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日本の常識は世界の非常識!?「日常を変える」ために敢行すべき2つの具体策とは

インテンシティの高いサッカーを実践して毎年"即戦力"のプロ選手を育成・輩出している福岡大学。同校サッカー部監督の乾眞寛氏は全日本大学サッカー連盟技術委員長を務める立場から、長年大学サッカーや日本全体の育成について広い視野で考え、特に近年は19歳以降の『仕上げの育成』が抜け落ちる日本の育成システムに警鐘を鳴らしてきた。1月前半のCOACH UNITED ACADEMY後編では、乾氏が考える育成課題の"日本的"解決策として、昨今の育成シーンで叫ばれる「日常を変える」ための具体案を提言いただいた。(取材・文/小澤一郎)

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<<育成は18歳で終わらない!U-19年代からの『仕上げの育成』が必要なこれだけの理由

■指導者はいかに「日常を変える」べきか

A代表、U-19代表、U-16代表......2015年にアジアでの戦いに挑んだ日本代表がすべて「ベスト8止まり」だったことを受け、JFAから「日常を変える」というメッセージが発信されたものの、「育成年代の現場には抽象的にしか伝わっていない」と乾氏は危惧する。日常を変えるために具体的に何を変えればいいのか。2014年のW杯ブラジル大会惨敗から再起のために何を変えていくべきなのか。同氏は「いままでを正当化して継続していくべきものと、いままでを全否定してでも劇的に変えていくべきものとは何かが整理できていないのが現状」と言及する。

「日本サッカーの課題を解決するための答えはすべて、現場の指導に懸かっています」という言葉を口にした乾氏は、8年連続でこの時期に福岡大が行なっているスペイン研修(=4選手とコーチングスタッフをスペインプロクラブに派遣)を引き合いに出しながら、「スペインの育成の環境やトレーニングを数多く視察してきて、日本と最も違う点はプレーインテンシティ、日常のトレーニングの強度です」と語る。

■「オーガナイズのサイズ」を変える

例えば、日本のトレーニングにおけるオーガナイズはフルコートを確保できないチームが数多くあるという練習環境の問題はあるにせよ、ポゼッションなどのメニューでよりプレッシャーがかかりやすいスモールコートのグリッド設定が多い。その傾向について乾氏は、「プレーの再現性は上がりますが、実際のコートサイズの中で同じようにハイプレッシャーな状態を作り出すためには、守備側のエネルギー、インテンシティが通常の練習環境の何倍も必要になってきます。練習では5メートルのプレッシャーでいいところが、試合ではワンプレーで10メートル走らなければいけない。つまり、日本のトレーニングは実際のゲームに比べて、あまりにも小さ過ぎるサイズの中で行なわれているのです」と説明する。

実際に乾氏が「あるクラブのコーチから聞いた話」としてこうした現実を伝える。

「そのコーチが広めのオーガナイズをしたところ、選手から『コーチ、こんな広いオーガナイズではボールを追えません』と言われたそうです。私は逆に、その広いサイズでボールを追うことで強さを身に付けてもらいたいのです。そういった出来事を見ても、日本の常識と世界の基準の間には大きな違いがあります。トレーニング・オーガナイズのサイズを変えていくこと。小さなサイズがすべて悪いわけではありませんが、最終的には実際のゲームサイズでトレーニングし、パフォーマンスを向上することが大切です」

セミナー本編では付録として、乾氏が昨年研修を行なったスペインのエルチェCFでの練習メニューの紹介と、その狙いについて解説が加えられている。ぜひご視聴いただきたい。

■「試合の環境」を変える

「日常を変える」ための2つめの提案として、乾氏は「試合環境を変えること」を挙げる。

「同年齢のカテゴリーの中で試合を続けていることは、果たして選手を本当に成長させることにつながるのでしょうか。18歳以下の選手で行なわれている現在のU-18プレミアリーグとプリンスリーグは、同世代の選手の中だけでの優劣を決めています。しかし、世界に目を向けてみると、18~21歳で優秀な選手はその国の3部・4部リーグで、年上のベテランや異なる年齢の選手と日常的にプレーをしています。逆に、いつまでもユース年代のタレントが"ぬるま湯"につかっていても、何も成長にはつながりません」

もちろん、日本の育成において同年代のリーグ戦文化が浸透したこと自体を否定しているのではない。今シーズンからはJ3の中にFC東京、ガンバ大阪、セレッソ大阪の3クラブがセカンドチームを参戦させる新たな試みもスタートする。その上で乾氏が提案するのが、同年代・同質のリーグ戦ではない新たな枠組み、つまりはJユース、高体連、大学連盟という異なる3つのカテゴリーが競い合う新構想のリーグ戦だ。

「Jユースと高体連、大学連盟が同じリーグで戦うということは現実的には非常に難しいことのように思われますが、日本の優秀なユース年代の選手を19歳から21歳の『仕上げの育成』期間でもう一段高いレベルに育て上げるためには、いままでの常識ではなかった発想のリーグを創設していくことも必要だと思います。大きな予算を費やしてこのまま同年代のリーグをやっても、試合環境が甘ければインテンシティは上がらず、球際の厳しさやずる賢さを学べず、日常を変えることもできません」

最後に乾氏は「われわれ現場の指導者が変わらなければ、日本代表は変わりません。その現実をみなさんも一緒に背負って下さい」という言葉で締めくくった。当事者意識を持って育成の指導者から日本サッカーを変えていく。乾氏が今回行なった2つの提案からは、指導者としての責任と矜持を感じることができた。

乾眞寛(いぬい・まさひろ)
1960年3月22日生まれ。島根県出身。筑波大学大学院卒。現福岡大学スポーツ科学部教授、福岡大学サッカー部監督、日本サッカー協会公認S級コーチ、(一財)全日本大学サッカー連盟技術委員長。2005年のユニバーシアード・イズミル大会では、日本代表監督として世界一(3連覇)を達成。福岡大での32年以上の指導の中で56名のJリーガー、永井謙佑(名古屋)ら5名の日本代表選手を輩出している。

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