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ゲーム形式の練習で見落としてはいけないポイントとは?/育成大国オランダで重視されるポジショニング指導

COACH UNITED ACADEMYでは、名だたる名プレイヤーを何人も輩出しているオランダのエクセルシオールというチームのアカデミーで指導経験を持ち、現在は藤枝明誠スポーツクラブのU-13の監督を務める小坂献さんのトレーニング模様を公開中。

前編では、3対1や、パスドリルを用いて、ポゼッションする上での基本的なポジショニングや、ボールの置き所などを事細かに指導を実施。後編ではフリーマン2人をいれた3対3や、9対9のゲームなどを行い、実践に近い練習で、相手のプレスを剥がして前進する上で必要な実践的なポジショニングを学ぶトレーニングを実践してもらった。(取材・文:内藤秀明)

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エリア制限のミニゲーム

今回は9対9を行った。実際のゲームより2名ずつ少ないので、ビルドアップを主眼に置くチームでは両ウイングを、崩しの局面を主眼におくチームでは両サイドバックを削った想定でポジションをとり、一部エリアも切り取る形でプレーさせた。

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今回のトレーニングでは特にビルドアップ側の中盤の3枚のポジショニングについて細かくコーチングを行っていく。

小坂さんは中盤のポジショニングについて

「中盤の三枚の役割として、ビルドアップでは相手のプレスを見て1枚数的優位を作り、フリーなポジションで相手のファーストラインを突破することが求められます。

ファーストラインを突破した後には、できるだけ早く数的同数になっているアタッカーにボールを供給する。もしくはハーフスペースや裏のスペースでボールを受けアタッキングサードに侵入することが役割です」

と語る。具体的なコーチングポイントについては

・片方のサイドに集めて逆サイドに振る
・空いているスペースから攻める
・同じラインに並ばない。平行にならない
・広がり過ぎないでペナ幅くらいの距離感を保つ
・攻撃のシーンも奪われることを考えてポジションをとる
・遠い足にボールを置く

などがメインになる。

ただしポゼッションをチームに落とし込む上で難しいのがチームの技術レベルだ。

「正しいポジショニングをしていたとしても、選手の技術レベルが十分ではなかった場合、機能せずに終わることもあります。ただ技術の部分はしょうがないので、正しいポジションにいたことや、チャレンジしたことについて褒めてあげないといけません」(小坂氏)

具体的なコーチング

例えばこのシーン。

ビブスのチームの左のセンターバックがボールを持っている場面ですが、トップ下の6番(赤色)の選手が中に流れることでサイドへのパスコースが確保され、空いたスペースにフォワードの9番(黄色)の選手が流れる。

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すると......。

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サイドに流れたFW(黄色)はボールを引き出すことに成功した。

ただしこの局面では、最終的にFWの選手はトラップミスをしてボールを失っている。ただ小坂コーチはFWの選手を責める指導は一切せず、むしろオフザボールの動きを称賛していた。

むしろミスが指摘されていたのは、ボランチの9番の選手(水色)だった。

「この局面、もしボランチの選手が前線の連動をきちんと認知して、ポジションをもう少し斜め前に位置どっていた場合、FWの選手にはダイレクトで落とすという選択肢が増えていたはずです。ですのでこの場面でミスがあったとすればボランチの選手になります」(小坂氏)

このように普通に見ていれば、見逃してしまうようなポジションのミスをいくつも指摘しながら小坂氏はトレーニングを進めていく。

どんな年代、どんなチームでもゲーム形式のトレーニングは頻繁に行う機会が多い。ただし表面的なミスに目を奪われ、その一個前のポジションの修正ができているのか不安がある方は一度動画をご覧になってはいかがだろうか。

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【講師】小坂献/
立命館大学卒業後イングランドでイングランドサッカー協会公認コーチングライセンスLevel1、Level2やUEFA Bライセンスなどを取得。帰国後、SCH.FC、京都紫光サッカークラブ、樫原クラブでなど指導。その後オランダに渡り、エクセルシオール・ロッテルダムのU-19で2年間指導経験を積む。現在は藤枝明誠高校の下部組織である藤枝明誠スポーツクラブのU-13の監督として指導を行っている。