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GKコーチ山野陽嗣氏・講義 その1「悪い癖をつけない」

最後の砦となり、ゴールを守り抜くことが仕事とされるゴールキーパー。文字通りの守護神と呼べる存在だ。今回のコーチユナイテッドアカデミーは、アルビレックス新潟ユースなどでの指導経験を持つGKコーチ山野陽嗣氏を講師に招き、キーパーの練習法を解説していただいた。(取材・文/鈴木智之)

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■ GKは伸びしろのあるポジション


勝敗に直結するポジション。それがゴールキーパー(GK)だ。GKのミスで失点し、敗れる試合もあれば、相手のシュートを次々にストップし、勝利に導くこともある。2014年のJリーグを振り返っても、3冠を達成したガンバ大阪には東口順昭という、圧倒的な反射神経とセービング技術でゴールを死守するGKがいた。リーグ2位の浦和レッズには日本代表の西川周作がいて、J1昇格プレーオフを勝ち抜いたモンテディオ山形に山岸範宏がいなければ、劇的な昇格を勝ちとることは難しかったかもしれない。

結果を出すチームに欠かすことのできない存在。それが優れたGKだ。それほど大切なポジションにも関わらず、GKの重要性は広く認識されていない。言い換えれば、まだまだ伸びしろのあるポジションだと言えるだろう。

GKのレベルが上がれば、比例してフィールドプレイヤーのレベルも上がる。優れたGKが守るゴールを打ち破るためには、フィールドプレイヤーのレベルアップが不可欠だ。普段であれば決まるシュートが、良いGKを前にすると決まらない。そうなると、シュートを打つ側はどうすれば入るかを考え、工夫するようになる。そのような日常の繰り返しが、レベルの高いアタッカーを生み出すことにつながるのだ。

近年、GKコーチの数は徐々に増えてきた。山野陽嗣氏は日本と海外で活躍する、数少ない"GKコーチの海外組"だ。経歴は実に多彩で、立正大学を経て、アルビレックス新潟シンガポールと中南米のホンジュラスでGKコーチとして指導をしてきた。ホンジュラス史上初の日本人コーチであり、彼の存在は多くのホンジュラスサッカー関係者に知られている。

それはなにも、外国人だからという理由だけではない。ホンジュラスに渡り、GKコーチを務めた最初のシーズン。山野氏は守備に難があり、前期リーグで最下位に低迷していたチームのGKコーチに就任すると、守備の再建にとりかかった。結果として後期はリーグ最少失点で2位に躍進するなど、GKコーチとして確かな足跡を残した。そして、ついにはそのコーチングスキルが買われ、ホンジュラスU-20、U-15代表のGKコーチを務めるまでになったのだ。

■ 大切なのは悪い癖をつけないこと

小学生から代表クラスの選手まで、様々なカテゴリーの指導経験を持つ山野氏。国を越えてGK指導にたずさわってきた山野氏が繰り返し説くのが『育成年代から、GK指導を受けることの大切さ』である。

「日本のサッカーを見ると、GKのミスで失点していることが多いと感じます。たとえば、GKのポジショニングであったり、セービングのときの手の出し方など、失点原因の多くが、基礎技術のミスによるものです。大人になったあとで、身に付いた技術を改善しようとすると時間がかかります。悪い習慣は、なかなか直すことができませんから。そうならないためにも、ジュニア年代の基礎を身に付ける段階から、正しい技術の習得に取り組むことが重要なのです」

中学、高校、大学、プロ......年齢を重ねれば重ねるほど、身に付いたクセは直しにくいものになる。間違った技術を身に付けてしまうと、修正するのは膨大な時間がかかってしまう。大人になってから技術を修正することのデメリットもある。

「技術を直している期間は、慣れていないことをやるので、試合中のパフォーマンスが落ちます。言い換えると、育成年代からコーチに教わり、正しい基礎技術を身に付けておけば、大人になったときにそれほど大きな問題は起こりません」

山野氏は基礎トレーニングの重要性を繰り返し説く。そのため、トレーニングも簡単なものから始めて、徐々に動きが複雑になり、判断を伴うものへとレベルアップしていく。トレーニングの強度は徐々に上げていくが、基本的に止まることはない。試合中と同じで常に動いており、『実際の試合の動き』が取り入れられている。

たとえば、パス&コントロールのトレーニング。GKはパスの出し手の名前を呼び、ボールを要求する。これは、試合中によく起こるシチュエーションだ。そして、コーチはグラウンダーや浮き球など、ボールの種類にバリエーションをつける。「試合中はグラウンダーのパスもあれば、バウンドのときもあります。トレーニングでは、試合で実際に行う動きを想定しています」(山野氏)

GKにとってボールをつかむ「キャッチング」は、基礎中の基礎ともいえる技術だ。しかし、GKコーチに教わった経験のない選手は独学で身に付けるため、自己流になってしまうケースもある。山野氏がポイントを解説する。

「ボールを真横から挟もうとしないこと。両手で三角形を作り、強いシュートが飛んできても、手から抜けないようにします。そして、ボールはなるべく顔の正面でつかむこと。左右にボールが来たときは、手だけを伸ばしてキャッチせずに、体ごと移動してボールをつかみます。ファンブルしそうになったら、前に倒れて抱え込みます。後方に倒れると、ファンブルしたときにゴールに入ってしまいますからね」。

山野氏はボールの球種について「なるべく、ゴロ、浮き球、バウンドボールの3種類でトレーニングをします」と語る。「実際の試合では、この3つの球種がもっとも多いから」というのが、その理由だ。

山野氏の練習メニュー、コーチングの内容を一言で表すと『基礎を身に付けることができる、実戦に近いトレーニング』だ。育成年代のGKにとって、取り組むべき理由のあるトレーニングだと言えるだろう。

GKコーチ山野陽嗣氏・講義 その2「遠くに大きく」>>

山野陽嗣(やまの・ようじ)
1979年12月14日生まれ。広島県出身。立正大卒業後、Palm Beach Pumas(米国)、 CD Lenca(ホンジュラス)でプレー。コーチとしては、立正大学、 アルビレックス新潟シンガポール(シンガポール) ※GKコーチ兼選手 、 アルビレックス新潟ユース、Real Sociedad(ホンジュラス)、Parrillas One(ホンジュラス)、Real Sociedad 、U-20ホンジュラス代表GKコーチ ※U-15ホンジュラス代表GKコーチ兼任。

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