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強度の高い状況で素早い判断と正確性を求める / ヴァンフォーレ甲府U-12が実践する「判断」と「技術」の習得

今季から、ヴァンフォーレ甲府のアカデミーダイレクターを務める西川陽介氏。昨年はU-12監督として、ダノンネーションズカップ世界大会で準優勝するなど、就任7年でチームを強豪へ導いた。COACH UNITED ACADEMY動画でお届けする西川氏のトレーニング後編は、実戦形式の『4vs4+1フリーマン+2サーバー』からスタートする。(文・鈴木智之)

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■素早い判断のなかで正確性を求める

このトレーニングはグリッド内で4対4の状況を作り、中央部にフリーマンを一人配置。グリッドの短辺にサーバーがそれぞれ入り、ボールを保持しているチームはフリーマンとサーバーを使いながら、パスをつないでいくというもの。

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西川氏の「フリーマンがいるので、ボールを奪われないようにパスを回そう。守備はどこをやられたくないか、考えながらやろう」という声掛けの後、選手がグリッドに散らばっていく。

ここでは『ボールを失わない』というテーマのもと、西川氏から「あわてるな、失わない。ダメならやめる」という声が何度も飛んでいた。攻撃側の選手に対しては、守備側のプレッシャーの方向を見て、フリーマンを使いながらパスを回すという「相手をいなす」ボールの動かし方をアドバイス。ワンタッチで守備側の選手の間に、強くて速いパスが通ると「いいね!」と、大きな声で褒めている姿が印象的だった。
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日頃のトレーニングの成果か、選手達のパススピードは徐々に速くなっていき、ボールを奪われなくなっていく。そこで西川氏はすかさず、守備側にパスコースを切るためのポジショニングを指示。さらに、ボール保持者に一番近い選手に対し、強く寄せに行くことを強調した。前からプレッシャーを掛けて、相手からパスコースを探す時間を奪う算段だ。

攻撃側の選手には「プレッシャーをかいくぐる技術が大事」と、前編で紹介したパス&コントロールや4対1のトレーニングで意識させた、ボールの置所、パスコースをみつけるために素早く判断することの重要性をレクチャー。

「判断を速く、周りを観てあわてないこと。どこにボールを止めて、どこにパスを出せば良いか。その判断が大事。プレッシャーが速くても、通るパススピードやそのために必要なボールの置所はあるよね。パスの質、コントロールの質を上げれば、プレッシャーを打開できる。空いているところはどこなのかが見えていれば、要求するボール、パスの質が変わってくるよ」

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■試合の中で生きる技術を習得する

続いては『4vs4+2サーバー+1DF』。ゴールを設置するとともにGKを置き、試合さながらの形でトレーニングしていく。マーカーで中盤にゾーンを設け、そこには両チームの4人(計8人)しか入ることができないという設定なので、守備側は相手のパスコースを切り、ゾーンの外にいるFWにボール入れさせないと同時に、ボールホルダーに厳しく寄せて自由を奪うことを徹底。

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攻撃側は相手のプレスをかわしながら、空いているスペースへとボールを運ぶ。あるいはFWへ縦パスを入れることを狙っていく。ここで西川氏がコーチングしていたのが、守備への対応。ボールを中心とした守備、横に動かされたときにスライドをする動きを強調していた。

サッカーにおいて攻撃と守備は表裏一体である。激しい寄せがあるからこそ、それをかわすための素早い判断、ボールを置く場所、パススピード、正確な技術などが必要になる。さらに、チームとして周囲の選手と連動して、守備の穴を開けないこともポイントで、これはU-12であっても十分に理解できる事柄だ。

このように、西川氏のトレーニングは常に選手達に判断をさせながら、実際の試合に近い強度でプレーすることで、「試合の中で生きる技術」を身に付けていくオーガナイズがされている。

昨年参加し、準優勝に輝いたダノンネーションズカップ世界大会で、頭一つ分以上の身長差があり、スピード、パワーに優れた相手に対して勝つことができたのも、日頃のトレーニングの成果だろう。その秘訣が詰まったトレーニングの様子を、ぜひ動画でご覧頂ければと思う。

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<プロフィール>
西川 陽介/
1977年生まれ、東京都出身。日本体育大学を卒業後、オランダへ渡りUEFA B級ライセンスを取得。オランダのFCユトレヒトなどでコーチを経験した後、日本に戻り、ヴァンフォーレ甲府ユースコーチ、ジュニアユースコーチなどを経て、ヴァンフォーレ甲府U-12監督を7年間務める。2016年のダノンネーションズカップでは、国内予選を勝ち抜き世界大会へ出場。決勝でドイツ代表のドルトムントに敗れるも世界2位にチームを導いた。今季より、ヴァンフォーレ甲府のアカデミーダイレクターに就任。

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