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ボールを奪うところから攻撃を意識させる / 「攻守の切り替え」を早くするドイツ流コーチング術

COACH UNITED ACADEMY、中野吉之伴氏のトレーニング後編は『2+1対3(ゴール、GKあり)』からスタート。トレーニングに参加したのは、地域の少年団の選手たち20名だ。(取材・文 鈴木智之)

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■「攻めるためにボールを奪う」意識を刷り込む


前編で紹介した「3+3対3のポゼッション」の次は、ゴールを使ってより実戦に近づけていく。縦長のコートにゴールを2つ置き、オレンジチームとビブスなしチームに分かれる。オレンジチームは3人がコートに入り、ビブスなしチームは2人と1人に分かれ、2人が前、1人が後ろにポジションをとる。コーチがボールをコートに入れたらスタートとなる。

コーチがボールをピッチに入れるときは、オレンジチームが3人、ビブスなしチームが前に2人、後ろに1人という配置でスタートするのがルールのため、オレンジチームは3対2で数的優位になる。そこで素早くフリーの味方を使ってパスを展開するのが狙いのひとつ。また、守備側の後方にいる1人の選手も、ボールがコートに入ればプレーに参加しても良いので、素早く3対3の状況を作ってボールを奪いに行く。

ここで中野氏からは「みんな、ボールを奪って攻めたいよね? ボールを奪うのは守備ではなく攻撃だよ。ボールを奪うことから攻撃が始まっていることを忘れないで」とアドバイスが飛んでいた。さらに「一回で出来るようにならないよ。何回もやろう」と繰り返しチャレンジするよう声をかけていく。

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■連携して作る「ゴールへの道」とは?


練習の最後は「4対4(ゴール、GKあり)」で締めくくり。1分間で選手交代という時間設定のもと、相手陣地でボールを奪ってゴールを決めたら3点。それ以外は1点というルールで行われた。ここでも中野氏は「相手からボールを奪うことが攻撃のスタート。ボールを奪ったら前を見て、チームメイトは前のパスコースを作る」とコーチング。また、次のようなアドバイスを送っていた。

「ボールを取って攻撃に移りたい。前に攻めたい。そのときに、前に味方がいなかったらどうなる? ボールを味方が取ったとき、前にパスコースを作ってあげよう。相手ゴールに向かって攻めるということは、ゴールへの道をみんなで作っていくこと。相手DFの後ろに隠れていたら道は作れない。門を開いて、道を使ってボールを動かそう」

2時間に渡って行われたトレーニングはこれにて終了。身体と頭を動かすウォーミングアップを経て、3対3では奪ったボールを味方に渡すことをテーマに行い、続いては3対2の状況で素早く攻めること。4対4ではゴールへの道を連携して作り、守備から攻撃へ素早く切り替えることを重点的に指導した。

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中野氏はトレーニング終了後、子どもたちに向けて次のようにメッセージを送った。

「サッカーは、攻撃があって守備があって切り替えがある。ボールを取ってからどうしようと止まる時間が、一番もったいない。最後のトレーニングでは、ボールが出た瞬間にみんながボールめがけて動き始めていた。それがすごく大事。前へのパスコース、ゴールへの道を作るといったように、考えてサッカーが出来るともっとうまくなるよ」

最後は子どもから「みんなの名前覚えた?」と聞かれ、中野氏が一人ずつ名前を呼んでいく場面もあり、およそ2時間のトレーニングですっかりと打ち解けたようだった。

中野氏のトレーニングの様子に加えて、COACH UNITED ACADEMY読者、ならびに育成年代の指導者に向けたメッセージなどは、ぜひ動画でご覧いただければと思う。

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中野 吉之伴/
武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。2009年7月にドイツサッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームでの研修を経て、元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCでU-16監督、翌年にはU-16/U-18総監督を務める。2013/14シーズンはドイツU-19・3部リーグ所属FCアウゲンでヘッドコーチ、練習全般の指揮を執る。


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