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【女子W杯コラム】小さくても勝てる! 大野忍や岩渕真奈から学ぶ世界との戦い方

グループリーグを首位で通過したなでしこジャパンだが、彼女たちは大会連覇を果たすことができるのか。岩清水梓、大儀見優季など数々のなでしこ戦士を育ててきた日テレ・メニーナの寺谷真弓監督に、彼女たちの"秘話"を語っていただくインタビューシリーズの第4回は、大野忍と岩渕真奈に学ぶ世界との戦い方について。体格差をカバーしながらいかにして世界と渡り合うか――。それこそが大会連覇の鍵を握る最後のキーワードになるという。(取材・文/小須田泰二 写真/金子悟)

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■体格のハンデはこれからも変わることはない

4年前の2011年7月。なでしこジャパンの快進撃が世界に大きな衝撃を与えたことは記憶に新しいところだろう。準々決勝で優勝候補のドイツを破り、続く準決勝でもスウェーデンを撃破。そしてアメリカとの決勝では二度リードされながら食らいつき、PK戦を制して初優勝を飾った。世界との圧倒的な体格差がありながら勇敢に立ち向かうその姿を見て、寺谷監督も教え子たちの戦いぶりに心を打たれた。

「4年前のドイツ大会では、彼女たちの勇敢な姿勢がとても印象に残っています。ドイツにしてもスウェーデンにしても、そして決勝のアメリカにしても、身長を比べただけで日本とは10センチ以上も上回っている選手がたくさんいましたから。そんな選手を相手に堂々と渡り合うことができたことは賞賛に値すると思います。そのうえ金メダルまで獲ってしまったんですから...」

あれから4年の歳月が過ぎたが、なでしこジャパンの欠点である「小さい」というハンデは克服できているのだろうか。

「体格のハンデというのは、おそらく永遠のテーマだと思いますね。欧米人と比べて、日本人はいまも昔も劣っています。これからも変わることはないと思っていいでしょう。サッカーのプレー自体は、佐々木監督が目指している戦術をピッチ上で体現できれば自ずと結果がついてくると思います。一方でより強くプレーする、より速くプレーする、より高くプレーするというフィジカルの観点では、もちろん真っ向勝負して勝つに越したことはありませんが、私が"指導者目線"で彼女たちに期待しているのはやはり、肉体的なハンデを背負いながらどう世界と渡り合っていくか。ひと言で言えば、組織的かつ機敏に動く日本の特長を活かしたサッカーでどう勝負していくかに注目しています」

ご存知の通り、今回のカナダ女子W杯はディフェンディングチャンピオンとして挑む大会。日本のサッカーはどの対戦相手からも徹底的に分析されていることが予想される。

「だからこそ注目しているんです。相手がいろいろな日本対策を立ててくる中で、その網をかいくぐって勝利を手にしていくか。そういった戦術的な駆け引きにも注目しています。4年前、なでしこジャパンは世界のメディアから"バルセロナのようなサッカー"だと高い評価を受けましたが、実際のバルセロナは相手から分析されている中でも、結果を出し続けているからこそ評価されていると思います。今大会で、日本はバルセロナのように相手にマークされる立場として戦うことになります。そうした状況で、戦術的にも技術的にもどのように相手のマークをかわしていくのか、すごく興味を持ちながら観ています」

■なでしこ選手の「かわす技術」を見て学ぶ

なでしこジャパンというチームは現在、国内外において大きな注目を集める存在となった。ファンだけでなく、女子サッカーに関わる選手や指導者が、彼女たちのプレーをお手本としている。言い換えれば、日本女子サッカーの進むべき道を示すことになるのだという。

「男子のサッカーと違って、女子のサッカーはまだまだ露出が少ないですから、こうした世界大会でしかほとんど情報を得ることができません。ですから、今回なでしこの選手が見せるプレーというものがお手本となって、子どもたちや指導者たちが多くのことを学ぶ場所になる。もちろん"戦って学ぶ"ことも大事ですが、"見て学ぶ"ことも大事だと思います。そこで私が個人的に学んでほしいと思うのは、先ほど述べたように、たとえば指導者目線だったらどうやって体格差を埋める戦い方をしているのか、選手目線だったらどうやってフィジカルコンタクトの技術を駆使してかわしているのか。W杯はいろいろな技術を学べる大会でもあるのです。これから世界で戦う選手を育てるためにも、なでしこの選手たちにはピッチに立ったら、気負いせずにしっかりいいプレーを見せてほしいですね」

