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選手の可能性を広げるにはミスを否定しすぎないこと/ミゲル・ロドリゴ監督が感じる日本の指導の気になる4点

フットサル日本代表を初めてW杯ベスト16に導いたミゲル・ロドリゴ監督。今回、「ミゲルのミラクルフィードバック〜試合で輝く子どもが育つサッカー指導術〜」というDVDを発売するにあたり、日本にいる7年間で感じた日本サッカー/フットサルの指導で気になった4つの点を解説。連載企画3本目は、「ミスを学びにつなげていない」ことについて独自の考えをお話しいただきました。(取材・文:鈴木智之)

ミゲル監督の指導理論が学べる
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(※DVD「ミゲルのミラクルフィードバック〜試合で輝く子どもが育つサッカー指導術〜」より)

1回目:技術だけのトレーニングは子どもが成長しない?
2回目:指示通りのプレーの実践だけでは成長できない?

子どもに「ミスをしても次に活かせばよい」と理解させることが大切

私は日本の指導現場を見て驚いたことがあります。それが「ミスを学びにつなげていないこと」です。これにはカルチャーショックを受けました。日本の選手は大人も、子どもも極端にミスを恐れています。おそらく、日本の社会、文化がミスに対して寛容ではないのかもしれません。子どもたちを見ると、ものすごくポテンシャルが高いのに、自信のない子が多いように映ります。

その理由のひとつが「ミスを学びにつなげないから」だと思います。とくに、サッカーを始めた頃は、ミスはつきものです。ミスをするのは当たり前なので、指導者は「ミスをしてもいいんだよ」という雰囲気を作ることが大切です。ミスをしても、それを次に活かすことができればいいと思います。

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子どもたちはミスから多くのことを学ぶことができるのに、日本の場合「ミスはいけないもの」と、思いすぎているような気がします。それは学校教育でも、サッカー/フットサルの指導も同じです。だから、子どもたちはミスを極端に恐れ、その結果、自信なさげにプレーする子が増えているのだと思います。

私のトレーニングでは、選手がミスをしたときに、まず「キミのことを信じているよ」というスタンスで話しかけます。それは、大人にも子どもにも同じ態度です。そして「今のプレーが決して間違いだとは思わない。キミが考えた末に決断したのだから尊重するけど、練習でいくつかの選択肢を教えたよね? それを思い出してごらん。状況をもう一度振り返って、もう一度決断してみよう!」と言って、その場で同じ状況を作り、選手にまた決断をさせます。

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(※DVD「ミゲルのミラクルフィードバック〜試合で輝く子どもが育つサッカー指導術〜」より)

選手はみんな賢いので、考える時間を与えると「こうすれば良いんだ」と気づき、より良いプレーのアイデアが浮かんでくるのです。そうすると、正しい決断ができるようになるので、その瞬間、私は最高のテンションで褒めます。そこで選手は理解するのです。「最初は間違えたけど、監督に怒られなかった。次にチャンスをもらったときに、良い決断をしたら褒めてくれた。自分のことを認めてくれたんだ」って。

ミスを強く指摘し、子どものチャレンジ精神を潰してはいけない

選手に対して怒ることもありますが、それは大人のトップレベルの選手に対してであり、互いに信頼関係ができている状況に限られます。たとえミスを指摘したとしても、常に選手自身に決断を促し、自信を構築する言葉がけ、接し方をしているので、選手たちはネガティブな気持ちにならないのです。

多くの日本人指導者は、選手や子どもたちに対して厳しい言い方をしますよね。まるで、ミスを指摘するのが監督の仕事だと勘違いしているかのようです。せっかく、子どもたちが自らプレーの決断を行い、自信を構築している真っ最中に、指導者が途中で打ち切ってしまう、チャレンジする心を潰してしまうのです。すると子どもは自信をなくし、結果としてミスを恐れ、チャレンジしなくなります。監督に怒られないように、ミスをしないように、シンプルなプレーしかしなくなるのです。

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(※DVD「ミゲルのミラクルフィードバック〜試合で輝く子どもが育つサッカー指導術〜」より)

その関わり方は、大きな間違いだと思います。子どもたちに対しては、成長する機会を与えなければいけないのです。それが、自分で決断することであり、その結果生まれたミスを、次に活かすことなのです。

どんな子どもにも、何かしらの才能があります。才能のない子は一人もいません。それを見つけて引き出してあげるのが、コーチの仕事なのです。

日本の指導者は、すべてを自分がコントロールしようとしすぎだと感じています。「自分が言ったとおりにプレーしないとダメ」という考えは、選手自身に試合の流れを読ませたり、決断させることを禁じているのと同じこと。そうなってしまうと、残念ながら日本は世界で勝てなくなってしまいます。

私はフットサルの日本代表チームを率いたとき、最終的にはガイドのような存在になりたいと考えていました。監督として試合に向けて練習をし、対戦相手の対策、どのようにプレーすべきかなど、すべてをレクチャーします。しかし、試合開始のホイッスルが鳴ると、プレーする選手たちの決断に任せます。

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試合中は彼らの時間なので、私の役目はモチベーションを与えること、「お前たちを信じているから、自信を持ってプレーしよう」と言って送り出すことです。日本の選手にとってはカルチャーショックだと思いますが、世界で勝つためには、最終的にその段階を目指すこと。そのために育成年代から自分で考えて、決断する環境を作っていくことが大切だと私は考えています。

指導者の選手への接し方について話したミゲル監督。次回は連載企画の最後として指導者が選手に対して「ポジティブなフィードバックをしていないこと」をご紹介します。

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ミゲル・ロドリゴ(Miguel Rodrigo)

フットサルベトナム代表監督1970年スペイン生まれ。
2009年、フットサル日本代表監督に就任。日本代表では、チームをワールドカップで史上初のベスト16に導き、AFCフットサル選手権では、2度の優勝を果たす。
2017年よりフットサルベトナム代表監督に就任。多彩な戦術を駆使することから「魔法使い」の愛称を持つ。
「子どもを褒めて伸ばす」トレーニング方を元に育成年代の指導にも精通。日本で定期的に子ども向けのスクールを行っている他、2014年には1週間の特別レッスンを通して、子どもの成長を描いた「奇跡のレッスン~世界の最強コーチと子どもたち~サッカー編」にも出演した。

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