないなら戦わせよう」と、厳しい状況下でも質を落とさないことを要求。
守備面では「ゴールはどこにある? まず中を閉めて。外は怖くない」と、ゴール前の守備における優先順位を明確化。攻撃には「コースを狙ってシュートを打とう」とアドバイス。
全体に向けて「プロになりたい、上に行きたいと思うんだったら、個人がどれだけ大事にやるか」と、向上心に火をつける指導を展開していった。
以上で後編のトレーニングは終了。前後編を通じて印象的だったのが、プレー強度だけでなく、メンタル的な強度にもアプローチする指導方法だ。
選手間のコミュニケーション、切り替えの速さ、そして厳しい状況でも諦めずにプレーすること。これらの要素が組み合わさることで、質の高いトレーニングに昇華していく様子が収録されている。
ぜひ動画を見て、トレーニングの空気感、コーチ、選手たちの真剣さを感じてほしい。大きな刺激になること、間違いないだろう。
【講師】山形直人/
2018年、高校卒業後に地元茨城のサッカー少年団にて指導者としてのキャリアをスタート。2020年には同じく地元茨城にてサッカースクールの立ち上げ、ジュニアユースおよびジュニアチームを設立。地域の育成年代の指導に尽力した。2023年、FC PORTAの羽毛との出会いをきっかけに同クラブのコーチに就任。FC PORTAコーチ就任後、神奈川県日産CUPにて2024年、2025年と2年連続で無失点優勝という快挙を達成。現在もFC PORTAのコーチとして、選手の技術力・人間力の育成に取り組みながら、日々トレーニングを通じてチーム強化と個々の成長をサポートしている。
取材・文 鈴木智之