04.20.2026
パスの出し所がなくなった時にどうする?水戸ホーリーホックJYが実践する「自分でコースを作る」サポートの考え方
サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。
前回より「パスラインを作り続ける、連続的なサポート」をテーマに、水戸ホーリーホック・ジュニアユース監督の飯田優二氏によるトレーニングを公開中。
試合中、パスの出し所がなく困ってしまう状況は、あらゆるチームで起こりうる課題だ。そのような場面を少なくするために、受け手の関わり方やサポートの質の向上、そして出し手が自らパスコースを作ることがポイントになる。
後編となる今回は、攻撃方向をつけたポゼッションと、6対6+ゴールキーパーのゲーム形式でのトレーニングについて解説してもらった。(文・鈴木智之)

攻撃方向を意識したサポート
後編のテーマは「仲間と繋がりながら攻撃を組み立てる」。トレーニングは「3対3+2サーバー+1フリーマン」のポゼッション練習からスタートした。

反対側のグリッドにボールを運ぶことが目的となり、選手たちはファーストタッチでグリッドを越えるか、フリーマンやサーバーを経由して前進するかを判断しながらプレーする。
このトレーニングでは攻撃方向が設定されており、飯田監督がまず意識させたのが「攻撃方向を意識したサポート」だ。
途中からルールを変更し、サーバーへのリターンパスを禁止。これによりボールを受ける選手は、出し所がない状況を作らないよう意識し、次にパスを出せる位置で受けることが求められる。
自分でパスコースを作る
トレーニング中、飯田監督が強調したのが、ボール保持者がプレッシャーを受けて困っている場面での対応だ。

「サーバーへのリターンがないからまずは中の2人の選手、もしくはフリーマンと繋がれるように。パスコースがない状況になってしまったら、自分でボールを動かしてパスコースを作ること。それと同時に、周りの選手もただ立っているだけでなく、困っている味方にタイミングよく寄ってサポートしてあげることが大切。寄ってきた選手にパスを入れることで、相手が動き新たなギャップやスペースができる。その変化を見て、次の前進への選択肢を広げていく」
また、パスを出した後も関わり続けることを求めていく。
「パスして終わり、リターンがないから終わりじゃなくて、3人目でもらう意識を持って。パスを出した後も全員が関わり続けることが大事」
こうした連続的な関わりこそが、パスラインを作り続けるためのポイントと言えるだろう。
角度をつけてサポートし、味方のパスコースを作る
最後のトレーニングは「6対6+ゴールキーパー」のゲーム形式。前編・後編を通じて積み上げてきたサポートの考え方を、ゲームの中で発揮することが求められる。

飯田監督は「ゴールという目的から考えたサポートをしよう。(ボール保持者が)いい状況がずっと続くわけじゃないから、味方が困っている時は寄ってサポートすることで、前に運べるかもしれない。逆に自分が選択肢のない状況にならないよう、自分でパスコースを作ることも大事」と声をかけ、プレーに移っていった。
トレーニングで強調したのが「周りの選手と繋がるために、間のポジションをとること」「角度をつけてサポートすること」の重要性だ。
後方の選手がボールを持った際は、相手との間に入る選手と頂点に立つ選手が繋がることを求め、前を向けている選手がいれば「どんどんアクションを起こそう」と促した。
状況に応じて「寄る」「離れる」を使い分ける
動画では、意図的に関係性を作って動くことで、シュートに持ち込むことができた場面でプレーを止めて、ポイントを解説。そのあたりは「COACH UNITED ACADEMY」の動画で確認してほしい。
トレーニングの締めくくりに、飯田監督は練習を通じたサポートの考え方を整理。

「ボールを持っている選手の状況に応じて、サポートの仕方は変わる。ボール保持者がフリーな状態であれば、ゴールに近いところで受けることを優先する。困っているなら、寄ってサポートしてあげて、その後、自らが前向きになってゴールへ向かおう」
今回の動画は飯田監督のわかりやすいコーチングと、選手たちの質の高いプレーが収録されている。「パスラインを作り続ける」ための原理原則を学べる、指導者必見の動画と言えるだろう。ぜひ動画を繰り返し見て、指導の参考にしていただければと思う。
【講師】飯田優二/
水戸ホーリーホックユースからトップチームへ昇格し3年間プレーしたのち、タイで1年間プレーし現役を引退。2015年にトラウムトレーニングで指導者としてキャリアをスタートし、2017年から水戸ホーリーホックのアカデミーコーチとして活動。ジュニアからユースまで育成年代を幅広く指導してきた経験を持つ。現在はジュニアユースの監督として指導を行っている。日本サッカー協会公認A級ジェネラルライセンスを保持。
取材・文 鈴木智之

