09.22.2025
ボールを保持して前進する方法、教えます! 元バルセロナ監督から学んだ「攻撃の優位性を構築し、相手の守備を崩す」トレーニング
サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。
サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。
今回のテーマは「相手の守備が嫌がる攻撃とは!? 攻撃の優位性を構築し、相手の守備を崩す」。組織化が進む現代サッカーにおいて、ボール保持時にどこに立ち位置を取り、どのように優位性を作って前進していくかは、ゴールを奪う上で重要なファクターである。
そこで今回は、AMORサッカースクール代表の國重大樹コーチによるトレーニングを紹介したい。國重氏は元バルセロナ監督から直接指導を学んだ経験を持ち、年に数回は選手を率いて、スペインの国際大会へ参戦。バルセロナ流の戦術的アプローチを日本の育成現場に落とし込み、世界基準の選手育成に取り組んでいる。
スペイン流の指導を掲げるAMORサッカースクールでは、どのようなトレーニング、コーチングをもとに、攻撃の優位性を身につけていくのだろうか?(文・鈴木智之)
相手と駆け引きをしてボールを保持する
COACH UNITED ACADEMY動画、前編のテーマは「攻撃の優位性を作るための原理原則」。そのスタートとなるのが「パス&コントロール」トレーニングだ。
設定としては3対1で行い、中央にDFとパスの受け手、上辺と底辺にパスの出し手がスタンバイ。中央は攻撃と守備1対1の状況なので、攻撃の選手は守備側のマークを外して、相手の背中側でパスを受け、逆側の選手にパスを通す。
このとき、攻撃側の選手にタイトなマークがついていたら、中央の選手を飛ばして、逆側の選手にパスを出し、中央の選手は守備側の背後から回り込み、パスを受けてワンツーを行う。
3つ目の選択肢としては、守備側が縦パスと中央の選手の両方をケアできるポジションにいる場合は、攻撃側の選手がパスの出し手に近寄り、守備側を食いつかせておいて、ワンツーで逆側にパスを出す。そのボールに対して、中央の攻撃側の選手は「3人目の動き」としてパスの受け手に近寄り、リターンパスを受けるといった形だ。
國重コーチは、サイドに広がった攻撃側の選手に対し、守備の選手がついてきたら「サイドにパスを出すふりをして、縦にパスを入れる。相手と駆け引きしよう」と実演。
このトレーニングのポイントになるのは、相手と駆け引きをしながら立ち位置で優位な状況を作り、ボール保持を継続すること。「どこに立てば、目的の選手と繋がれる?」といったコーチングを通じて、考え方と具体的な方法を指導していく。

運ぶドリブルで数的優位を作る
ここからは「2対2+2サーバー」の設定で、進行方向をつけたボール保持をトレーニング。
國重コーチは1つ前のトレーニングに近い状況が出たらプレーを止めて、「相手の背中でパスを受けたら、相手と戦わずに勝てる」「さっきやったパス&コントロールと同じ」とデモンストレーション。トレーニングの関連性と継続性を指摘し、前のトレーニングで学んだことを活かせるように落とし込んでいく。
途中から、コートサイズを狭くすることで「サーバーの立ち位置が重要になる」とアドバイス。サーバーの選手がフリーな状況を活用し、運ぶドリブルをすることの効果を説明。「ドリブルでコートの中心に運びながら、最終的にどっちに向かうのか決める」「相手に2つ選択肢を与えるように」と、駆け引きの重要性を説いていった。
さらに、守備側についても言及。「パスを回されていたら、一度リセットしよう」と話し、守備を安定させるための立ち位置と身体の向きを具体的に提示しているので、詳細は「COACH UNITED ACADEMY」の動画で確認してほしい。
サッカーの原理原則を理解しやすい内容
3つ目のトレーニングは「3対3+2フリーマン(4対4)」。コーン間をドリブル通過すれば得点(ラインゴール)という設定で実施。國重コーチは「どこでボールをもらったら、前の選手を越えられそう?」と問いかけ、ポジショニングによって、数的優位を作る方法をアドバイス。
「近くの相手に、1人で2人分、守られないポジション。つまり相手から離れるポジションを取り続けるよ」と声をかけていた。他に、味方がボールを持っている状況で、どこに立てば数的優位を作ることができ、ボールを前進させることができるかを繰り返しトレーニング。
今回の動画は、國重コーチのわかりやすい言葉選び、簡潔なアドバイスによって、サッカーの原理原則を理解しやすい内容になっている。またジュニアに限らず、すべての年代で知っておきたいサッカーの考え方を提示しているので、全年代の指導者、必見の動画と言えるだろう。
次回の後編では、3対3+2フリーマン、4対4+1フリーマン2GKを通じて、実戦に近づけた内容に入っていく
【講師】國重大樹/
元バルセロナ監督から直接指導を学んだ経験をもとに、福岡・東京・神奈川に「AMORサッカースクール」を設立。現在も年に数回スペインに渡り、スペインのトップ指導者から最新の育成理論と実践を学び、日本の指導現場に落とし込んでいる。また、年に数回は選手を率いてスペインの国際大会へ参戦。FCバルセロナ、レアル・マドリードをはじめとした世界トップクラブのカンテラと対戦し、育成の最前線を体感できる環境をつくっている。さらに、国際大会への出場選手を決めるセレクションを日本全国で実施。「世界基準の育成」を掲げ、日常のスクールから海外挑戦まで、一貫した育成環境を提供している。
取材・文 鈴木智之