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「日本のトレーニングデザインには改善の余地がある」/ミゲル・ロドリゴの教室

「いま、選手たちには何が足りないのか」。現場の指導者はそう考え、トレーニングを組み立てます。あるコーチはワンタッチコントロールに取り組み、また別のコーチはクサビからのシュートにトライします――。確かに、目のつけどころは間違っていません。しかしトレーニングメニューに落とし込んだとき、果たしてそれは実戦で使える武器になり得るでしょうか。その観点で「日本のトレーニングデザインには改善の余地がある」と、現フットサル日本代表監督のミゲル・ロドリゴ氏は語ります。そこで、11月のCOACH UNITED ACADEMYでは「トレーニングデザイン」をテーマに、その原理原則から実践的なデザイン方法まで、全4回に渡ってミゲル氏のノウハウを公開します。(取材・文/木之下潤)

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■本当に実戦で使える技術トレーニングとは

セミナーの冒頭、ミゲル・ロドリゴ氏はこう話を切り出しました。

「あくまでも個人的な意見ですが、ジュニア年代の練習は技術トレーニングに特化したものが多い印象です。もちろん、来日して6年ほどですからすべての現場を見ているわけではありません。ただ、この部分においては改善の余地があると考えています」

ジュニア年代の指導現場に足を運ぶと、とりわけボールテクニックの練習をよく見かけます。ドリブルやパス、シュートといった技術トレーニングを同じ時間、同じ動作で繰り返し行なっています。一生懸命に汗を流しながらボールを扱っている姿は清々しく、選手もコーチも保護者も"練習をやっている"と感じています。

しかし、どこかフットボールとは違う風景に見えて仕方ありません。この違和感にお気づきでしょうか。

その理由はトレーニングの障害要素にあります。小さい頃はボールテクニック向上のために一人でやる練習も必要かもしれませんが、複数人が同時に同じ練習を行ない、対人に近い障害要素があっても十分にボールテクニックを習得することができます。むしろ、対人要素が加わることで"頭を使う"必要、つまり「判断」が生じるのです。ミゲル氏はこの点を強調します。

「技術トレーニングをやるときは、必ず戦術的な要素をセットにしなければなりません。技術と戦術は切り離してはいけないのです」

フットボールは11対11で競い合うスポーツであり、常に判断が求められます。それなのに一人でボールを扱って試合に活きるでしょうか。技術トレーニングには常に戦術的な要素を加え、頭を使いながらボールを扱うことでより実戦的なテクニックが身に付くのです。

ミゲル氏はさらにこう続けます。

「育成年代は段階に応じたトレーニングの設定が大事です。そこでポイントになるものが3つありますが、何かわかりますか? 答えはスペース、ルール、用具。私が日本の育成現場を見てよく感じるのは、『用具とルールを工夫してトレーニングすれば、子どもたちがもっと成長できる』ということです」

具体例を挙げてくれたのがボールでした。ミゲル氏はセミナーの中でフットサルボールの導入を推奨していますが、その理由はサイズが小さくローバウンドであるため、身体が小さい子どもでも足下で確実にボールを扱え、安心してテクニックの習得に集中できるから。また低反発のボールは、スキル向上において心理的にも大きな作用をもたらすそうです。

「通常のサッカーボールは反発力が大きいため、思いきりボールを蹴ったら遠くに飛んでいきます。だから当然、子どもは思いきりボールを蹴ってスカッとしたくなる。でも私は、これがスキル習得の妨げになっていると思っています。例えば危険な局面に出くわしたとき、誰しもボールを大きく蹴り出したくなるものですが、高反発のボールはそれを助長し、習慣化してしまいます。でも本来スキル習得において大切なことは、足下の周辺にボールを置いて扱うことではないでしょうか」

■あなたのトレーニングを見直す7つの原理原則

さらにミゲル氏は、トレーニングを考える上で大切なことを次のように語ります。

「ジュニア年代の成長にとって最も大切なのはモチベーションです。その要素は『参加時間』と『ボールに触る回数』ですが、2対2や3対3をスモールサイズで行なうことでそれらの状況が満たされます。そこにいろいろなルールや形を設けることでたくさんのバリエーションが生まれ、様々なスキルを習得できるのです」

状況やルール設定のアレンジで様々なトレーニングを体験させ、「もっと練習したい!」「サッカーっておもしろい!」という気持ちを感じさせることがスキル習得のスピードをアップさせるコツだといいます。その意味で、子どもにとって最高の喜びは「ゴール」。ミゲル氏は練習ですべての子どもがゴールを体験できるように、トレーニングを工夫することが重要だと説きます。

また、具体的にデザインしたメニューを選手たちが身に付けるためには、フィードバックの方法も大事です。指導者が答えを与えるのではなく、選手自身に気づかせる。それには「自信のタンク」を減らす引き算ではなく、増やす足し算でアプローチすることが重要だと訴えました。

ひとしきりトレーニングの原理原則について述べたミゲル氏は、最後にすべての指導者に向かってこう語りかけます。

「子どもには日頃から『自分の考えでプレーしなさい』と指導していることと思いますが、私がここで教えたトレーニングのノウハウも同じで、指導者が自分なりに考えて表現しなければなりません。選手たちと同様、指導者にもインテリジェンスが必要なんです」

子どもたちのトレーニングを考える上で重視すべき要素、身に付けさせるための状況設定や引き出し方のテクニックなど、トレーニングを多面的に捉えているミゲル氏ならではの「7つの原理原則」の詳細は、COACH UNITED ACADEMYのセミナー本編でぜひご覧ください。

「『インテグラルトレーニング』こそ実戦で活きる練習だ」>>

ミゲル・ロドリゴ(Miguel Rodrigo)
1970年7月15日生まれ。スペイン・ヴァレンシア出身。イタリアのルパレンセ・パドヴァやロシアのディナモ・モスクワ、スペインのカハ・セゴビアなどで指揮を執った後、2009年6月フットサル日本代表監督に就任。2010年AFCフットサル選手権3位。2012年AFCフットサル選手権優勝。2012 FIFAフットサルワールドカップでは日本代表史上初のベスト16に導く。2014年AFCフットサル選手権で大会2連覇を達成。FIFAインストラクター、スペインサッカー協会フットサル指導者資格保有。

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