10.24.2018
いつものダッシュに"ひと工夫"で「とっさの判断力」を鍛える~アスリート版シナプソロジー~
「相手が急にミスをした!」「予測と違うパスがきた!」「絶体絶命のピンチ!」そんな時、試合中に「頭が真っ白」になった経験はありませんか?
「頭が真っ白」になっているということは、脳が混乱しパニックになっている状態。
試合でも起こりうるこの状態から、いかに迅速に頭を整理して正常に判断を下せるようにするか。
それを目的に作られたのが「アスリート版シナプソロジー」トレーニングです。
シナプソロジーとは?
シナプソロジーは、「2つのことを同時に行う」「左右で違う動きをする」といった普段慣れない動きで脳を適度に混乱させ、さらに効果的な刺激を与えることで、脳の機能が高められると考えられています。笑顔やコミュニケーションが生まれるので、楽しく続けられるのが特徴です。(シナプソロジー普及会HPより)
シナプソロジーは多くの効果が確認されていますが、特にアスリートにおいては、協調性やチームワークを高めるだけでなく継続して実践することで、脳の注意機能を高めるといわれています。
今回はウォーミングアップに最適な「ダッシュ」のトレーニングをご紹介します。まずは基本編からやってみましょう。
シナプソロジー基本編
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<基本動作>
- プレーヤーは位置について目を閉じる
- 指示者は左右どちらかの手を挙げ、「はい」と発声する
- 指示者の声が聞こえたら、プレーヤーは目を開けて指示者が示す方向を確認
- 指示者が示す方向へダッシュする
「基本動作」に慣れたら、ちょっと難易度をあげ「スパイスアップ」します。
難易度をあげるスパイスアップ
<スパイスアップ1>
指示者が示した方向と逆方向に、声を出しながらダッシュする。
指示者:右を示す
プレーヤー:「左!」と声に出しながら左へダッシュ
動作に慣れてくると、プレーヤーが指示者の指示を予測するようになりますが、それも脳が活性化している証拠。相手の行動を予測することも、シナプソロジーの大事なトレーニングの一つです。
次は、さらに難易度をあげ、脳を混乱させます。
<スパイスアップ2>
指示者が示した方向を声に出しながら、逆方向にダッシュする。
指示者:左を示す
プレーヤー:「左!」と声に出しながら右へダッシュ
間違ったときこそチャンス!脳を活性化させるコツ
映像でもプレーヤーが混乱してフリーズし、間違った方向にダッシュしていますが、これがまさに脳が鍛えられている瞬間であり、シナプソロジーの醍醐味です。
脳が混乱して体が動かなくなる状況をあえて作り出し、フリーズしてから動き出すまでの時間を短くするトレーニングを繰り返すことで、試合中に起こる「頭が真っ白」な状態から、素早く脱することができるようになるのです。
このとき「間違った!」と気が付いたら、なるべく早く正しい動作に戻るよう軌道修正しましょう。試合中に間違った動作で終わることがないように、トレーニングでも間違ったままで終わらせないようにしてください。
また、このトレーニングで大切なのは、プレーヤーが間違った動作をしたときに、指示者が指摘したり叱ったりしないことです。映像の中でも指示者が「間違ってもOK」「いいよ」と声をかけていますが、このように、プレーヤーが自ら間違いに気づき、自らの判断で正しい動作に戻れるように声掛けをおこなってください。
[アスリート版シナプソロジーのポイント]
- プレーヤーが行う動作は単純なものにとどめる
- 簡単なものから、徐々に判断を複雑にしていく
- 間違った動作をしても指摘しない
- 動作を間違ったら、必ず正しい動作をやり直す
特別な器具も必要なく、いつものトレーニングをひと工夫するだけで、選手の脳を鍛えることができる「アスリート版シナプソロジー」。ぜひあなたのチームにも取り入れてみてください。