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【女子W杯プレビュー】岩清水梓の隠された才能/日テレ・メニーナ寺谷真弓監督インタビュー

来る6月6日、女子ワールドカップ・カナダ2015(以下、カナダ女子W杯)が開幕する。「なでしこジャパン」は果たして、大会連覇という偉業を成し遂げることができるのか――。今回は大会プレビュー企画として、岩清水梓や大儀見優季など、数々の女子代表選手を育ててきた日テレ・メニーナの寺谷真弓監督に、彼女たちの"秘話"を語っていただいた。第1回は、岩清水梓選手の隠された才能にフォーカスを当てる。(取材・文/小須田泰二 写真/金子悟)

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■W杯メンバーにメニーナ出身者が7人

遡ること1ヶ月前。5月1日、カナダ女子W杯に挑むなでしこジャパンのメンバーが発表された。宮間あや、大野忍、岩清水梓、大儀見優季、岩渕真奈、永里亜紗乃、宇津木瑠美...。佐々木則夫監督が読み上げるメンバーの経歴を見ると、日テレ・メニーナ出身者が実に7人を数えることに気づく。単純計算しておよそ3分の1にあたる。まさに日本屈指の育成クラブと言える日テレ・メニーナとは、いったいどんなチームなのか。

2000年から日テレ・メニーナの指導にあたっている寺谷真弓監督は、チームの特徴についてこう説明する。

「メニーナは日テレ・ベレーザの下部組織として発足したチームです。ですから、将来的にベレーザでプレーしたい選手しかいません。本気でベレーザに入りたいと思っていなかったらここにいる意味はない、ということを日頃から選手たちには言い続けています」

チーム編成は中学1年生から高校3年生までの6学年。セレクションは毎年8月に行なわれるが、首都圏を中心に「我こそは!」とチャレンジしてくる選手が多数応募してくる。しかし競争率は約20倍。合格者数は選手のレベルによるというが、平均して1学年あたり4、5人しか入部させないという。

「6学年一緒に活動するのがメニーナのこだわり。監督ひとりで見られるギリギリの人数はフィールドプレーヤーで22、23人。少数精鋭の理由は、1学年1人の割合でベレーザの選手が出ればいいという発想ではなく、5人全員育てたいという想いから。一人にかけるべき時間をかけないと選手は育たない。それが少ない人数しか取らない大きな理由ですね」

勝つことだけを優先したチームを作るならば、高校生を中心に11人のスタメンで戦えばいい。しかし、それではベレーザの育成組織として機能しない。

「あくまで"育成>勝利"という図式で指導していますから、年齢関係なく良い選手にはチャンスを与え、引き上げていく手助けをしています。たとえば実力的に同じ選手がいるとしたら、歳下の選手を使うようにしています。それがメニーナの特徴のひとつでもあります」

■岩清水の隠されたもうひとつの才能

国内屈指の超難関クラブの門をくぐり抜けてきたエリートガールたち。しかし、メニーナの選手たちの本当の競争は入団してからだ。トップチームに昇格できるのは1学年あたりひとりもしくはふたりだという。ベレーザ行きのチケットを手にした者たちに共通している点とは何か。

「ここぞという場面で力を発揮できること。今回のW杯メンバーに選ばれたメニーナ出身の顔ぶれを見ても、やはり"勝負強い"選手が多いかもしれません。最近の世代にはなかなかそういった選手が出てきていないのですが、特にイワシはその点に関して抜けていると思います」

この"イワシ"こと岩清水が現在、日本を代表するセンターバックであることは誰もが認めるところだろう。しかし岩清水がメニーナに入団したての頃、寺谷監督の評価は違っていた。これほどまで成長するとは想像もしていなかったという。

「これまで教えてきたなかで、一番ヘタクソでした。私が初めてメニーナを見るようになったとき、イワシは中学2年生でしたが、ひとつ下の学年に大儀見がいて、歳下の選手が試合に出ていく中でなかなか彼女は試合に出られませんでした。中学から高校に上がるときに"見極め"があるのですが、中3の春先の段階では『このままでは違う道を考えないといけない...』と思っていましたから」

