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「『インテグラルトレーニング』こそ実戦で活きる練習だ」/ミゲル・ロドリゴの教室

11月のCOACH UNITED ACADEMYでは「トレーニングデザイン」をテーマに、フットサル日本代表監督ミゲル・ロドリゴ氏のノウハウを全4回に渡って公開します。前回ミゲル氏は「日本のトレーニングデザインには改善の余地がある」と主張し、まずは原理原則について熱く語ってくれました。続く第2回は「トレーニングのデザイン方法」。試合の中の状況を切り取り、トレーニングメニューに落とし込むまでの過程を、論理的にわかりやすく教えてくれました。(取材・文/木之下潤)

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<<「日本のトレーニングデザインには改善の余地がある」

■トレーニングは3つのフェーズでデザインする

「インテリジェンスのある選手とは、どんな選手でしょうか?」

ミゲル氏はそう問いかけた後、次々にその条件を挙げ始めました。

・視野を上手く活用できる
・カメレオンのように周囲を見渡せる
・自分の身体の向きを武器にできる
・あらゆるテクニックをどの状況でも使える
・ひとつだけでなく別のテクニックをすぐ引き出せる
・戦術的にイニシアチブを取れる
・目の前で起こる状況の一歩先を読み取る
......

細かく挙げ出したら切りがありません。もちろんこれ以外にもたくさんの条件があるでしょう。しかし、ここでミゲル氏が伝えたかったのは、トレーニングデザインにおいて最低限押さえておかなければならない条件があるということです。

「どんなにテクニックだけに特化した練習を行なう必要性に迫られたとしても、状況の認知と決断という2点だけは戦術的な要素として外してはいけません。その理由は、子どもたちが『いま目の前で何がどうなっているからこのプレーをやるんだ』という一連の考えをもとにサッカーをプレーしなければ、実戦で活きるスキルとして身に付かないからです。だから、認知力と決断力はトレーニングに組み込まなければならない最低限の戦術的要素なのです」

そして、それを踏まえてミゲル氏は、トレーニングをデザインするにあたりどんなことを考えなければならないのかを続けました。

「実戦で活きるスキルは、あらゆる要素を含んだ練習メニューを行なわなければ習得することは不可能です。それはテクニック、戦術、スピード、フィジカル、認知力、注意力、集中力といった要素に集約されるでしょう。だからトレーニングは、これらの要素をすべて統合しておかなければなりません。スペインではこれを『インテグラルトレーニング』と言います。簡単に言えば、ゲームで起こっている状況を切り出し、習得したいスキルが何度も起こるようにデザインして練習メニューを作るということです」

そう説明した上で、「言葉ではとても難しく感じるから」と、目の前で簡単な練習メニューを考案する過程を見せてくれました。

「重要なことは、ゲームで起こったひとつの出来事を3つのフェーズで考えることです。練習メニューは、この3つのフェーズを一連の構造として表現したものでなければなりません。具体的には次のようなことです。

【その前の状況】【ゲームで起こった出来事】【その後の状況】

当然、指導者は【ゲームで起こった出来事】を練習メニューの中で数多く再現し、子どもたちがそれに近い状況に出くわしたとき、その時々で最適なプレーを選択するスキルを学ばせたいわけです。だから、ゲームで起こった出来事をトレーニングの中心にデザインし、メニューを作らなければならないのです」

■「トレーニングデザインの現場」実況中継

ミゲル氏はホワイトボードを使い、トレーニングを具体的にデザインしていきます。

「まず考えることは、『トレーニング時間』『想定年齢』『テーマにしたい現象』です。例えば、子どもたちに習得させたいスキルのテーマを『2対1のカウンターアタックの守備』としましょう。想像してみてください。

この現象がゲームで起こった出来事だから...その後はこんなふうに展開にされて...こんな状況になったから...フィニッシュまで行かれてしまった...。だとしたら、この現象の前にはどんな出来事があったんだろう?

もしかしたら、コーナーキックの直後に起きた現象だったのかもしれない...。それならば【その前の状況】はコーナーキックだよな...。ペナルティエリアでボールを弾かれた後に、『2対1のカウンターアタックで守備する状況』になってしまった...。

でもうちのゴールキーパーが優秀だから、上手くディフェンスをコーチングしながらコースを限定してシュートを止めてくれた...。ここで冷静に状況を確認すると、素早くボールをフィードできれば数的優位が作れるよな...。そうすると逆に、うちのチームがカウンターアタックを仕返すことができる...。

このように、『テーマにしたい現象』をタイムライン化し、頭の中で少しずつ掘り下げていくことで、ゲームで起こった状況とその前後を容易に切り出すことができます。この3つのフェーズをトレーニングの構造として上手く表現し、練習メニューに落とし込むことで結果的に『インテグラル』なトレーニングになっているのです。

私たち指導者は『テーマにしたい現象』を選手一人ひとりに体感させるために、プレー人数や配置、ボールタッチ数、ゴールの大きさ、プレーゾーンなどの設定やルール、条件などを考え、その現象が起こりうるようにいろいろと試行錯誤することが仕事です

それはテーマにしたい現象が『カウンターアタックの守備』ではなく、『パス』であったとしても同じです。ゲームの中では必ず、テーマとする現象に対してその前に起こった状況とその後に起こった状況があるものです。それら3つのフェーズを抜き取り上手く構造化してデザインすれば、誰でもインテグラルトレーニングを生み出せるのです。

パスでも『中盤でのパス』なのか『ラストパス』なのかという想定によって、必ずその前後に起こる状況があるので、それらをまとめて抜き出してトレーニングをデザインしましょう」

ミゲル氏は赤ペンでホワイトボードに様々なことを記しながら、「インテグラルトレーニングこそが実戦で活きる練習だ」と熱弁を振るってくれました。

このインテグラルトレーニングは「もっとこの練習がしたい!」と子どもたちが高いモチベーションを持つことにつながっていることにお気づきでしょうか。また、子どもたちの『自信のタンク』にどんどん水を注ぐことができるトレーニングにもなっていることにお気づきでしょうか。詳しい「トレーニングのデザイン方法」はCOACH UNITED ACADEMYのセミナー本編でぜひご覧ください。

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ミゲル・ロドリゴ(Miguel Rodrigo)
1970年7月15日生まれ。スペイン・ヴァレンシア出身。イタリアのルパレンセ・パドヴァやロシアのディナモ・モスクワ、スペインのカハ・セゴビアなどで指揮を執った後、2009年6月フットサル日本代表監督に就任。2010年AFCフットサル選手権3位。2012年AFCフットサル選手権優勝。2012 FIFAフットサルワールドカップでは日本代表史上初のベスト16に導く。2014年AFCフットサル選手権で大会2連覇を達成。FIFAインストラクター、スペインサッカー協会フットサル指導者資格保有。

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