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サッカーのピリオダイゼーション②

ケガがつきもののサッカーにおいて、そのリスクを避けることは選手だけでなく、指導者も考えるべき大きな課題です。ケガのリスクを回避し、100パーセントの状態で試合に臨む。『サッカーのピリオダイゼーション』は、それを可能とするトレーニング理論です。(文/相良浩平 写真/Presentation College

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<<Part1:最高のパフォーマンスを引き出す『ピリオダイゼーション』

■サッカーのコンディショニングトレーニング

『サッカーのピリオダイゼーション』は、ケガなく試合で最高のパフォーマンスを発揮するためのトレーニングや試合などの計画方法のことを言い、ピリオダイゼーションはコンディショニングトレーニングの方法自体を指しているわけでありません。ただ、トレーニング計画のなかで負荷が高いコンディショニングトレーニングは、ピリオダイゼーションのなかでも重要なポイントとなるため、「サッカーのピリオダイゼーション」ではまずコンディショニングトレーニングに焦点を当てることを第一に考えます。 

■サッカーにおけるコンディショニングトレーニングの位置づけ

サッカーのトレーニングにおいて、コンディショニングトレーニング/フィジカルトレーニングは欠かせないものとなっています。ですが、そもそもなぜコンディショニングトレーニングは必要なのでしょうか。

コンディショニングトレーニングの目的は、単により長く走れるようになること、一定の距離をより短時間で走れるようになることではありません。サッカーはチームスポーツなので、まず重要なことはチームのプレースタイルを発展させることです。選手のフィジカルフィットネスは、このチームのプレースタイルの発展をサポートする一つの重要な要素となるのです。コンディショニングトレーニングの目的は、あくまでもそれによってチームのサッカーの質を向上させることにあります。

また、サッカーに必要とされるフィジカルフィットネス=サッカーフィットネスは、プレーする上で必要となる技術的、あるいは戦術的な要素と互いに影響し合っています。技術、戦術、体力といった言葉は、この競技の持つ様々な側面を区別するために使われているのであって、サッカーの中に技術、戦術、体力が独立して存在しているわけではないのです。例えば、「ビルドアップ」というのは、戦術的な側面もありますが、その中には、適切なパスを出すための技術であったり、スペースをつくったりボールを受けるために素早く動き出すといった体力的な側面もあります。あるいは、「パス」というアクションを一つとって考えても、パスにはそれに必要な技術の他に、どのタイミングで誰にパスをするのか、という戦術的側面や、スピードのある長い距離のパスを出すために必要な体力的要素もあります。このため、フィットネスのトレーニングであれば、フィットネスとして独立したトレーニングをすることはできますが、サッカーに必要とされるサッカーフィットネスは、素走りのようにサッカーの他の要素と独立させることはできません。

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■サッカーのコンディショニングトレーニングの変化

サッカーのトレーニングの中で行われるコンディショニングトレーニングは近年サッカーの競技の本質を捉えることで変化を遂げてきました。以前は、一定のテンポで長時間走ることで「体力」をつけるというトレーニングがされてきましたが、現在では効果的なトレーニング法へと変化してきています。 最近までは体力が、筋力、スピード、柔軟性、コーディネーション、持久力、といったように分類され、その中で何がサッカーに必要かを分析し、それぞれが個別にトレーニングされてきました。ですが、そもそもこの分類の仕方自体がサッカーに必要な体力を分析するのに適しているのかという問題が生じてきます。この分類はサッカーをもとに考えられたものではなく、もともと運動生理学や体力学の原理原則をサッカーに当てはめているため、「体力」自体が競技の本質から切り離されて考えられており、トレーニング自体もサッカーの競技としての要素が含まれないものになります。

■サッカーを原点に考える

ではサッカーを原点に考えると、どうなるでしょうか。運動生理学では、体力を筋力、スピード、持久力、柔軟性、コーディネーションといったように分析するための枠組みがありました。サッカーを原点に考える上でも、サッカーフィットネスを分析していくための枠組みが必要となります。まず11対11のサッカーを純粋に観ると「攻撃」、「守備」、「功から守への切り替え」、「守から功への切り替え」の4つの状態があり、そのすべてが選手たちの「アクション」によって成り立っています。ここまでは、サッカーのどの側面を考えるに当たっても同じです。そしてここから様々なトレーニングへと発展させるわけですが、例えば、「ビルドアップ」の戦術的側面をトレーニングしたい場合、11対11の試合をもとに、「ビルドアップ」でトレーニングしたい状況が生まれるように、ピッチの大きさや人数、ルールなどを適応させます。「パス」の技術的側面をトレーニングしたい場合には、11対11の試合をもとに、「パス」の技術的側面に重点が置かれたトレーニングになるようにオーガナイズします。例えば、最初は11対11よりも一人当たりのスペースが大きく、数的有利の状態で、一人当たりがボールをパスする回数が十分になるようなトレーニングです。これらはすべて11対11をもとにして、トレーニングしたい側面に重点が置かれるようにオーガナイズされたものです。

最初に述べているように、サッカーに必要なサッカーフィットネスは、サッカーの戦術的側面や技術的側面と互いに影響し合っており、独立させて捉えることはできないため、同じ枠組みで考えます。つまり、サッカーにおいてトレーニングしたいコンディション的側面にアクセントが置かれるように、あるいは、そこにオーバーロードがかかるように、11対11のサッカーをピッチの広さ、プレーする時間、残りの時間、ルール、味方や相手の人数などに手を加えてトレーニングすればいいわけです。実際にはサッカーフィットネスをより具体的に分類してトレーニングしていくわけですが、こうすることでサッカーから掛け離れた形でトレーニングをしなくても、より効果的、効率的にサッカーのコンディショニングトレーニングが可能であることが分かるのではないかと思います。

次回は、1月開催のアドバンスコースの講演予定内容の中から、サッカーのピリオダイゼーションをさらに応用した『インディビジュアルピリオダイゼーション』と『リハビリテーションピリオダイゼーション』の一部をセミナーに先行してレポートします。

Part3:選手を個の単位で調整すること、ケガ人のリハビリプランニングの重要性>>

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また、ワールドフットボールアカデミーでは11月19日(水)に世界最高のインストラクターによるWebinar(ウェブセミナー)を開催。サッカーコンディショニングの分野で世界をリードし続けているレイモンド・フェルハイエン氏が、フェイエノールト・アカデミーをケーススタディーとして「ユース世代のサッカーのピリオダイゼーション」を中心に講演。本記事を執筆された相良氏が通訳を務めます。

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