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サッカー選手を育てるのは「誰」なのか?/セルタU-10監督 フアン・レコンド氏インタビュー【3/3】

日本からも多くの指導者が視察に訪れる育成大国スペイン。彼の地でガリシア州を拠点にサッカー留学のコーディネート、エージェント業務を行うJ-ESP伊藤大輔氏の協力のもと、セルタのフアン・レコンドU-10監督に行ったインタビューの最終回は、日本とスペインにおける「チーム」や「団結」の認識の違いや、指導環境を考える上で欠かせない「保護者」に対するスタンスについて言及する。(コーディネート・取材/伊藤大輔 構成/COACH UNITED編集部)

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<<スペインのチームが『大人』に育つワケ

CU:日本ではまずグループ、チームに目を向けますが、スペインは個人にフォーカスしますよね。日本ではまず森を見、スペインではまず木を見るという違いでしょうか?

フアン:それはケースバイケースだよ。スペインでも基本的にはチームが第一だ。選手全員がチームの一員だと感じることを重んじている。例えばセルタというチームでは、すべての選手が『セルタ』の一員だと感じる、それが大事だ。大所帯であればあるほど、「チームに所属している」「チームの一員である」という帰属意識が意味を持つ。セルタのカンテラ(下部組織)には200人もの子どもたちが所属しているが、200人全員が団結するのは難しくとも、それぞれのカテゴリーではしっかりと団結できている。

CU:うまく意図が伝わらなかったかもしれません。日本にはまずグループ、チームで考えるという特有の考え方があって、おそらくスペインとは出発点が違うと思うのですが。。

フアン:うん、そこには2つの論点が混在していると思う。ひとつは文化的な側面。日本の文化がサッカーに反映されていて、日本人はとりわけグループを好むということかもしれない。君の言いたいことはわかる。だがサッカーは11人でプレーするスポーツだ。もし11人がそれぞれのポジションでベストを目指せば、チームのレベルは必然的に上がるだろう。しかし子どもたちの関係が悪ければダメで、全員が団結して取り組まなければうまくいくはずがない。それはスペインでも同じだ。むしろ違いを生むのは、『クラブ』というものに対する概念だろう。例えばセルタでは子どもたちが一緒に行動することが多い。違うカテゴリーの子どもたちが一緒に練習に来ることもあるし、同じバスに乗って帰ることもある。その積み重ねがセルタというクラブの一員であるという自覚を生むことになる。

CU:その「クラブに属している」という自覚、「ファミリーの一員である」という自覚が、チームビルディングにおけるスペイン特有の要素なのでしょうか?

フアン:そうかもしれない。10歳の子どもが『バライードス』(セルタのホームスタジアム)でボールボーイをやれば、例え一度もU-10の練習でプレーしたことがなくても、「セルタの一員」という感情を抱くことができる。もちろんクラブはクラブであって、それ以上の何ものでもない。でも子どもたちの中にはそれ以上の感情を生み出すことができる。一度ファミリーの一員になった経験があれば、それを拠り所にチームがひとつにまとまり、ひとつの目標に向かって行くことが可能になる。しかしこれは『セルタ』だからこそであって、もっと小規模のクラブで同じようには行かない。もし地方の小クラブにいるU-10の子どもに「セルタでプレーしたいか?」と聞けば、全員が「イエス」と答えるだろう。しかし仮に彼らがセルタにたどり着いたとしても、それだけではダメだ。そこに留まり続けるために練習をしっかりやり、チームを助けることが必要だ。

CU:確かに『ファミリー』という意識はチームをひとつにするのにとても有効ですね。

フアン:そう。例えばセルタとして試合をしに行けば全員から注目を浴びる。なぜならみんなセルタの一員としてプレーしたいからだ。カンテラという組織は想像以上に重要な意味を持っている。セルタのトップチームの選手は50パーセントがガリシア州の人間で、その中の半分がビーゴ出身の選手だ。子どもたちが練習に行って自分たちのクラブのトップ選手、同じ街から出た選手を見る――それは「自分もそこにたどり着ける可能性がある」という目標を与え、同時に『ファミリー』としての感情を生み出すきっかけにもなる。カンテラでの経験は『クラブエンブレム』を強く意識させることとなり、そこで培われるロイヤリティはクラブにとっても非常に重要なものだ。

CU:ジュニア年代では子どもたちの『保護者』もチームビルディングに影響すると思います。チームの外部要因として無視できない存在だと思いますが、あなたはどのようにお考えですか?

フアン:それは確かに重要な存在だが...私が大学で学んでいた頃の心理学の教授が言っていたよ。「親がやらなければいけないことは、子どもに『どうだった?』と聞くことだけだ」と。私も、親は子どもがどんなアクティビティをやろうとそれをサポートするだけでいいと思っている。時には「なぜ親が練習に行く必要があるのか」と質問することさえある。「学校の授業には行かないだろ?でもサッカーの練習には行くのか?」とね(笑)。子どもは学校に行って教師から授業を受ける。それはサッカーでも同じことだ。今の時代、サッカーに関わる人間はよく訓練されている。セルタでも99パーセントの監督が、監督の資格を取得するか大学のスポーツ科を卒業している。つまりその道でプロフェッショナルになれる人たちだ。プロの指導者のもとで保護者が心がけるべきなのは、何より子どもが楽しめるようにすることに尽きる。もし子どもが今いるチームで試合に出られないのなら、レベルは下がってもプレーできるチームに移れるよう導いてあげればいい。いくらサッカーがうまくても子どもがプロにたどり着くまでには13~14年かかるし、その間にはいろいろなことが起こる。親は監督と適切な距離を置き、監督をリスペクトすることがとても大事だ。そうでなければ、子どもが監督をリスペクトすることはないからね。

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