08.18.2025
攻撃のバリエーションを増やしたい指導者必見! ファーストアクションを起点に、連動した攻撃を構築するトレーニング
サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。
前回より、愛知県で活動するSC豊橋アゼリアのGM兼ヘッドコーチ、加藤到氏による「得点パターンを増やすトレーニング」を紹介中。
今回の後編のテーマは「得点の機会を創出する『いつ』『どこで』『誰を』崩すかの共通理解」。相手の守備を崩すためには、チーム内での共通理解が必要だ。その意思統一を図るために、実戦に近い形でのトレーニングを通じて、グループでゴールを目指す攻撃にアプローチしていく。(文・鈴木智之)
ファーストアクションが攻撃の起点を作る
COACH UNITED ACADEMY動画、後編最初の動画は「アウトサイドクロッサー 3対3+2GK」。設定としては、ペナルティエリア幅で3対3+2GKを行い、互いにゴールを目指す。サイドにフリーの状態でクロッサーがいるので、そこを効果的に使うことがポイントになる。
まず加藤コーチがアプローチしたのが、選手たちのポジショニング。「後ろが2、前が1の三角形を作って」と、基本的な配置を指示しながら、「ボールを受けることが目的になっちゃダメ。目的はゴールを奪うこと」と、常にゴールを意識しながらプレーすることの重要性を強調していく。
続いて、加藤コーチが重視したのは「ファーストアクション」の概念だ。「一番前の選手が最初にアクションを起こそう」と、攻撃の起点となる動きを指導。
このアクションによって「どこにスペースが空く?」と選手たちに問いかけ、「ファーストアクション起こすために、後ろに2、前に1の状況を作っている」「ファーストアクションを見ながら、次にセカンドアクションを起こそう」と、連動した動きの重要性を指摘していく。
それを踏まえた上で、どのスペースが空くかを予測し、そこに選手が入っていくことで効果的な攻撃が可能になるという流れだ。

お互いを見て、つながってプレーする
さらに加藤コーチは「最初からボールを受けることではなく、自分がシュートを打つための準備をしよう」「クロッサーに近寄るのではなく、逆サイドにいるとパワーを持ってボールを受けられる」「スペースがあるからアクションを起こせる。そのスペースを作ろう」と、個々の選手が常にシュートを意識したポジション取りをすることを求めていった。
また「移動中に準備をしておかないと、シュートは打てない」「お互いを見て、3人がつながろう」と、ボールが動いている間に準備をすることの重要性を強調。常に周囲の状況を認知し、自分とボール、味方の関係の中で、効果的なプレーを選択することに意識を向けさせていった。
攻撃のスイッチを起点に連動した攻撃を実施
トレーニングの最後は「5対5+2GK」のゲーム形式へと発展。ハーフコートのサイズでプレーし、フォーメーションは後ろ3、前2で行う。途中から3-2でセパレートし、攻撃時のみ、後ろの3から1人が前のゾーンに入っても良いとルールを変更。
加藤コーチは「キーパーを含めた後ろの4人で前2枚を相手にするのだから、ポゼッションを安定させよう」「安定したポゼッションからしか、いい攻撃はできない」と攻撃の土台となる部分の重要性を強調。
さらに「前と後ろがつながりたい。それがないと点は取れない」と、全体が連動してゴールを目指すことにアプローチ。デモンストレーションを交えて、前向きのフリーの選手を作り、ゴールに迫るタイミングを共有していく。
「これまでトレーニングしてきたように、サイドや中央に攻撃のスイッチが入るポイントがある。それを自分たちで作ってみよう。GKを含めた6人がつながって、一つのゴールに対してプレーしよう」とアドバイス。
このあたりのコーチングは非常に参考になるので、ぜひ「COACH UNITED ACADEMY」動画で確認してほしい。
以上で後編のトレーニングは終了。今回の動画では、攻撃のスイッチとなるタイミングの創出、ファーストアクションからの連動した動きなど、実戦で活用できる内容が盛り込まれている。
ぜひ動画を繰り返し見て、加藤コーチがプレーのどこにフォーカスし、どのような表現で改善点を選手たちに伝えていくのかといった、ディテールの部分も含めて参考にしていただければと思う。
【講師】加藤到/
愛知県名古屋市出身。大学卒業後公立高校教諭を経て、現在へ。「ITARU METHODFOOTBALL」 代表(著書「ITARUメソッドの教科書」)、社会人チーム「SC豊橋アゼリア」ヘッドコーチ兼GM、サッカー指導者勉強塾「蹴到ラボ」代表をしている。海外でのプロジェクトも着々と進めており、台湾「EC.DESAFIO TAIPEI」のコーチデベロッパーとして約2ヶ月に1度台湾に赴き現地の選手・コーチたちとチームの強化に当たっている。また指導者講習会やクリニックを展開して指導者養成・選手育成に力を注いでいる。ネパールやウガンダのサッカーアカデミーのコーチとしても活動をしている。JFA公認A級ジェネラルライセンスを所持。
取材・文 鈴木智之