09.25.2025
プロのスポーツ指導者として安心して暮らせる選択肢を増やす──JAPANサッカーカレッジで実施した「パラレルキャリア」勉強会レポート
70%以上が「若い指導者が足りていない」
コーチやトレーナーとして現場に立ち続けたい。けれど、生活の安定も同じくらい大切だ。スポーツ現場に身を置く若手ほど、この2つの願いの板挟みにあう。イースリーの調査でも、地域の町クラブで指導する多くの若いコーチが、プロのスポーツ指導者として生計を立てるためにアルバイト等を掛け持ちしながら日々をやりくりしている実態が見えてきた。やがて20代の終盤、結婚や将来の設計を考えるタイミングで、指導から離れる決断をするケースが少なくない。クラブ代表者に実施したアンケートでは、70%以上が「若い指導者が足りていない」と回答しており、人材の細りは現場の課題として確かに存在している。
若手指導者の"ドロップアウト"をどう止めるか
現場の契約形態は業務委託が中心だ。うまくキャリアを築いた先輩がいる一方で、その陰では多くの若手がドロップアウトしてしまう。背景には、働き方や仕事の探し方、キャリア形成の基本に触れる機会が乏しいことがある。だからこそ、私たちコチキャリは「指導を続けること」を前提に、短時間正社員/社保付きパート/業務委託など、個々の生活リズムに合わせた就労設計を提示し、現実的なパラレルキャリアを一緒に形にしていく支援を続けている。
専門学校でキャリア授業を実施
今回、その取り組みの一環として、日本唯一のサッカー総合専門学校であるJAPANサッカーカレッジ(学校法人 国際総合学園)で、コーチ・審判専攻科とサッカーコーチ研究科の2年生を対象にキャリア勉強会を開いた。狙いはシンプルだ。指導一本だけでなく、現実的な"並走の選択肢"を具体に示すこと。契約形態・収入・生活リズムの"本当のところ"を共有し、学生が安心して最初の一歩を踏める導線まで、その場で整えること。
スポーツ指導者の「現実」を理解
授業では、指導者のキャリアの現状を正面から扱い、契約形態や収入、生活リズムの実態を開示したうえで、平日時短や週4勤務+週休3日など、実際に無理なく回せる働き方モデルを示した。企業側の採用潮流として短時間正社員の広がりや、スポーツ人材のコミュニケーション力/問題解決力/チーム運営力といったトランスファラブルスキルの評価も具体例を交えて説明。求人の状況や、実際に挑戦できる職種の幅を提示した。
「参考になった」以上が90.5%
授業を受けた生徒のアンケート結果は明快だった。内容の理解は「わかりやすい」以上が100%、うち「とてもわかりやすい」は66.7%。参考度は「参考になった」以上が90.5%、うち「とても参考になった」は71.4%。卒業後も指導を続けたいは100%、プロコーチ志望は90.5%だった。同校では卒業生の多くがJリーグの下部組織とコーチ契約を結ぶため、比較的卒業後の安定は保障されているが、回答者のうち33.3%がコチキャリに相談したいと回答するなど高い関心度を生む結果となった。
在学中から"並走"を、卒業時には"雇用"まで
授業内容で特に心に残ったテーマは「指導者のキャリアの現状」と「パラレルキャリアの考え方」が上位だった。この授業は、入口にすぎない。在学中から並走の設計を具体化し、卒業時には短時間正社員/社保付きパート/業務委託のいずれであっても、将来安心して指導を続けられるキャリアにつなげていくことがコチキャリの目標だ。人材会社が専門学校の授業に入り込み、将来をサポートする取り組みは、まだ多くない。けれど、現場の課題に向き合うなら、教室から始めるのが早いと私たちは考えている。学生の理解は十分に届いている。次は、一人ひとりの迷いの中身に寄り添い、現実の一歩へ橋を架ける番だ。指導を続けたい。
その意思を、仕組みで支える。もしあなたが同じ迷いの中にいるなら、まずは気軽に相談してほしい。入り口は、公式LINEからいつでも開いている。
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