日テレ・ベレーザの下部組織にあたる日テレ・メニーナでも、日頃からつねに「体格差」を意識して大学生と戦わせているという。中学生の時期からこうしたフィジカル的に上回る相手と戦いながら、そのハンデを埋める技術を学んでいるのだ。

今回なでしこジャパンに選ばれたメンバーの中で、身長が最も小さい選手は155センチの岩渕真奈。続いて156センチの大野忍、157センチの宮間あやといった選手が名を連ねる。いずれも日テレ・メニーナ出身であることは、決して偶然ではないのかもしれない。

「元なでしこジャパンの荒川恵里子との会話で忘れられないことがあるんです」と前置きしたうえで、寺谷監督はこう続けた。

「10年以上前に『日本がサッカーでメダルを獲れる日なんて来ないだろうから、いまのうちにレスリングに転向したら?』なんて冗談まじりで言っていたのに、『本当にメダルを獲ったね!』という話をしていたんですよ。たとえるなら『陸上の短距離走で決勝まで勝ち上がれない国がどうやったら世界一になれるのか? いや、体格的なハンデは絶対に埋められないだろう...』というのと同じ諦めを、指導者の自分が抱いていたんですよね。日本人の可能性を信じていなかった。でもサッカーは体格差を凌駕できるスポーツ。だからこそ挑戦のしがいがある。なでしこジャパンの小さな選手がどうやってハンデを補いながら渡り合っていくのか。繰り返しになりますが、ディフェンディングチャンピオンとして挑む大会で徹底マークされているからこそ、すごく意味があると思っています。いかにその網をかいくぐって勝利を手にしていくか。選手たちには『小さくても勝てる!』ということをいま一度示してほしいと思いますし、子どもたちや指導者のみなさんにも大会を"見て学ぶ"ことで、ヒントをつかんでいってほしいですね」

■カナダ女子W杯 なでしこジャパンスケジュール

<グループリーグ>
6月9日 vsスイス ○1-0
6月13日 vsカメルーン ○2-1
6月17日 vsエクアドル ○1-0
<決勝トーナメント>
6月21or22or24日 1回戦
6月27or28日 準々決勝
7月1or2日 準決勝
7月5日 3位決定戦
7月6日 決勝

■カナダ女子W杯 なでしこジャパンメンバー

▽GK
1 福元美穂(岡山湯郷)
18 海堀あゆみ(INAC)
21 山根恵里奈(千葉)
▽DF
2 近賀ゆかり(INAC)
12 上尾野辺めぐみ(新潟)
3 岩清水梓(日テレ)
5 鮫島彩(INAC)
19 有吉佐織(日テレ)
23 北原佳奈(新潟)
20 川村優理(仙台)
4 熊谷紗希(リヨン)
▽MF
10 澤穂希(INAC)
7 安藤梢(フランクフルト)
8 宮間あや(岡山湯郷)
9 川澄奈穂美(INAC)
6 阪口夢穂(日テレ)
14 田中明日菜(INAC)
13 宇津木瑠美(モンペリエ)
22 永里亜紗乃(ポツダム)
▽FW
11 大野忍(INAC)
17 大儀見優季(ボルフスブルク)
15 菅澤優衣香(千葉)
16 岩渕真奈(バイエルン)

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寺谷真弓(てらたに・まゆみ)
1971年11月24日生まれ。東京都出身。現役時代は読売クラブ・ベレーザ(現日テレ・ベレーザ)、鈴与清水ラブリーレディースでGKとしてプレー。1999年から指導者の道へ進み、日テレ・メニーナ監督、日テレ・ベレーザ監督を歴任。岩清水梓、大儀見優季をはじめ、多数のなでしこ選手を育て上げた。日本サッカー協会公認A級コーチライセンス取得。現在は東京ヴェルディ・女子グループテクニカルダイレクターと日テレ・メニーナ監督を兼務する。

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