05.11.2026
相手の選択肢を減らしてボールを奪う! 蹴和サッカースクールが実践する「連動した守備」の極意
サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。
今回のテーマは「格上の相手にも使える、良い攻撃につなげる連動した守備」。講師を務めるのは、指導歴22年のキャリアを持つ、蹴和サッカースクール代表の上田原剛氏だ。
上田原氏はブラジルにあるジーコのチームでコーチングキャリアをスタートし、その後15年間はJクラブのアカデミーで指導。5年前にスクールを立ち上げ、現在はスクールの運営と指導者向け講習会を行っている。
前編となる今回は、連動した守備のイメージを高める鬼ごっこから、2対2での具体的な守備の連動まで、「相手の選択肢を減らし、前向きにボールを奪って攻撃につなげる」守備の基本を解説してもらった。(文・鈴木智之)

鬼ごっこで連動した守備のイメージを作る
前編のテーマは「連動して相手を囲い込み、ボール奪取からの攻撃」だ。まず上田原氏は守備の目的を整理するところからアプローチする。
「守備の目的は2つあります。それはゴールを守ることとボールを奪うこと。自陣ゴール前ではゴールを守ること、相手陣地や中盤ではボールを奪うことが求められます。今日の練習はゴール前の守備ではなく、前からプレッシャーをかける守備になります」

ウォーミングアップとして行うのが、ボールを使った「連動鬼ごっこ」。4対4+1フリーマンの設定で「止まっている状態でタッチされたら攻守交代」というルール。鬼チームは相手の進行方向を複数人で塞ぎながらタッチを狙う。
ここでは作戦タイムを設け、選手が考える時間を確保し、「連動した守備とはどういうものか」を体感させていく。ここで生まれる「仲間と声をかけ合いながら、相手を追い込む」感覚が、この後のトレーニングの土台となる。
2対2で守備の連動を身につける

続くトレーニングは「2対2」。攻撃側はドリブルでゲートを通過すると勝ち。守備側には「特定のエリアを通り抜け禁止」という制限が設けられており、その制約の中でどう連動して守るかを考えさせる。
ここで上田原氏が強調するのが、ファーストディフェンスとセカンドディフェンスの役割分担と時間差だ。

「ファーストディフェンスがいきなりボールを奪いにいくのではなく、まず相手の選択肢を減らすことが重要。味方が『右を切れ』と指示すれば、相手のボールホルダーに右という選択肢がなくなる。そうなると、後ろの人が連動しやすくなる」
セカンドディフェンダーは、ファーストディフェンダーがコースを限定しているので、空いている方を見ればいい。2人が一緒に行くのではなく、時間差でプレッシャーをかけることが連動につながるのだ。
守備はボールを奪って攻撃につなげる

前編最後のトレーニングはゴールを用いた2対2。上田原氏は「守備の目的はボールを奪って攻撃につなげること」と説明。そのためにミニゴールを設け、ボールを奪ったらそこへシュートをする設定でチャレンジさせていく。
ここではファーストディフェンダーの状況に応じて、セカンドディフェンダーはどこにポジションをとるかを丁寧に説明。
「2人目の選手は時間差で狙いに行きたい」と話し、デモンストレーションを交えながら重要なポイントを解説。
ほかに、ディフェンダーが相手の正面に立って前進の選択肢を減らすことの重要性をアドバイス。

そうすることでプレーに制限がかかり、セカンドディフェンダーが前向きで守備をしやすくなる。その結果、ボールを奪い、攻撃につなげることができたプレーを称賛。
詳細は「COACH UNITED ACADEMY」動画で説明しているので、ぜひ動画で確認してほしい。
上田原氏のコーチングは「なぜそうするのか」という理由を、選手が自分の言葉で理解できるような問いかけを中心に構成されている。説明の仕方も含めて、指導者必見の動画と言えるだろう。
次回の後編では、良い攻撃につなげる守備を2対2、3対3の形でトレーニング。3人が良い距離感、良いタイミングでプレッシャーに行くことで、ボールを奪う感覚を伝えていく。
【講師】上田原剛/
15歳の時にジーコにスカウトされアントラーズユースへ入団。ブラジル(ジーコサッカーセンター)へのコーチ留学の後、2005年~2020年までの15年間、鹿島アントラーズのアカデミーにて指導トレセン(茨城県トレセン、ナショナルトレセン関東)などを担当。指導歴22年の中で関わった選手たちは約10万人。現在国内外で約15名の選手がプロとして活躍中。現在はスクール運営、指導者養成活動、個人、組織に対してコンサルティング、コーチングなどをしている。
取材・文 鈴木智之

