05.07.2026
どんな選手にも言葉が届く!「自信のメカニズム」と「伴走型コミュニケーション」で信頼関係を築くスキル
サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。
前回より、株式会社43Lab代表でメンタルスキルコーチの清水利生氏による「選手と信頼を築く、コミュニケーションの取り方」をテーマにした動画を公開している。
今回の後編では、コミュニケーションが取りづらい選手、具体的には「自分NO」の構えを持つ選手や「自分OK・他人NO」の構えを持つ選手に対して、指導者がどのように働きかけ、信頼関係を築いていくかを深掘りする。
自信のメカニズム、2種類の自信、そして習慣化にかかる日数まで、指導現場ですぐに活かせる視点が詰まった内容は必見だ。(文・鈴木智之)

「自信」は4つの要素と2種類で成り立つ
後編のテーマは「コミュニケーションスキルを高めて、チームでの信頼関係を構築する」。
清水氏がまず取り上げるのは、前編でも紹介した「自分NO」の構えを持つ選手へのアプローチだ。自分への重要度が低く、自信を持てない選手に対しては、一度で変えようとするのではなく、何度もコミュニケーションを重ねる「伴走型アプローチ」が効果的だという。
「どのように伴走するのかというと、自己肯定感、自信をつけていってもらうことが効果的なので、自信をつけられるミュニケーションの取り方を考えることがポイントです」
自信をつけるアプローチの根拠として、心理学者アルバート・バンデューラが提唱した「自信を形成する4つの要素」を紹介。それが以下の4つだ。

・直接的達成経験
・代理的経験
・言語的説得
・生理的、情動的喚起
「COACH UNITED ACADEMY」動画では、これらに関して具体的に紹介。さらに清水氏は、サッカー現場に即した「2種類の自信」を提示する。
1つ目は「ボーナス型の自信」。試合の勝敗やプレーの成功、レギュラー獲得など、他者からの評価によって生まれる自信だ。しかしこれらは相手や他者が絡むため、自分だけではコントロールできないものである。
「ボーナス型の自信は入ったらラッキー、もらえたらラッキーな自信です。自分だけの努力では100%得られるとは限りません」
2つ目は「積み立て型の自信」だ。これはこれまでの取り組みや成長の積み重ねを糧にした自信で、自分自身でコントロールできる。自信を失っている選手には、こちらの自信を育てることが重要だという。
自信のメカニズムと「プラスの感情」の積み重ね
清水氏はさらに、自信がどのように形成されるかというメカニズムを解説。

「自信とは、過去の経験や記憶から出来上がります。行動に対してプラスの感情が繰り返しくっついていると、好き・できるという感覚が育ちます。逆に、行動するたびにマイナスの感情(ダメだ、まだまだ)がくっついていると、技術が伸びていても自信は育ちません。自信を失う努力を積み重ねてしまっている状態です」
技術はあるのに自信がない選手、逆に技術は高くないのに自信があふれている選手。この差が生まれるのは、行動ではなく感情が自信に大きく影響しているためだという。
そこで指導者に求められるのは、「できた感」を育てる仕掛けづくりだ。具体的なアプローチとして3つが示される。
1つ目は、できていることを「認めていい」と伝えること。
2つ目は、ミスではなく成功に目を向けること。
3つ目は、プレーに直接関係しない部分にある本人の長所を言葉にして伝えること。
「自分OK・他人NO」の選手への3ステップアプローチ
動画では「自分OK・他人NO」の構えを持つ選手へのアプローチも紹介。ここでは「肯定的なコミュニケーション」を取ることの重要性を伝えていった。

ロンドン大学の研究によると、人間の思考や行動を変えるには、平均66日かかるという。それを踏まえて「3段階のステップで2か月間、粘り強くアプローチを続けることで、選手の思考と行動は変わっていく」と総括した。
「COACH UNITED ACADEMY」動画では、2種類の自信の育て方や3ステップアプローチの具体的な声かけ例など、現場で実践できるコミュニケーションスキルを紹介している。
ぜひ動画で全容を確認し、日々の指導に取り入れていただければと思う。
【講師】清水利生/
山梨県韮崎市出身。プロフットサル選手としてFリーグでプレー。引退後にメンタルトレーナーに転身し、2020年に「株式会社 43Lab」を設立。現在は、オリンピック選手やW杯優勝選手など日本のみならず世界を代表する選手たちをサポートしている。サッカー界では鹿島アントラーズ、ジュビロ磐田と契約。講師として、企業の人材育成コンサルや講演会、ジュニア育成研修など幅広く活動中。紙面やwebでのコラム執筆も行っている。著書に「スポーツの本番に強くなる 子どもメントレ」があり、「全米NLP協会NLPプラクティショナー資格」、「スポーツメンタルトレーナー資格」、「行動心理士資格」、「上級心理カウンセラー資格」、「産業心理カウンセラー資格」といった多数の資格を持つ。
取材・文 鈴木智之

