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今年もJリーガー3名輩出。どんな状態でも使える技術を磨く「ボールコーディネーショントレーニング」とは?

高い技術と個人戦術をベースとした、ポゼッションスタイルで注目を集める大阪府の興國高校。過去4年で7人のプロ選手を輩出し、年代別の日本代表にも選手を送り込むなど、個の育成において非常に注目を集めている。

今年は、大垣勇樹(名古屋)、西村恭史(清水)、島津頼盛(金沢)の3選手が内定。年代別代表でも活躍した大垣選手は、シーズン中にベンチ入りも果たし話題となった。高体連のチームから、3名の内定を獲得しているのは、市立船橋と興國のみ(2017年12月6日時点)。つづいて青森山田、前橋育英、東福岡が2名内定という顔ぶれを見るだけでも、いかに興國高校の育成レベルが高いかが伺える。

なぜ、高校選手権など全国大会に出場経験のない高校から、プロ選手が毎年のように生まれるのだろうか。その秘密のひとつが、興國オリジナルの「ボールコーディネーション」と呼ばれる練習にあった。

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(DVD「興國式サッカーテクニカルメソッド」より)

ボールの大きさや重さを頻繁に変えることで技術習得が早まる

ボールコーディネーションとは、ドリブルやリフティング、パスなどボールコントロールの練習をリズムでつなぎ、前後左右の動きをつけた、コーディネーションの要素を含んだ技術練習のことを言う。

このトレーニングで使用するのは、3号球の大きさで、5号球と同じ重さのボール。あるいは表面がゴムでできている、柔らかくて小さいリフティングボール。なぜ、小さくて重さの異なるボールを使って、練習をするのだろうか? 興國高校サッカー部監督、内野智章氏が説明する。

「脳科学によると、ボールの大きさや重さを頻繁に変えることによって、脳に違う種類の刺激が行くそうです。普段、試合で使っているボールと重さは同じなのに、大きさが違うという刺激を皮膚や筋肉に与えることで、脳を活性化させて、技術の習得を早くする狙いがあります」

ボールコーディネーショントレーニングは、神経系の発達を促進し、身体の動きをスムーズにしていく。この「身体の動きをスムーズにする」というのが、ボールコーディネーションの目的のひとつ。決して、器用に足技を繰り出すために練習をしているのではなく、どんな状態でもボールを自在にコントロールし、プレーのスピードを落とさないためのトレーニングなのだと。内野監督は言う。

「朝練の30分と、放課後の練習時にウォーミングアップとして、ボールコーディネーショントレーニングを行っています。これを始めて7、8年になりますが、選手たちのボールコントロール技術、コーディネーションは随分レベルが上ったと思います」

「前後の動き」や「斜めの動き」を入れて、技術練習を実践に近づける

興國のボールコーディネーショントレーニングは、ドリブルやリフティング、複数人でのパス回しなど、個のレベルアップにフォーカスを当てたもの。ドリブルでは大きさや重さ、表面の柔らかさが違うボールを使い、足の様々な部位を使用して、リズミカルなボールタッチで進んでいき、リフティングも両足を使い、足の様々な部位でボールを動かしていく。

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足の様々な部位でボールをコントロール(DVD「興國式サッカーテクニカルメソッド」より)

一見、オーソドックスな技術練習に思われがちだが、ポイントになるのがドリブルやリフティングに「前後の動き」や「斜めの動き」を入れること。ドリブルは前進だけでなく、後ろに下がる動きも行う。リフティングも、その場でボールをつくのではなく、前後左右に移動をしながら行う。

「前後左右の動きを取り入れているのは、サッカーの実戦に近づけるためです。後ろに下がる動きをするときに使う筋肉は、前へ進むときに使う筋肉と異なります。そのため、それぞれのパターンで、神経系に働きかけるトレーニングを行う必要があります。そして、左右両足を使い、前進と後進を同じようにスムーズにできる状態を目指しています」

どうすればイニエスタのようにプレーできるのか、辿りついた答え

興國の選手のドリブルを見ていると、上半身が起きていて、リズミカルに足を運んでいく。その動作は、イニエスタの動きに近いものがある。内野監督は「テクニックとテクニックをリズムで繋ぐのがボールコーディネーション」と表現する。

「リズミカルに、スムーズな動きでボールを扱うことができで、はじめて興國が目指すポゼッションサッカーができるようになります。ジダンもイニエスタもそうですけど、どんなに速いボールやズレたボールが来ても、意図したところにスムーズな動きで置くことができますよね。あの動きが、ボールコーディネーションなんです。彼らは動きに無駄がなく、流れるようにプレーしています。バルサのホーム、カンプ・ノウはピッチに水を撒くので、パススピードがものすごく速いです。でもそこで、シャビやイニエスタはプレースピードを落とさず、正確にボールをコントロールします。実際にカンプ・ノウで彼らのプレーを見て、どうやったらできるんやろうと考えて、彼らの動作を研究した結果、ボールコーディネーションにたどり着きました」

ポイントは動作とボールコントロールが平行して行われること

ボールコーディネーションの練習で、4人が四角形を作り、ツーステップでパスを回す練習がある。選手たちの動きを見ていると、ボールを蹴る動作と移動の動作がつながっているので、動きが素早く、無駄がない。

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ツーステップのスクエアパス(DVD「興國式サッカーテクニカルメソッド」より)

「パスを出した一歩目が、走りの一歩目になるという考え方で練習をしています。それができれば、パスを出した動きのまま、味方のサポートに行くことができますよね。単なるボール扱いの練習だけでなく、動作とボールコントロールが平行して行われているところがポイントで、それが、日本人が世界で生き延びるために必要な要素かなと思っています。常に動いていれば、相手にぶつかられる可能性も減りますよね。それをシャビやイニエスタは、自然にやっています。でも、多くの日本人はできません。だから練習するしかない。日本人のストロングポイントは、地味な練習を反復できるところだと思います。努力と反復練習でイニエスタに近づこうと、興國の選手は1年生のときから、ボールコーディネーショントレーニングをしているわけです」

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(DVD「興國式サッカーテクニカルメソッド」より)

興國では、シャビやイニエスタといった、トップレベルの選手の動きを解析し、独自のトレーニングに落とし込んでいる。卓越したボールコントロールと、どんな状態でも技術を発揮できるハイレベルなコーディネーションが、興國の選手達が評価されている一つのポイントであることは間違いない。

また、内野監督は「本来であれば、こうしたトレーニングは高校生に上がる前にやっておくべき」とも話してくれた。今回ご紹介したトレーニングはジュニアやジュニアユースの年代においてもともて効果的だ。ぜひ、多くの指導者の方に参考にしていただきたい。

※この記事は2016年4月18日にサカイクへ掲載した記事を再編集したものです。

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