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本当の強みを見抜いて気付かせる3年間/高校サッカーの現在的意義を考える(2)

『上州のタイガー軍団』。群馬県の名門・前橋育英高校サッカー部の異名で、伝統ある黄色と黒の縦縞ユニフォームにちなんで呼ばれている。全国制覇はインターハイの1回のみながら、圧巻なのは輩出したプロの数だ。引退したOB選手も含めるとその数は100を超え、全国屈指のJリーガー育成校となっている。ではなぜ、ここまで多くの人材を輩出できるのか。同校で30年以上ものあいだ指導にあたってきた山田耕介監督に、高校サッカーにおける育成の秘訣を語ってもらった。(取材・文/安藤隆人)

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■カギとなるポジションに一番上手い選手を置く

山田監督がセミナーの冒頭で言及したのは、これまで前橋育英高を巣立っていったタレントについて。『魂のDF』と呼ばれた故・松田直樹氏については、「マツは本当に面白い選手で、練習でなんとなく"軽く"やっているように見えたので注意すると、『僕が一生懸命やると相手がケガしちゃうから』って返すんですよ。実際、マリノスや代表でプレーするマツはガンガン楽しそうにやっていた。選手は環境を与えることで変わっていくということが、マツを見てよくわかりましたね」と振り返る。

現在はトルコのブルサスポルでプレーする細貝萌のエピソードも興味深い。

「最初はゲームコントロールを優先する選手でしたが、『萌の良さはどこなんだ?』と訴えかけ、本当のストロングポイントに気付いてもらえるようにアプローチしました。彼のように身体が強くてボールをしっかりと奪える選手はなかなか現れませんから、根気強く言い続けてボランチで起用し続けた結果、本当の強みがどんどん強化されていきましたね」

入学当初はエレガントな司令塔タイプだった細貝の武器を見抜き、自覚が無かった本人の意識を大きく変えることで、その後の急成長につながったという。

さらに山田監督は、「青木剛や松下はキックの精度が違いました。彼らを見て思うのは、キックは磨けばどんどん上達するということ。単純作業だけど、毎日やればやるほど上手くなる。高校からだと技術はなかなか飛躍的には上がりませんが、キックは高校に入ってからでも上手くなります」と、基本技術の重要性と反復してやり続けることの重要性を説いた。

話を聞いて気づくのは、前橋育英高の出身選手の多くがプロとしてボランチのポジションで活躍していること。山口、細貝、松下、青木(拓)、田中、六平はもちろん、松田や青木(剛)もスタートはボランチだった。

「ボランチは前橋育英にとって絶対的な存在。ですから攻守の中心となる選手じゃないと成り立たないんです。これが例えば市立船橋だったらセンターバックでしょう。カギとなるポジションに毎年良い選手が出てくるのは、チームで一番上手い選手をセンターバックにしているからではないでしょうか。それがウチではボランチ。今年のチームでも、状況判断が一番良い選手をそこに配置していますね」

山田監督はボランチの育成を意図的にやっていることを明かしつつ、選手の条件として「抜群のスピードはなくとも、読みやキックの質で十分に通用するポジション。ワイドにはスピードやドリブルがある選手、トップには相手のセンターバックに負けないフィジカルやヘッドの強さが必要ですが、ボランチの一番は頭脳です。アタマを大事にしている」と語った。

■サッカーで一番大事なゴールに必要な「意外性」

続けて山田監督は育成年代全体を見たとき、頭脳的な選手と併せて「意外性」のある選手の育成を力説する。

「大迫勇也(1FC.ケルン)はすべての能力を持っている子だと思いました。高校選手権の準決勝で彼に2点取られて負けたのですが、反転能力、ボールを収める技術、キックの精度、オールラウンドにできるタイプでしたね。国見高校の選手たちも印象深い。小嶺(忠敏)先生も手を焼いた大久保嘉人(川崎)、彼のゴールへの嗅覚や推進力は当時からすごかったし、いまでもそれで生きていますよね。同年代で言えば、徳永悠平(FC東京)もすべてを持っている選手でした。

鹿児島実業の遠藤保仁(G大阪)は昔からあんな感じで、技術レベルと判断力が際立っていました。松澤(隆司)先生が『遠藤は遠藤なんだ』と完全に認めていましたからね。独特の間合い、キックの精度、リズム、あれだけハイレベルでできる選手はなかなか出てこないでしょう。あとは意外性で言えば、市立船橋の石田雅俊(京都)のトゥキックシュートも印象深い。僕の指導方針として、そういう意外性を持った選手を大事にしたいと思っています。

サッカーで一番大事なのはゴールを決めること。中盤でパスが多くつながるのが良いわけじゃない。その意味で、得点というのは相手の裏をつくことで生まれますよね。だから意外性が重要なんです。ボランチに関して言えば、逆サイドまでしっかりと見えていて、ワンタッチでサイドチェンジするようなプレー。たとえ取られたとしても、そこを見えていることが凄いわけです。『よく見えていたな』『よく狙ったな』ということをちゃんと見て褒めてあげないと、選手は同じプレーをやらなくなる。指導者はそこに気づいてあげることが大事ですね」

山田監督の指導。それは選手の本当のストロングポイントを見抜き、強みを活かした積極性を見逃さないこと。それらを褒めて気付かせ、さらに伸ばすこと――。COACH UNITED ACADEMYで公開中のセミナー本編で、30年超の指導歴を支える育成の本質に触れていただきたい。

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山田耕介(やまだ・こうすけ)
長崎県国見町出身。55歳。島原商時代はキャプテンを務め、インターハイ優勝を経験。法政大学を経て前橋育英高校サッカー部監督に就任し、個の特長を見抜き育て上げる指導でこれまでに100人以上のJリーガーを輩出してきた。チームとしてもインターハイ優勝1回、選手権準優勝1回、ベスト4が4回と全国でも屈指の成績を残している。

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