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日本と海外の「差」から何を見出すのか/世界基準のジュニアスカウティング

2014年・2015年と2年連続で、日本の東京都U-12が準優勝を飾った「U-12ジュニアサッカー ワールドチャレンジ」。そこでの戦いには日本の選手が世界の強豪と渡り合うためのさまざまなヒントが隠れているのではないか――。10月前半のCOACH UNITED ACADEMYでは、欧州を中心にサッカー留学をサポートするユーロプラスインターナショナルで、ジュニア年代のスカウトを担当する松下イゴール氏に、世界基準で考える「ジュニア年代で評価の高い資質」について語ってもらった。(取材・文/隈崎大樹)

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■10歳の子どもにも、すでに人格が形成されている

いまやジュニアサッカー夏の風物詩となった「U-12ジュニアサッカー ワールドチャレンジ」。日本の参加チームにとっては、世界レベルにどれだけ近づけたかを見極める重要な大会のひとつとなっている。その中で、東京都U-12が残した2年連続の準優勝という好成績は、日本の育成年代が着実に世界との差を縮めていることを物語っている。しかしその一方で、選手個人の"タレント性"に目を向けると、日本の子どもたちはまだまだ海外の選手に比べて見劣りするのも事実だろう。ジュニア年代を専門にスカウティング活動を行なっている松下イゴール氏は言う。

「私は国内外で年間1000人以上の子どもたちを対象に、実際にピッチに足を運んでスカウティングを行なっていますが、はっきり言ってテクニックの面では、日本の子どもたちは世界と遜色なく競えるレベルにあります。いや、ひとつのテクニックのディテール部分、例えば『止めて蹴る』や『正確なパス』などで比較すると、むしろ秀でている部分が多い。それは育成年代の指導者が工夫して積み上げてきた指導の賜物で、ぜひ胸を張っていただきたい」

では、海外と日本の子どもではどこに違いがあるのか。真っ先に挙げられるのは、海外には「自立」のできている子どもが多いことだとイゴール氏は指摘する。

「私が海外でスカウティングをしていると目に留まるのは、子どもたちが選手や監督に堂々と『主張』をする場面です。ただ感情をぶつけるのではなく『私はこう思った。それはこのような理由があるから。だから私はこうしたい』とロジカルに訴えるのです。もちろん子どもですから、ときには利己的な理由やつじつまが合わない主張もありますが(笑)。つまり、10歳前後の子どもたちの中には、すでに人格が形成されていることが窺えます。そういった選手の大きな特徴として、プレーに迷いがない。その年代からすでに自分の"色"を出してプレーしている印象が強いですね」

■個人として主張する力と、チームで一丸となる力

イゴール氏が説明した通り、海外の選手は自分の考えをしっかりと持ち、いわば「ブレない軸」を持ってプレーをしているように感じられる。私が南米のパラグアイでフットサルをしていたときのこと。そこでは10歳くらいの子どもから大人までが、ごく当たり前に混ざって試合をしていた。その対戦中、私がボールを持ったとある場面は、味方の大人と子どもの両方にパスができる状況だった。私は「大人の方がしっかりコントロールしてくれるだろう」と、何気ない判断で大人にボールを渡したのだが、その瞬間「KUMA! なんで僕にくれないんだ! こっちの方が良いスペースがあるだろう!」とアピールを受け、まだあどけない顔から発せられたとは思えない主張を堂々とぶつけてきたその子どもを、プレー云々ではなく一人の立派な選手であると認めざるを得なかった。その後の私が、彼を"一人前の選手"と見てプレーしたことは言うまでもない。

一方で日本の子どもたちは、チームとしてのまとまりに長けていると言われる。「従順さ」や「戦術遂行力」といった側面で語られるように、作られた決まり事や目標にチーム一丸となって突き進む能力が高いのだ。今回の東京都U-12で指揮をとった米原隆幸氏も「ゲームコンセプトや戦術の徹底に余念がなかった」というエピソードを語ってくれたが、まさにその特徴が日本のストロングポイントであり、これからも継続して向上させていくべき資質だと言えるだろう。

ではいったい、イゴール氏が前述した「自立した選手」を日本から輩出するために必要なものは何か? そして、実際に氏が考えている選手の選考基準とは? 指導者にとっても気づきの多いジュニアスカウティングの視点の詳細は、ぜひCAOCH UNITED ACADEMYでセミナー本編をご覧いただきたい。

■日本で学べるスペインのスカウト資格取得プログラム

来たる10月24日・25日、レアル・マドリー(スペイン)などのクラブでスカウティングを担当している現役スカウトのミゲル・アンヘル・ムニョス・バカス氏が来日し、日本ではまだまだ未成熟とされている選手スカウトについて指導する「スペインサッカー・スカウト資格プログラム」が開催される。

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このプログラムは現役の指導者・スカウトやこれからそれを目指す人材が対象で、「欧州トップレベルのスカウティングメソッドを基に構築されたプログラム」を、「スペイン語がわからなくても通訳が全行程に参加」するため「スペインへ留学することなく日本で学べる」のが特徴だ。

講義では「優秀なスカウトになるための資質」「育成年代各カテゴリーでの選手を見る基準」「早熟・晩熟、誕生日を知ることが重要」など、スカウトはもちろん指導者が選手を見る上でも役立つ内容が充実しており、受講後はスペインAFEN(Asocion Formativa de Entrenadores Nacionales)公認の修了証が発行される。

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松下イゴール(まつした・いごーる)
1976年9月25日生まれ。東京都出身。現役時代のポジションはFW。横浜フリューゲルスユースをはじめ、フランス・ecole st Martinへのサッカー留学も経験。その後はアメリカ・LA GALAXY、東京佐川急便SC、ドイツ・ダルムシュタッドでのプレーを通じて世界のサッカーを体感。現役引退後はサッカーコーチ、通訳、スカウトとして幅広く活躍している。

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