まったくのノーマークだった彼女が、なぜベレーザに昇格できたのだろうか。

「同級生の中で、イワシだけ全国大会で優勝したときにも大会優秀選手のリストに名前がなくて、U-16日本代表にも選ばなれなかったことがあります。一番ヘタクソだったから、一番悔しい想いをしてきたのも彼女でした。自分が一番ヘタクソなんだという自覚を持っていたので、言われたことを素直に受け入れ、素直に表現していくことで、自分のストロングポイントを見つけることができた。イワシの場合はそれが"強さ"だったんですが、そのことに気づいてから一気に伸びていきました」

こうして、ひたむきな姿勢をもった岩清水の成長はとどまることなく続いていく。高校サッカー部という進学先を探すことも必要なくなるのだが、高校生になってほどなくして、寺谷監督は教え子の隠されたもうひとつの才能に驚かされたという。

「とにかくチャンスに強い。その後アンダー(年代別代表チーム)にも呼ばれるようになったんですが、絶対にレギュラーの座をつかむんです。なでしこジャパンでも、初めて先発出場した試合でアメリカ相手に初ゴールを挙げたように、節目で勝負強さを発揮するんですよ」

挫折を知っているからこそ逆境に強い。そんな心強い選手だからこそ、どの指揮官も安心してチームを任せられる。寺谷監督が2013年から2年間、日テレ・ベレーザの監督としてチームを率いた際も、キャプテンマークを託したのは一番ヘタクソだった教え子だった。

「一番ヘタクソだった選手がW杯で優勝トロフィーを掲げるんですから。一流選手として成長するためには何が必要なのか、彼女こそ子どもたちのいいお手本ではないでしょうか」

メニーナ魂の継承者、岩清水が今大会でどんな勝負強さを発揮するのか。なでしこジャパンの2連覇は、もしかしたら彼女の勝負強さにかかっているかもしれない。

■カナダ女子W杯 なでしこジャパンスケジュール

<グループリーグ>
6月9日vsスイス
6月13日vsカメルーン
6月17日vsエクアドル
<決勝トーナメント1回戦>
6月21or22or24日
<準々決勝>
6月27or28日
<準決勝>
7月1or2日
<3位決定戦>
7月5日
<決勝>
7月6日

■カナダ女子W杯 なでしこジャパンメンバー

▽GK
1 福元美穂(岡山湯郷)
18 海堀あゆみ(INAC)
21 山根恵里奈(千葉)
▽DF
2 近賀ゆかり(INAC)
12 上尾野辺めぐみ(新潟)
3 岩清水梓(日テレ)
5 鮫島彩(INAC)
19 有吉佐織(日テレ)
23 北原佳奈(新潟)
20 川村優理(仙台)
4 熊谷紗希(リヨン)
▽MF
10 澤穂希(INAC)
7 安藤梢(フランクフルト)
8 宮間あや(岡山湯郷)
9 川澄奈穂美(INAC)
6 阪口夢穂(日テレ)
14 田中明日菜(INAC)
13 宇津木瑠美(モンペリエ)
22 永里亜紗乃(ポツダム)
▽FW
11 大野忍(INAC)
17 大儀見優季(ボルフスブルク)
15 菅澤優衣香(千葉)
16 岩渕真奈(バイエルン)

澤穂希選手はなぜ世界一の選手になれたのか?>>

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寺谷真弓(てらたに・まゆみ)
1971年11月24日生まれ。東京都出身。現役時代は読売クラブ・ベレーザ(現日テレ・ベレーザ)、鈴与清水ラブリーレディースでGKとしてプレー。1999年から指導者の道へ進み、日テレ・メニーナ監督、日テレ・ベレーザ監督を歴任。岩清水梓、大儀見優季をはじめ、多数のなでしこ選手を育て上げた。日本サッカー協会公認A級コーチライセンス取得。現在は東京ヴェルディ・女子グループテクニカルダイレクターと日テレ・メニーナ監督を兼務する。

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