TOP > コラム > 高い位置でプレスをかけるタイミングと判断/ショートカウンターからシュートまで持ち込むトレーニング

高い位置でプレスをかけるタイミングと判断/ショートカウンターからシュートまで持ち込むトレーニング

高い位置でボールを奪い、スピードを落とすことなくゴールまで持ち込む。いわゆる「ショートカウンター」は、得点を決めるための有効な手段だ。ただし、やみくもに高い位置からプレスをかけると、かわされたときに相手の前進を許してしまう。

ショートカウンターを実行する上で、プレスに行くタイミング、ボールを奪う技術、味方との意思疎通など、身につけるべき要素はたくさんある。そこで今回は福岡BUDDY FC U-12の村上将平コーチに、ショートカウンターからフィニッシュまで持ち込むトレーニングを実践してもらった。(文・鈴木智之)

この内容を動画で詳しく見る

murakami01_01.png

次回の記事を読む >>

相手の攻撃側が後ろを向いているときにプレスをかける

前編のテーマは「プレスとディレイの習得」。最初は「ゴールをつけた1対1(GKあり)」からスタートした。選手がじゃんけんをし、あいこになった瞬間にプレー開始。横に並べてあるコーンを手でタッチして、スタート地点に戻るタイミングで、コーチが攻撃側の選手にパスを出す。

パスを受けた攻撃側の選手は相手をかわし、ゴールを目指す。守備側はボールを奪い、横に並べてあるコーンの間にドリブルで入れば勝ちとなる。

murakami01_02.png

守備側の選手はまず、攻撃側からボールを奪うことを目指すのだが、このときにポイントになるのが「攻撃側の選手が、どのような状態のときにボールを奪いに行くか?」だ。

村上コーチは選手のプレーを見ながら、次のようにアドバイスを送る。

「攻撃側に良いボールが入ったときは、守備側はゴールへのコースを切る位置に立ち、プレーを遅らせよう。GKは守備側にコーチングし、ポジションを調整すること。守備側はシュートコースを限定しよう」

murakami01_03.png

攻撃側に良いボールが入るかどうかは、パスを出すコーチのさじ加減によって変わる。あえて浮き球のパスを出したり、足元に入れるなどして、攻撃側、守備側とも状況にあわせてプレーするように導いていく。

「守備側は攻撃側に対して、良いボールが入っていないときはプレスをかけよう。ボールが移動しているときに、できるだけに近くに寄り、前を向かせない守備をすること。相手に近寄ってボールを奪いに行くときに、重心を前にかけすぎると、入れ替わってしまうので、重心は後ろにしよう。簡単に前を向かせず、チャンスがあれば奪い取ろう」

村上コーチは選手に問いかけながら、実演を交えて正しいプレーを伝えていく。選手に対するアプローチは的確で、非常にわかりやすい。

murakami01_04.png

攻撃側が後ろを向いているときはプレスをかけるが、相手が前を向いたら少し下がってプレーを遅らせて、コースを限定する。このような判断は小学校高学年であれば、十分に理解できる部分だ。

また、コーチが出すボールばかりを見て、攻撃側の選手の動きを見ていない守備側の選手に対しては「ボールと相手(攻撃側)の両方を見ること。ボールだけを見ていると、簡単に裏を取られるよ」とアドバイスしていた。

実際に、攻撃側の選手が守備側の選手の背後に出て、コーチからのボールを受ける場面も収録されている。このあたりの選手の判断、それに対するコーチングは参考になるだろう。

味方と連動して守る時は「2人の間を抜かれないこと」を意識する

2つ目のトレーニングは「ゴールをつけた1対2→2対1(2GK)」。攻撃側1人、守備側2人がピッチ横にスタンバイし、コーチがボールをピッチに入れたらスタート。1対2が始まる。攻撃側はゴールを目指し、守備側はボールを奪い、2対1の状況で反対側のゴールを目指す(オフサイドあり)。

murakami01_05.png

ここでポイントになるのが、ファーストDFがプレスに行く意思を見せ、もうひとりがカバーすること。1人目のDFは数的優位なので、積極的にプレスをかけて奪いに行く。

ボールを出すコーチは、グラウンダーや浮き球などボールの質を変えることで、選手の判断にもアプローチすることができる。浮き球の状態であれば、守備側は攻撃側がマイボールにする前に激しく寄せる。あるいは攻撃側の足元に素早くボールが入ったら、ファーストDF、セカンドDFの役割を整理し、プレスに行くなど、判断の要素を入れ込むこともポイントだ。

murakami01_06.png

村上コーチが守備側にアドバイスしたのが「2人の間を抜かれないこと」。2人の間を突破されると、一気にゴール前に進まれてしまうので、それはなんとしても避けたい。そこで、2人で縦と中のコースを塞ぎながら寄せ、ボールを奪いに行くことをレクチャーしていった。

村上コーチは全体的にシンプルな言葉遣いで、わかりやすくコーチングしていた。それに呼応するように、選手たちのプレーの質も上がっていった。選手たちの質の高い技術、判断も踏まえて、ぜひ全容を動画で確認していただければと思う。

後編では、予測してボールを奪ってから攻撃まで展開する実践的なトレーニングを紹介したい。

次回の記事を読む >>

この内容を動画で詳しく見る

【講師】村上将平/
福岡BUDDY FC、東福岡高校で選手としてプレー。20歳から出身クラブである福岡BUDDY FCで指導者を初め、現在11年目を迎える。