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地域の子どもをその地域でサッカー選手に育てる方法/KAWASAKIモデルのすすめ

Jクラブと街のクラブチーム、学校の部活動が一体となって選手を育てる。サッカーに必要な「一貫指導」を、地域ぐるみで取り組んでいるのが川崎市だ。川崎に拠点を構える川崎フロンターレの呼びかけで発足した『川崎アカデミープロジェクト』の活動について、同クラブの育成部・育成プロジェクトグループ長・川口良輔氏に語ってもらった。(取材・文/鈴木智之)

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■子どもたちの"人材流出"はなぜ起こるのか

川崎市の人口は147万人。子どもの数も多く、4種年代(小学生)のクラブも多数存在している。しかし小学校・中学校・高校の縦のつながりが薄く、以前は各年代をつなぐ継続的な指導や活動ができていなかった。その結果、才能のある川崎の子どもたちが中学校に上がる際に、近隣の横浜市や東京都のクラブを選択するという"人材流出"が起きていたのだ。川口氏は言う。

「小学生・中学生・高校生がそれぞれ週末に活動しているため、顔を合わせる機会があまりありませんでした。小学生の立場からすると、中学年代のクラブや中体連のチームにどのような指導者がいて、どのような活動をしているかを知る機会がほとんどなかったわけです。川崎はサッカーが盛んで熱意を持った指導者の方もたくさんいますが、それを知る機会がなかったので近隣の横浜や東京のクラブを選ぶ子どもたちが増えていました」

川崎市は周辺地域への交通アクセスもよく、近隣には東京ヴェルディ、横浜F・マリノス、横浜FCなどのJクラブの他に、多数の強豪街クラブが存在する。数ある選択肢から市外のクラブを選ぶ子どもたちが増えていたのだが、アクセスが良いとはいえ1時間程度かかるケースも少なくない。学校が終わってからグラウンドへ移動し、練習をして家に帰る頃には夜も更け、食事のタイミングも寝る時間も遅くなって満足な睡眠をとれない...というスパイラルに陥ることもあるという。栄養面や休養面から考えると、徒歩や自転車で通える範囲に、良い環境で指導を受けられるクラブがあるに越したことはない。

そこで「川崎の子どもたちのサッカー環境を整備するため」、2012年に川崎フロンターレの旗振りのもと、地域の小学生・中学生・高校生に携わる指導者たちが集まり、話し合いの場についた。それが『川崎アカデミープロジェクト』の発端だ。

どの年代の指導者も「子どもをもっと上手くしてあげたい」という思いは同じ。「川崎アカデミープロジェクト」が立ち上がる前は指導者の熱意が各カテゴリーで完結していたのだが、このプロジェクトによって子どもが小学生から中学生、中学生から高校生へと、地域の中で階段を上る道筋ができ始めた。

同プロジェクトの特徴的な活動が2つある。ひとつが異なる年代の選手と指導者の交流。そしてもうひとつが指導者講習会の実施である。小学生の子どもたちが中学生年代の指導者の指導を直に受けることで、「あの中学校やジュニアユースのクラブに行くとこんな練習ができるんだ」と感じることができる。いままでは情報がなかったため選択肢に入らなかった進路を知り、実際に体験して身近に感じることで「行ってみようかな」という気持ちが芽生えていく。

「地域が一体となって子どもたちを育てる」という活動で、次にポイントになるのが「何を教えるか」だ。小学生年代での指導と中学生年代の指導内容が乖離すると、選手は混乱してしまうもの。そこで同プロジェクトでは定期的に指導者講習会を実施し、各年代で何を身に付けるべきかを各種の指導者間で共有してきた。そして川崎市内の小中学生を集めたトレセンで実行し、実際の指導の質を高めていったという。またあるときは川崎フロンターレの麻生グラウンドを使い、プロの指導者が中学生を指導する「ポジション別トレーニング」を開催したこともある。地域にJクラブがあるからこそできる活動であり、子どもたちはプロが練習するグラウンドでトレーニングができるというかけがえのない体験をすることができた。

■Jクラブに依存しない持続可能なプロジェクト

ここまで川崎フロンターレを中心に本稿を展開してきたが、この取り組みが興味深いのは「川崎フロンターレの事業」としては行なっていない点だ。フロンターレ育成部の川口氏がリーダーとなってプロジェクトを推進してはいるが、事業主体は川崎市サッカー協会であり、地域の人々(学校の先生や街クラブの指導者)が中心となって組織が作られている。川口氏は言う。

「中心的な人物がいなくなるとプロジェクトが頓挫してしまうというパターンは避けたかったので、地域にいある多くの指導者が関わる組織作りを心がけました。フロンターレとしてはあくまで地域貢献の一貫として行なっていて、川崎市で育った子どもたちが将来プロになり、フロンターレの一員になってくれれば...という長期的な視点で捉えています」

具体的にプロジェクトの中でどのような活動を行なっているかはセミナー本編に譲るが、川口氏の言葉で印象的だったのが「川崎は子どもの数は多いのに、グラウンドの数が少ないという現状があります。こうした課題は地域によって異なるので、それぞれの地域に根差した目的を持って取り組むことが大切だと思います」というメッセージだ。

おそらく、この動画をご覧になることで「自分の地域でもやってみたい」と考える指導者が出ることだろう。川口氏も「プロジェクトの進め方について質問があれば何でも聞いてほしい」というオープンな姿勢のもと、動画ではプロジェクトで作成した資料を公開しながら詳細に説明しているので、興味のある方はぜひセミナー本編をご覧いただきたい。こうした「地域一体型の選手育成」が広く普及すれば、日本サッカーの土壌もさらに豊かなものになるだろう。

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川口良輔(かわぐち・りょうすけ)
1971年5月8日生まれ。静岡県出身。川崎フロンターレ育成部・育成プロジェクトグループ長。川崎のスクールコーチやU-15監督として育成年代の指導にふれ、スカウト部門で長らく選手の発掘・獲得に携わったのち現職へ。「川崎アカデミープロジェクト」のプロジェクトリーダーとして、各種年代の指導者同士がつながることで実現する地域一体型の育成スキームを構築した。

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