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【全文掲載】オシム氏「守備が弱点なら、ずっと攻撃していたらどうか」

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(C)Tete_Utsunomiya

※本稿は「徹マガ」2014年1月26日号(通巻第179号)「2014年のはじまりに──ボスニアのお正月事情あれこれ 千田善の月刊フットボールクリップ」を全文掲載させていただいたものです。※

前編はこちら

■オシムさんの年頭インタビュー
 さて、あれやこれやの騒動に巻き込まれながら、サラエボで新年を迎えることになったオシムさんには、各社からインタビューの申し込みが殺到。かくいう僕も「スポニチ」元旦号でオシムさんへのインタビューをやっています。スポニチの内容は下記のリンク先を参照して下さい。紙面では2ページ見開きカラー印刷でしたが、1面トップはAKB48に譲りました(大島優子さんの紅白生放送中の卒業宣言です)。
 
オシム氏、W杯へアドバイス ギリシャ対策はNZが格好の相手

ザック監督を信じよ!オシム氏、日本は「挑戦者としてプレーを」

オシム氏 熱く語る「本田はミランのリーダーになれる」

オシム氏断言 W杯は「フィジカルを制するものが勝つ」

「コンプレックスを拭い去るチャンス」 強豪にも勇敢にプレーを

 長いインタビューで4つに分かれています(ネットで読めるのは紙面の一部)。かいつまんでポイントだけ紹介すると、こんな感じです。
 

 世界のトレンドとしてスペイン式の「ティキタカ(チクタクに当たる擬音で、パスをつなぐポゼッション・スタイルの意味)に対抗するスタイルとして、ドイツなど新しいフィジカル重視の発展型がある。

「フィジカル」といっても、サイズのことだけでなく、運動量とスピードだ。大柄なドイツ人たちが、よく走り、テクニックを向上させ、スペインほどではないにせよパスサッカーをしてくれば、これほどやっかいなものはない。

 ワールドカップは4年に1度の「フットボール博覧会」みたいなもので、ブラジルでどの国が優勝するかで、向こう数年のサッカーのトレンドが方向付けられる。フィジカルを制するものが、ブラジルを制するだろう。

 スペインやドイツに対抗するためには、現在の水準からさらに1歩も2歩もレベルアップする必要がある。ワールドカップまでの半年、日本代表は戦術練習でも、フィジカルの強化を念頭に置いて準備を進めたらどうか。

 日本代表が勝てない時期は、監督更迭論も出ていたようだが、心配する必要はないだろう。守備が弱点とされるが、ザッケローニは守備の伝統のあるイタリアから来た監督だ。それに守備が弱点なら、ずっと攻撃していたらどうか。半分は冗談だが半分は真実だ。

■ぶれないオシムさんのスタンス
 オシムさんのスタンスは、いつもブレがないのですが、特に「ザック解任論」への反対は一貫していて、これまでも各紙に「自分が日本サッカー協会の担当責任者なら代えない」と発言しています。

 印象深いのは、月刊化したサッカーマガジンのリニューアル第1号のインタビューです(『サッカーマガジンZONE』という名前になりました)。このときも僕がインタビューしたのですが、タイミングは日本代表がセルビアとベラルーシに連敗した直後で、日本では解任論が一斉に噴出していた時期(解任すべきだと直接いう気のない評論家は「強豪国なら解任されてもおかしくない」という主張でお茶を濁していました)。

 この頃、ザックさんは非常に旗色が悪かったわけですが、オシムさんは「日本のサッカーは進歩している。日本代表が何試合か勝てなくとも、それは進歩する上での壁なのだ。辛抱強く応援を続けてやってほしい」と主張していました。

 月刊サッカーマガジンの発売日は11月下旬。その直前にオランダ戦(11月16日、2-2の引き分け)、ベルギー戦(19日、3-2で勝利)がありました。仮にそこで負けていても、オシムさんは「ザッケローニを代えるな」と言っていたでしょう。雑誌の発売日前日には、文字通り「進歩する上での壁」を乗り越えた日本代表の国内組が帰国。オシムさんの「予言」が当たった形になり、インタビューの評判も上々でした。

 ちなみに昨年は、スポニチに依頼されてオシムさんのインタビューをまとめることが多かったのですが、最も読まれた記事ベスト10の中に、3つもオシムさんの記事が入っていました。

今年最も読まれたサッカー記事は...ザックJでも本田でもなく

 また、地元メディア向けには、サラエボの日刊紙『ドネブニ・アワズ』に新年インタビューを掲載。他誌がいっせいに転載する形で、ほとんどの新聞やインターネットサイトにオシムさんのインタビューが掲載されました。インタビューは冒頭、編集部のこういうコメントからはじまっています。

 昨年のボスニア・ヘルツェゴビナの最大の話題は、何といってもサッカー。とすれば、『サッカーは人生だ』と語る、あの人の意見を聞かないわけにはいかない。イビツァ・オシム氏のインタビューである。  独立以来、何年も『自分が生きている間に、ボスニアがワールドカップに出場できるだろうか』と自問した人は少なくない。特に、ここ数回連続でプレーオフまで進みながら敗れた様子を見て、ひょっとしたら何十年も、いや何百年も先のことになるのではと心配した人もいただろう

 何だか70年代から80年代にかけての「日本サッカーの暗黒時代」を思い出させるような、そしてワールドカップ初出場の嬉しさがにじみ出ているような文章です。ここでは内容を紹介しませんが、よろしければ、僕のブログ「オシムの伝言公式ブログ」に全文を訳してありますので、お読み下さい(昨年12月にURLが変わりました)。
 
 ボスニア紙「ドネブニ・アワズ」のオシムさんの新春インタビュー
 
 では、本年もよろしくお願いします。

※本稿は「徹マガ」2014年1月26日号(通巻第179号)「2014年のはじまりに──ボスニアのお正月事情あれこれ 千田善の月刊フットボールクリップ」を全文掲載させていただいたものです。※


千田善(ちだ・ぜん)
民族紛争、異文化コミュニケーション、サッカーなど。新聞、雑誌、テレビ・ラジオ、各地の講演など幅広く活動。

紛争取材など, のべ10年の旧ユーゴスラビア生活後、外務省研修所、一橋大学、中央大学、放送大学などの講師を経て、イビツァ・オシム氏の日本代表監督就任にともない, 日本サッカー協会アドバイザー退任まで(2006年7月~2008年12月)専任通訳を務める。サッカー歴40年、現在もシニアリーグの現役プレーヤー。

著書:『ワールドカップの世界史』(みすず書房2006)、『なぜ戦争は終わらないか』(みすず書房2002)、『ユーゴ紛争はなぜ長期化したか』(勁草書房1999)、『ユーゴ紛争』(講談社現代新書1993)ほか。訳書:G・カステラン/A・ベルナール『スロヴェニア』(白水社・文庫クセジュ2000)、G・カステラン/G・ヴィダン『クロアチア』(白水社・文庫クセジュ2000)ほか。

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