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アジアをリードする日本サッカーの強みとは/JAPANの現在地

7月のCOACH UNITED ACADEMYは「JAPANの現在地」をテーマに、海外を舞台に戦う指導者から見た日本の現状を検証する。前半は「ベトナムから見たJAPANの座標」と題し、アジアの新興国で代表チームを率いるという難しいミッションに挑みながら、着実に結果を残しているベトナム代表監督の三浦俊也氏に迫る。「チームビルディング」を専門とする福富信也氏との対話を通じて、客観的な視点で見た日本サッカーのレベルや、異国の地で監督を務めるうえでのポイントについて語ってもらった。(取材・文/鈴木智之)

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■ベトナムと日本に共通するピッチ外の特性

近年、アジアで活躍する日本人指導者が増えている。三浦俊也氏もそのひとりだ。2014年5月にベトナム代表監督に就任すると、U-22代表監督も兼任。今年3月に行なわれたリオデジャネイロ五輪アジア一次予選では日本と同じグループに入り、0-2で敗れはしたものの組織的なサッカーで"自国"を苦しめた。

今回、三浦氏の相手を務めるのは、「チームビルディング」の第一人者として過去にCUAでも講演歴のある、東京電機大学サッカー部監督の福富信也氏。横浜F・マリノス育成コーチを経て、日本サッカー協会のS級ライセンス講座で講師を務めるなど、いま注目の指導者だ。

「日本と異なる文化を持つチームを、監督として率いる」。三浦監督の仕事は一筋縄ではいかない。ベトナム語は想像以上に難しく、三浦監督によると「選手の名前を呼んでも、彼らに通じないことがあるほど」だという。これをご覧の指導者の方は、言葉が通じない環境で指導をする機会はないかもしれないが、指導するチームを移るときや、違うカテゴリーを指導するにあたって、少なからず「サッカー観が違う...」と感じる経験をしたことがある方も多いだろう。

三浦監督はまず、ピッチ外でのベトナム人の特性に、日本人に似たものを感じ取ったという。

「ベトナム人は米を食べます。日本と同じ、農耕民族なんですね。皆が同じ行動をすることが得意なので、チームとして統率しやすい面はあります。また彼らはイメージしていたよりも、個別行動をしません。日本とはまた違う種類の上下関係があり、リーダーや上の人に逆らえない風潮がある。その点からすると、自己主張が足りないと感じることもありますね」

2014年の監督就任以降、三浦監督は「ベトナムの良い面を伸ばし、悪い面を修正する」ことに取り組んできたという。

「まず、ピッチの中で求めたのは勤勉性。これは外から見てあらためて日本人の長所であると認識していますが、常にハードワークを求めないと上位国に勝つことはできないので、ベトナムでも最低限"グラウンドの中"では追求しています」

アジアのトップであるオーストラリア、韓国、日本など、W杯に出場するレベルの国は、個の力に加えて組織としての集団性、チーム全員が一瞬たりとも手を抜かない勤勉性を備えている。それはブラジルW杯で優勝したドイツも同様だ。世界のサッカーが進化し、個人と組織が高いレベルで融合しているのが現代サッカーである。勝つための方法論は違うが、取り組むべき課題は世界のトップレベルであっても、アジアの国々であっても同じなのだ。

■アジア以前に目指すべきASEANの覇権

ベトナム代表の現在地はいったいどのあたりなのか。また目指すべきゴールはどこなのか。三浦監督によると「サッカー協会としては、ASEANの覇権を目標にしている」という。ASEANとは東南アジア諸国連合のことで、ベトナム、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、マレーシア、ミャンマー、ラオスの10ヶ国が加盟している。

今年6月に行なわれたSEA Games(東南アジア競技大会)は、SUZUKI CUP(2年に1度行なわれる、『東南アジアのW杯』と呼ばれる大会)と並んで、ベトナムサッカー界が重要視する国際大会である。U-23代表が参加したこの大会、ベトナムは準決勝でミャンマーを相手に、ゲームを支配しながらも1-2で敗れたが、3位決定戦でインドネシアに5-0と大勝して銅メダルを獲得した。この大会で優勝したのはタイだが、三浦監督の就任以降「ベトナムはASEANの中で、タイに次ぐ2番手にいる」と語る。

日本人の感覚では、W杯や五輪に出場し、上位に進出するのが共通の目標である。しかし、ベトナムは実力的に見てまだそこには届かない。ゆえに、東南アジアのW杯と言われるSUZUKI CUPや、SEA Gamesでの優勝を目指しているのが実情だ。三浦監督の就任から1年が経過し、これらの大会では結果を残しつつある(SUZUKI CUPではベスト4進出)。三浦監督はこの成績を受けて、次の目指すべき地点を語る。

「ASEANの中ではある程度の地位に来たので、次に目を向けるべきだと思います。自分自身は、五輪予選やW杯予選にやりがいを感じています。イランやUAEは格上で、試合をする前は『勝てるかな...』と思いましたが、十分に戦うことができました。いまは若い選手が自信を持ってやっていますし、手応えはあります」

ではアジアの上位国と戦って勝つために、ベトナム代表のどこを改善すべきと考え、何に取り組んだのか。次回は三浦監督のピッチ内での取り組みについてお届けしたい。

日本が目指すべき「ひとつ上の」技術レベル/JAPANの現在地
三浦俊也(みうら・としや)
1963年7月16日生まれ。釜石南高、駒澤大卒。指導者を目指してドイツにコーチ留学し、ドイツA級ライセンスを取得。帰国後に日本のS級ライセンスも取得した。JFL時代の仙台、水戸を皮切りに、J2の大宮アルディージャ、コンサドーレ札幌で指揮を執り、組織的なサッカーでJ1への昇格に貢献。その後もJ1のヴィッセル神戸やヴァンフォーレ甲府で監督を歴任した後、2014年5月からベトナム代表監督に就任、12月の東南アジア選手権(SUZUKI CUP)ではチームをベスト4へと導いた。リオデジャネイロ五輪を目指すU-22代表監督も兼任する。

福富信也(ふくとみ・しんや)
1980年3月23日生まれ。信州大学大学院教育学研修科修了。横浜F・マリノス育成コーチを経て東京電機大学理工学部へ。専任教員として教鞭を執る傍ら、サッカー部監督として指導の現場に立つ。JFA公認指導者S級ライセンスで講義を担当している他、Jリーグから育成年代まで幅広く指導するチームビルディング指導の第一人者。サッカーのみならず、スポーツ全般、幼~高までの教育分野、社会人などへの講演、研修、セミナーなど多数。著書に『
『個』を生かすチームビルディング』がある。2015年5月、組織論を主とした指導、研修、講演や執筆などの事業を行なう株式会社Humanergyを設立。7月18日には、講演「困難を乗り越えたチームが強くなる!」を主催。申し込みはこちらから。

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