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日本のGKが改めるべき2つの過ち/Jリーグ育成年代GKコーチ研修会レポート(4)

7月初旬、日本のGKのレベルアップを目指すJリーグが、FCバルセロナの育成組織GKダイレクターのリカルド・シガラ氏を招聘し、Jクラブのアカデミー指導者(GKコーチ)に向けた講習会を行なった。これまで3回に渡ってお届けしてきた「FCバルセロナが考えるGK育成」。最終回は「日本のGKの課題」について、シガラ氏の考えを紹介したい。(取材・文・写真/鈴木智之)

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<<バルセロナがGKを育てる4つの段階

■優れたGKはポジショニングでシュートを防ぐ

シガラ氏は今回の来日で、多くの日本人GKとトレーニングをしてきた。そこで、日本のGKについての感想を尋ねると、次のような答えが返ってきた。

「日本のGKの課題は2つあります。ひとつはポジショニング、もうひとつが判断です。ここ数日、日本のGKを見ましたが、全体的にスタートポジションが前に出過ぎている印象を受けました。さらに良くないのが、シュートを打たれるときに動いていること。これはGKとして、絶対にしてはいけないプレーです。GKはシュートが飛んでくる瞬間、上半身と下半身のバランスをとった状態で、両足を地面につけて、構えの姿勢をとることが重要です。これは日本だけの課題ではないのですが、『少しでもボールに近づきたい』という気持ちから、どうしてもスタートポジションが前に出てしまうのです」

なかでも若いGKに、ポジショニングや判断のミスが目立つという。それは「身体が動くため、すべてのボールを取れると思い込んでいる」(シガラ氏)からだと言う。身体能力に頼らずに、正しい判断のもとにポジションをとることができれば、労せずしてゴールを守ることになる。鮮やかなダイビングセーブに目が行きがちだが、本来、最も賞賛されるべきは、GKの適切なポジショニングによって、シュートを未然に防ぐプレーである。シュートを打たれさえしなければ、失点する可能性はほぼゼロなのだ。

「一般的に、30歳を越えるGKのポジショニング、姿勢は20歳のGKよりも良いものがあります。20歳のときは、すべてのボールを取れると思い込んでいるので、行かなくても良いボールに出て行ってしまいます。30歳になると、自分が取ることができるボールがわかってくるので、そのときだけ取りに行くようになります。それ以外のボールへの対処は、主にDFに行かせます。GKは声を出して、味方を動かすことも重要な仕事のひとつです。多くに注意を払う必要があり、ボールだけではなく、常に自分の身体をコントロールして、良い状態でシュートに反応することが重要です」

■ゴールに直結するGKこそ、もっと考えるべき

バルセロナの育成部門のGKコーチを統括するシガラ氏は、年に数回、全GKとGKコーチを集めて、テクニックと戦術を映像で理解させるという。そこではポジショニングの修正ポイントや正しい姿勢、構えを伝えたり、シュートの状況でどのようなプレーをしなければいけないかをレクチャーしている。

シガラ氏は「GKの守備は、4つの状況に分けることができる」という。それが、シュートストップ、クロスボールへの対応、DFラインの裏へ出てくるボールへの対処、相手選手と1対1の状況だ。シュートストップにしても、正面からのシュートなのか、斜めからのシュートなのかで、ポジショニングは変わってくる。

「シュートストップの場面で、多くのGKはボールに速く近づきたい、相手のシュートコースを狭くしたいという気持ちが強くなり、ポジションが前に出過ぎています。そうすることで、シュートに対する反応時間が短くなり、止められなくなる状況があります。また、シュートが飛んでくる瞬間に動いているため、両足が地面についておらず、正しい構えと姿勢をとることができなくなっているのです。その状態でシュートを打たれると、反応するのが難しくなります。味方選手がボールホルダーに寄せているのであれば、GKがするべきはゴールに戻ることです」

かつてバルセロナの守護神として、長きに渡って君臨したビクトル・バルデス。彼はバルセロナのカンテラ育ちで、21歳のときにトップチームデビューを果たした。以降の活躍はご存知のとおりだが、シガラ氏によると、バルデスは20代前半の頃、出なくてもいいボールに対して、ゴールを飛び出して対応することが多かったという。

「バルデスはポテンシャルはあったのですが、考える力はそれほど高くはありませんでした。日々のトレーニングで、判断の向上を重点的に行ないました。自分で状況を分析できているか、それがポイントです。そこに気づかせ、正しい判断ができるように導くことが、GKコーチの役割だと思っています」

シガラ氏は、いまでこそポジショニングについて的確に分析しているが、現役時代はあまり教わったことがなかったという。ポジショニングの重要性に気がついたのは、33歳での現役引退以降であり、「この知識を20歳のときに持っていれば、もっと良いGKになれただろう」と語っている。

「若いときは遠くへ飛べて、足も速い。だから、考えないのです」(シガラ氏)

近年、「考えてプレーすること」の重要性が叫ばれているが、ゴールに直結するポジションであるGKこそ、考えてプレーすることを突き詰めなければならない。さらには、選手、指導者だけでなく、サポーターやメディアなど、サッカーに関わる多くの人がGKというポジションの重要性に気づき、GKへの理解を深めることができたなら、日本サッカーはもう一段上のレベルに到達することができるだろう。

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