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技術の使い方を知らないネイマールを育てても意味がない / ブラジルNo'1育成クラブがジュニアで重視すること

COACH UNITED ACADEMYでは、怪物ロナウドを始め、ブラジルの全国選手権に参加する選手のおよそ40%を輩出するという育成の名門・クルゼイロの指導哲学を公開。日本でスクールやキャンプを展開する「クルゼイロ・ジャポン」の小林弘典コーチに、クルゼイロで選手達が行っている練習風景の動画を混じえながら、ブラジル流育成のポイントを教えてもらった。(文・鈴木智之)

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■サッカーに必要な"全部"をトレーニングする

ブラジルサッカーというと、才能ある選手を若いうちにヨーロッパへと送る「選手輩出型」のクラブが多い印象を受ける。しかしクルゼイロは「自前の育成組織で育てた選手を使って勝つ」という「ブラジルでは珍しい、育成型クラブ」(小林コーチ)だという。

ブラジルの全国選手権に出場するプロ選手のおよそ40%が、傘下のアカデミーで指導を受けた経験があるという名門クラブにおいて、彼らが大切にしていることはなんだろうか? 

「クルゼイロの指導は、人間を育てることにフォーカスしています。その部分は我々日本人も、共感できる部分だと思います。サッカーだけが上手い選手は、社会的に成功しません。今はよくても違うクラブへ移籍したり、ヨーロッパへ出ていく中で失敗してしまうのではないかと考えています。結果として、選手生命が短くなってしまうのです。そのために子どもの頃から、サッカー選手である前にひとりの人間なんだという指導をしています」

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才能があって努力を重ね、たとえプロになれたとしても、プロで長年活躍する、あるいは海外でプレーするためには、人間性の部分が不可欠になる。それらを低年齢のうちから教え込んだ上で、サッカー選手としてのトレーニングを行っていく。

では彼らは、どのようなトレーニングをしているのだろうか。小林コーチは「クルゼイロのコーチに、ジュニア年代ではどんなトレーニングをするの? と聞くと、『全部だよ』と返ってきます」と言う。

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■ネイマールのように"ボール扱いの上手い"選手はごまんといる

「クルゼイロのコーチは『子どもの頃からサッカーに必要なすべての要素をトレーニングするんだ』と言います。攻撃もあれば守備もあり、ボールを止める、蹴る、運ぶ、ヘディング、ボールキープ、フェイント...。私が『日本では、小学生年代は神経系を高める時期なので、とにかくボールタッチの練習やボールをたくさん触ることによって、技術を高めるという考え方がある』と言うと、クルゼイロのコーチは『それは君たちの考えだから尊重するけど、我々は賛同できない』と言いました」

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疑問に思った小林コーチが「どうして?」と尋ねると、次のような答えが返ってきたという。

「サッカーでは、身につけた技術をいつ・どのように使うのかが一番大切なんだ。ブラジルには、ネイマールのようにボール扱いの上手い選手はごまんといる。でも、誰もがネイマールのようにスターになれるわけではない。それどころか、プロになることすらできない選手もたくさんいる。その違いは、持っている技術をいつ、どのように使うのかを理解しているかどうかだ。だからこそ、小さい頃はドリブルだけをすればいいという指導は、我々は賛同できない。大人になって自陣の深い位置でドリブルをしないのであれば、子どもの頃から『どこでドリブルをすればいいのか』『どのような判断が有効なのか』を指導していくのが、我々のやり方だ」

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■日本の子ども達の「競争心」をどう育むか?

COACH UNITED ACADEMY動画では、この他にも興味深いエピソードをたくさん紹介している。たとえば、ブラジル人と日本人のメンタリティについて。小林コーチは次のように述べる。

「自我が強いブラジル人、謙虚で規律正しい日本人。そもそものスタート地点の違いを理解した上で、クルゼイロのコーチは日本の子どもたちに、戦うこと、勝つこと、競争心を煽る指導をします。本来、子ども達は一番になりたいはず。競争で一番になった子をみんなで褒めるのがブラジルのやり方です。そうすることで、競争に勝つことの素晴らしさを身につけさせ、競争心を育んでいきます。一方の日本人は、ミニゲームで点数を数えない子が多いですよね。ブラジル人はコーチが何も言わなくても『いまは2-0だよ』『0-1で負けているんだから、もっといかないと』と自然に喋ります。それは、勝ちたい気持ちが強いからです。日本の子にも点数を数えるように声をかけたり、負けたチームは簡単な罰ゲームをする、あるいは勝ったチームを拍手で称えるなど、競争を促す工夫をしてあげてほしいと思います」

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さらにCOACH UNITED ACADEMYでは、ここでしか見ることのできない、クルゼイロの選手達が行う貴重なトレーニング動画を紹介。前編で取り上げた「ペダラーダ(またぎフェイント)」を上達させるためのボディフェイントや、カポエイラのトレーニングで行われる、身体を揺らすジンガの動きなどを公開している。他にも、子ども達を飽きさせないように、遊びの要素を入れたウォーミングアップなども見ることができるので、ぜひ動画をご覧頂ければと思う。

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【講師】小林 弘典/
クルゼイロジャポン指導部門責任者。高校時代にブラジルに留学し、2006年にもコーチ留学を経験。サンパウロ州公認フットサルライセンス取得。2013年より毎年、クルゼイロtoca1(育成組織)にてコーチ研修を受ける。JFA公認サッカーB級、フットサルC級ライセンス保持

【実演】横林 洋士/
クルゼイロジャポン事務局長。1995年にブラジルへ武者修行。1997~2000年にブラジルのクラブとプロ契約を結び、各州選手権でFWとして活躍した。JFA公認B級ライセンス取得中

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