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「攻撃の意識」を持つディフェンスこそが現代サッカーの象徴 / 引かずに「奪いに行く」実戦式ディフェンストレーニング

COACH UNITED ACADEMYでは、1.FCケルンの育成部長時代に多くのブンデスリーガを輩出し、ケルンスポーツ大学やドイツサッカー協会のインストラクターとして、トレーニングメソッドの開発、書籍やWebサイトでの発信などを行っている、クラウス・パブスト氏を特集。前回に続き、日本のU12年代の選手たちを対象に実施した「守備」についてのトレーニングセッションをお届けする。
(取材・文 鈴木智之)

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■最も重要な「ギャップを閉じる」ディフェンスとは

前回の記事では、1対1トレーニングの様子をレポートしたが、今回は2対2のトレーニングからスタート。フットサルコートのハーフウェイラインを挟み、ゴールとの中間地点にミニゴールを置いた状態で2対2を実施した。

ここでも、クラウスコーチは守備側の選手に「ボール保持者に対して速く、激しくプレッシャーをかけること」を強調。攻撃側の選手には、素早いプレッシャーをかわす、もしくはボールを保持するために「パスを受けたときのファーストタッチを正確に行うこと」をコーチングしていた。

さらには、守備側の選手が2人そろって同じ高さで守備に行く場面でプレーを止め、「2人が同じラインに立つと、間を突破されてしまう。守備側の2人は異なる高さで、前後の配置になるようにポジションをとることが大切だよ」とレクチャーした後、「ボールに近い選手がプレッシャーをかけて、相手の方向を限定させた上で、もうひとりがボールを奪いに行く」というグループの守備を指導。そこでは「相手がコートの外側(タッチライン際)でプレーしているときは、守備がうまく行っていると思って良いよ」と伝えていた。

続いては「1対1から2対2」の練習に移行。設定としては、ゴールの位置は1対1と同じで、2チームにわかれてスタートする。最初に互いのチームから1人ずつ出てきて1対1を行い、ゴールを決めるか、シュートが外れる、もしくは状況を見てコーチが合図することにより、両チームとも2人目がピッチに入り、2対2が行われる。

ここでも、最初の1対1の状況では、守備側の選手に対して「ボール保持者との距離を近くすること」「ボールを奪い切ること」を重点にコーチング。2対2の状況では、チームメイトが戻ってくる時間を作るために、下がりながら守備を行う方法を指導していた。これは小学生でも十分に理解できる内容であり、守備の個人戦術のベーシックな部分である。
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■数的優位の状態に持ち込むことが奪取の秘訣

さらには、この練習の発展系として「別々の1対1から合同の2対2」が行われた。フットサルコートの半分を使い、ミニゴールを横の辺2個ずつ、計4個を置く。コーチの合図で、それぞれのゴールを目指す1対1が2箇所で行われる。その後、どちらかのチームがシュートを打ってシュートが決まるか、外れた瞬間、2対2に移行。2個のゴールを目指し、2対2が行われる。(設定詳細は動画参照)

クラウスコーチはトレーニング中、守備時に後方に位置する選手のポジショニングに言及。「チームメイトから離れた位置にいると、1対2の守備を2回繰り返すことになる。守備をする味方に近づいて、2対2の状況を作ろう」とアドバイスを送っていた。

最後の練習は攻撃が1人、守備が2人の「1対2」。発展系として、守備側が目指すゴールが3つ、攻撃側が目指すゴールが1つという設定で「1対2から2対2」が行われた。

今回のトレーニングセッションでは、講習会で話をした「守備の仕方」を実践に落とし込み、どのようなメニューで、どのようなコーチングをするか?を主眼に置いたものとなった。クラウスコーチはトレーニング終了後、次のように感想を述べた。

「現代サッカーの守備に求められるのが、ボールを奪ってキープし、攻撃につなげること。それを数的優位、数的不利など、いくつかの状況でトレーニングしました。最初に守備に重点を置き、その後、攻撃に切り替えるトレーニングでしたが、子どもたちはうまくプレーしてくれたと思います」

守備のための守備ではなく、攻撃のための守備の仕方を知りたい人は、ぜひ動画をご覧頂きたい。クラウスコーチのメニュー設定、ポイントを絞ったコーチングから、学ぶものがたくさんあるはずだ。

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クラウス・パブスト
かつてブンデスリーガの名門1.FCケルンで育成部長を務め、ケルン体育大学で指導者養成、ドイツサッカー協会のU9、U10、U11、U15の育成プログラムを作成。ポドルスキなど、多数のブンデスリーガを輩出。親日家としても知られており、毎年日本でトレーニングキャンプ等を実施している。クラウス氏監修、日本人向け指導DVD「モダンフットボール」(http://www.e-3shop.com/modern_football/

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