05.07.2026
教えなくても伝わる!ボールを持っていない時の動き方を身につける、遊び型トレーニング
サッカーの指導を学ぶことができる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、指導経験の浅いコーチに向けて、U-8〜U-12年代を指導する際の参考になる動画を配信中だ。
今回のテーマは「教えなくても伝わる!初心者の子でも遊びながら、自然とサッカーが上手くなる練習法」。
「ボールを持っていない時に何をするべきか」は、サッカーの上達において重要な要素だ。しかし言葉で教えるだけでは、低学年や初心者の子にはなかなか伝わらない。
そこで今回は、生駒FC代表の奥田智氏に、ボールなしのパス回しとハンドパスゲームという2つのメニューを通じて、オフ・ザ・ボールの動き方とポジショニングを楽しく学べるトレーニングを実践してもらった。
奥田コーチは「ボールを受ける前に誰がフリーかを見ておくこと」をテーマとして掲げ、遊びを通じて選手たちの思考と判断力を自然に引き出していく。その様子は参考になること間違いなしだ。(文・鈴木智之)
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ボールなしのパス回し
前編のテーマは「楽しみながら認知能力を高める」。最初のメニューは「ボールなしのパス回し」。2チームに分けて行うが、文字通りボールは使わない。
ボールがない分、低学年の子や初心者の子でもミスが起こりにくく、周りの状況を把握してポジショニングを取ることに集中できる。
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具体的には、相手にタッチされる前に味方の名前を呼び、呼ばれた選手が手を挙げる「手挙げおにごっこ」形式で行う。相手チームにタッチされる前に味方の名前を呼ぶことで、「どこにフリーな選手がいるか」を体感的に学んでいく。
奥田コーチはトレーニングの中で「ディフェンスが来る前に離れてあげたら、時間ができる。できるだけそうしてね」と声をかけ、ボールを受ける前のアクションの大切さを繰り返し伝えていった。
続いて、ディフェンスをマンツーマンにすることで、攻撃側は「マークを外す動きをしながら、誰がフリーかを見ておく」という状況判断の要素が加わる。
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「走りながら考えたら視野が狭くなる。パスを受ける前に誰がフリーかを見ておいて、受けた瞬間にはもうパス先が分かっている状態で、余裕を持ってプレーしよう」と選手に求めていった。
ボールを使わない状況だからこそ、選手たちは自然と顔が上がり、周囲を見る習慣が身につく。このシンプルな仕掛けが、低学年や初心者でも取り組みやすいトレーニングのポイントだ。
ハンドパスゲームで広がりと判断力を高める
続くメニューは「ハンドパスゲーム」。足ではなく手でボールを扱うパスゲームだ。
足よりもミスが起こりにくく、自然と顔が上がるため、オフ・ザ・ボールの動きやポジショニングの判断に意識を集中しやすい。
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ルールはパスを10本つないだら1点。コーチ2名がフリーマンとして攻撃側に加わる形で進行する。守備側がボールをタッチするか、ボールを落としたら攻守が入れ替わるルールだ。
奥田コーチがこのトレーニングで強調したのは「広がること」の重要性だ。
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ボールがあると選手たちはどうしてもボールに集まりがちになる。しかし、あえてボールから遠ざかって広がることで、相手のマークを引きつけ、近くでのボール回しを容易にする効果があると説明した。
「遠くに離れることは、ボールを直接もらえなかったとしても効果的。相手を引きつけることで、近くにスペースができる」と奥田コーチ。
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ボールに絡まない動きにも意味があることを、ゲームを通じて選手自身が体感できるよう工夫されている。
ボールの反対側にフリーがいる
また、「守備は近いほうがやりやすい。攻撃と守備ではやることが変わる。攻撃はパスを受ける前に周りを見て、誰がフリーかを考えよう」とアドバイス。
ほかに「みんなボールに集まってくるから、反対側にフリーがいる。そこの人やスペースを使うことを意識してほしい」という声かけを通じて、選手たちが自発的にスペースを見つける力を育てていった。
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奥田コーチの、遊びの中に学びを組み込む工夫や考えさせる問いかけ、繰り返しチャレンジさせる姿勢など、指導の参考になる部分が多い。
ぜひ動画を見て、トレーニングのポイントを学んでいただければと思う。
【講師】奥田 智/
大阪府四條畷市出身。
小学校にドリブルで登下校をして技術を磨き、小中学生時代は関西トレセンに選ばれ、高校・大学では全国大会出場。
その後、フットサル関西リーグでプレーをし、奈良市にクラブチームを立ち上げて指導者を始めました。
技術を身につけ、スパルタ指導で全国大会を経験してきましたが、スペインをはじめ10ヵ国以上のフットボールに触れることで、
自分が経験してきた"日本サッカーの当たり前"が世界では当たり前では無いことを知りました。
そこで、SNS等を通して『サッカーは楽しむものであり、遊びである』ということ、『楽しいから上手くなる』ということ。
そして《技術よりも先に戦術を学ぶことが大切である》ということを発信しています。
現在は奈良県の「生駒FC」とオンラインサッカー塾「戦術スクール」でサッカーコーチと運営をしています。
取材・文 鈴木智之

