09.14.2026
限られた練習時間を最大化する!スペイン仕込みのトレーニング設計とコーチングの極意
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今回のテーマは「少年団指導のためのプランニングとコーチングの極意」。指導するのは、Jリーグの鹿島アントラーズや東京ヴェルディ、松本山雅FCでトップチームのコーチやメソッドダイレクターを歴任し、スペインに12年間在住して育成年代の指導にあたってきた、坪井健太郎氏だ。
限られた練習時間の中でいかに選手を成長させ、試合でパフォーマンスを発揮させるか。前編では、週単位のトレーニングプランニングの考え方から、3つの練習形態の使い分け、負荷調整の方法まで、少年団指導のための実践的な考え方を解説してもらった。(文・鈴木智之)

なんとなくの練習から脱却する
坪井氏がまず伝えるのは「行き当たりばったりの練習は、チームの成長を止めてしまう」という視点だ。

少年団が抱える練習時間の少なさやレベル差というジレンマに対し、坪井氏は「なんとなく」の感覚から脱却し、①逆算した計画、②負荷を調整するインテグラルトレーニング、③選手への伝え方であるコーチングという3つの柱を意識することが重要だと語る。
「まずは選手の人数やレベル差、週の練習回数やピッチの広さといった現状を分析することが出発点になります。そのうえで週末の試合から逆算して、試合に近い日は量を抑えて負荷を下げ、試合から遠い日にしっかり刺激を入れるなど、1週間の中でメリハリをつけて設計していきます」
こうした週単位の設計は、3ヶ月や1ヶ月といった大きな枠(マクロサイクル)の中に、1週間ごとの小さな枠(ミクロサイクル)を組み込んでいくという考え方に基づいている。
3つの練習形態を使い分ける
よく見られる現象に「練習では上手いのに、試合ではパフォーマンスが発揮できない」がある。
坪井氏によれば、これは日本の指導者から頻繁に聞かれる悩みであり、スペイン時代にも同様の課題が指摘されていたという。
背景には「相手のいない状況で技術を反復する"アナリティコ"中心の練習形態に一つの原因がある」と坪井氏は指摘する。

そこで紹介するのが、相手のいない状況で技術を反復する「アナリティコ」、技術・戦術・フィジカル・メンタルを同時に鍛える「グローバル」、そこにチームの狙いまで組み込む「システミコ」という3つの練習形態だ。
「アナリティコは判断が伴わないので、試合のパフォーマンスに直結するとは考えにくいです。グローバルは技術・戦術・フィジカルを同時にトレーニングすることができます。相手がいるので戦術的負荷が高く、試合への移行が極めて高いです」
システミコは実践に最も近いインテンシティの中でプレーできる分、試合への転用が最も高い一方、ゲームに特化しすぎて原理原則から遠ざかるというデメリットもある。
そのため「小学生年代では慎重に運用したほうがいい」と坪井氏は語る。
練習時間が限られる少年団では、認知の負荷が低いアナリティコに時間を割くことは避け、グローバルを中心に、時期によってはシステミコを取り入れると良さそうだ。
スペース・人数・ルールで負荷を調整
指導者には「練習中に選手の反応を見て、その場でレベルを調整する力」が求められる。坪井氏は負荷をコントロールする3つのツールとして、スペース、人数、ルールを挙げる。

「スペースを広くすれば余裕が生まれて難易度は下がり、狭くすれば選手は短い時間で正確にプレーしなければならないので、難易度は上がります。人数も同様で、数的優位なら負荷は下がり、同数や数的不利になれば負荷は高まります」
加えて3つ目のツールがルール、つまり制約だ。タッチ数やエリアを制限すれば、選手は考えながらプレーすることになり、難易度は高まる。1回の練習で最適な設定をつかむのは難しく、指導者も試行錯誤しながらこの感覚を磨いていくものだという。
さらに、これらのツールの使い方は年代でも変わる。
「認知や判断に時間がかかる小学生年代はスペースを広く、少人数にしてプレッシャーを減らし、高校生以上になれば、11対11のゲームに近い、狭いスペースで極限のプレッシャーの中でプレーさせることが大事になります」
指導の詳細や、練習形態・負荷調整の具体的な使い分け方を知りたい方は、ぜひ「COACH UNITED ACADEMY」動画で全容を確認してほしい。
次回の後編では、1日のセッションにおけるタイムマネジメントなど、より細かい実践的な内容を紹介する。
【講師】坪井健太郎/
2008年にバルセロナへ渡り、コーチングライセンスを取得。UEコルネジャとCEエウロパで高校年代を指導。現在ラ・リーガやスペイン代表で活躍する選手も多数輩出。2013年には指導者育成プログラムを展開する「プレサッカーチーム」を創業し、日本からのスペインコーチ留学の道を拓く。コーチ育成プログラム「PSTアカデミー」は現在14期目を迎え、これまで約50名の卒業生がJリーグや海外クラブで活躍している。2020年に帰国後は、東京ヴェルディ強化部メソッドダイレクター、鹿島アントラーズトップチームコーチ、松本山雅FCトップチームコーチを歴任。現在はプレサッカーチームを軸に書籍執筆・講演活動・次世代育成に取り組む。
取材・文 鈴木智之

