05.18.2026
時間差プレスで前向きにボールを奪う! 格上相手にも使える、連動した守備向上トレーニング
サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。
今回のテーマは「格上の相手にも使える、良い攻撃につなげる連動した守備」。講師を務めるのは、指導歴22年のキャリアを持つ、蹴和サッカースクール代表の上田原剛氏だ。
前編では、連動した守備のイメージを高める鬼ごっこから、2対2での具体的な守備の連動まで、「相手の選択肢を減らし、前向きにボールを奪って攻撃につなげる」守備の基本を解説した。
後編となる今回は、良い攻撃につなげる守備を2対2、3対3の形でトレーニング。複数人が良い距離感、良いタイミングでプレッシャーに行くことで、ボールを奪う感覚を伝えていく。(文・鈴木智之)

常に攻撃につなげることを意識する
後編のテーマは「前向きにボールを奪うには、プレスをかける時間差が重要!」。前編から続く、2対2のトレーニングからスタートした。

設定としては、攻撃側はライン突破。守備側はボールを奪い、前方2個所のミニゴール、もしくは両サイド、背後のライン突破を目指す。
上田原氏はまず、守備の目的について強調。「守備の目的がボールを取ることになってしまうと、取った後が続かない。常に攻撃につなげることを意識しよう」
続いて、ファーストディフェンスの役割を、デモンストレーションを交えながら解説。「相手のゲートへの選択肢を一旦切りながら、前進を止める。そうすることで相手の選択肢が1個減り、手が縛られた状態になる」

さらにプレッシャーをかければ、足も縛られた状態になる。上田原氏は選手にこう伝える。
「何も選択肢を減らさず、手も足も縛らない状態で行ったら、うまい方が勝つのは当然。まず相手の手を縛り、足を縛る。それから奪いに行こう」
相手の選択肢を減らした状態でプレッシャーをかけることで、後ろの選手が狙いやすくなる。この「選択肢の限定」と「時間差」が連動した守備のポイントだ。
他にも「守備者同士がクロスして守らない」といった部分にも言及しているので、詳細は「COACH UNITED ACADEMY」動画を確認してほしい。
3対3で「良い距離感、タイミング」のプレスを磨く
次のトレーニングは3対3。まず横並びの3対3からスタート。同じタイミングで1~3番目のディフェンダーが登場する守備の連動を体感させていく。

さらに守備の形を変えたトレーニングへ移行。3人の守備者が横1列ではなく縦並びのラインを形成するオーガナイズで、より複雑な状況での連動を追求する。
ここで上田原氏が強調するのが、コーチングの重要性だ。
「守備の方が、声が必要。自分の近くの人にコーチングできなければ、基本的に守備は成立しない。黙っていたら守備はできないよ」
守備者が縦並びになったことで、1番目、2番目、3番目と3ラインができた状態になる。
その局面で「ボールが移動した際に、最短距離で対応できる選手が前の列に出る」という考え方を共有する。

具体的な声かけについても指導。「例えばファーストディフェンスに『左切れ』と声をかければ、セカンドディフェンダーはそっちを切ってくれると信じて、思い切って逆に行ける。そういう声が必要」
相手の前進を止め、時間差でプレッシャーをかけ、ボールの移動中を狙う。この3ステップが、連動した守備の原則として確認された。
詳細は「COACH UNITED ACADEMY」動画で説明しているので、ぜひ動画で確認してほしい。
抽象的なことを具体的に伝える
上田原氏は後編を締めくくり、指導者へメッセージを送った。

「『連動しろ』というだけでは抽象的すぎて、選手はなかなか理解できません。我々指導者は、抽象的なことを具体的にして伝えることが重要です。選手の状態によって、具体と抽象を行き来することが大事になります」
さらに自身の指導哲学についても触れた。
「伝え方Aが通じない場合、BやCを持っているかどうかが大事。私自身、脳科学・心理学・認知科学のコーチングなど他の分野を学んだことで、多様な伝え方ができるようになりました」
上田原氏の「なぜそうするのか」という理由を、選手が理解できるよう問いかけるコーチングスタイルも含めて、指導者必見の内容と言えるだろう。
【講師】上田原剛/
15歳の時にジーコにスカウトされアントラーズユースへ入団。ブラジル(ジーコサッカーセンター)へのコーチ留学の後、2005年~2020年までの15年間、鹿島アントラーズのアカデミーにて指導トレセン(茨城県トレセン、ナショナルトレセン関東)などを担当。指導歴22年の中で関わった選手たちは約10万人。現在国内外で約15名の選手がプロとして活躍中。現在はスクール運営、指導者養成活動、個人、組織に対してコンサルティング、コーチングなどをしている。
取材・文 鈴木智之

