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1対1を突破するコツはDFの背中側に進むこと/香川真司を輩出したFCみやぎバルセロナの個人戦術の強化方法

長きにわたり日本代表でも活躍した香川真司を輩出するなど、個の育成に定評があるFCみやぎバルセロナ。仙台で活動する同クラブは、「1対1」、「パス&コントロール」を始め、サッカーを行う上で必要な個人スキルの習得に力を入れている。

COACH UNITED ACADEMYでは「ジュニア年代で身につけておきたいスキルと個人戦術」というテーマで、トレーニングを実践してもらった。前編では「ボールフィーリングと1対1の攻守のトレーニング」と題し、FCみやぎバルセロナジュニアユース 石垣博監督によるトレーニングを紹介したい。(文・鈴木智之)

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DFを振り切るには相手の重心をずらし逆を取ることが重要

石垣監督は「我々のチームはジュニアユースを対象としたチームですが、『1対1』、『パス&コントロール』はジュニア年代から強化しておくべきスキルだと思います」と話し、トレーニングがスタートした。

U-13の選手が実践するトレーニング。最初は、ウォーミングアップを兼ねたボールフィーリングから。ボールを各自1個使い、足の裏やインサイドで触り、前進、後進、方向転換を交えながらドリブルをしていく。

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石垣監督からは「ボールに触る強さを工夫して、方向を変えよう」「ボールだけが前に行かないように、たくさん触ろう」「空いているスペースに運んでいこう」というアドバイスが送られていた。

スピードを上げたドリブルの次は、リフティングへと移行。両足のインステップやインサイド、アウトサイド、頭など様々部位を使い、顔の高さにボールを上げるリフティングを繰り返していく。(顔の高さまで上げることによってボールを正確に扱う技術が求められる)

続いては「1対1の鬼ごっこ(ボールなし)」。

向かい合った状態で攻撃側と守備側に別れ、左右のマーカーのどちらかを通り抜けたら攻撃側が勝ち、タッチすれば守備側の勝ちというルールだ。(30秒で攻守が交代する)

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石垣監督は選手たちのプレーをしばらく観察し、攻撃側の選手に対して、次のようにポイントを伝えていく。

「守備側の選手の前で、細かく動くのではなく、左右に動いて相手を動かし、相手の逆(背中)をとろう」

さらに、守備側の選手には「攻撃側と同じ動きしたら逆をとられるので、細かくステップを踏み、攻撃側の選手と同じ歩幅にならないように。どちらの方向にも対応できるようにしよう」と、大股にならないように注意を促していた。

その後、ボールを使って鬼ごっこを行い、「ボールを動かして、相手を動かす」ことにフォーカスしていく。

1対1の場面を突破するには「相手の背後」を突く意識を強く持つ

3つ目のトレーニングは「1対1の攻守(2ゴールライン突破)」。

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1対1の状況で、攻撃側は守備側の背後2箇所にあるコーンゴールをドリブルで通過すれば勝ち。守備側はボールを奪い、攻撃側の背後にあるゴールにパスをすることを目指す。

攻撃側は鬼ごっこでやったように、守備側を揺さぶって逆を突き、突破していくこと。守備側の動きを止めないスピードで、突破を仕掛けることがポイントだ。

石垣監督は次のような声掛けで、攻撃側の選手の判断に働きかけていく。

「ファーストタッチで左右にボールを動かして、相手を動かそう。足元にボールを止めてから、判断しないように!」「相手の背中側に進むことを意識しよう。相手が背中側に誘ってくるかもしれないので、動きを良く見よう」

前編最後のトレーニングは「2対2の攻守(3ゴールライン突破)」。

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設定はひとつ前のトレーニングと同じだが、人数が2対2になり、マーカーゴールが3箇所に増える。

人数、ゴールの数ともに増えるが、局面は「1対1の攻守」と同じ状況になるところがポイントだ。1つのゴールが攻撃1対守備1の状況で消されていたとしても、残りのゴールは2つある。攻撃側は2つのゴールがあることを考えて、守備側との1対1の状況を攻略していく。

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石垣監督は「さっきの練習と状況は同じだよ。ボールを動かして、相手の背後を突こう」というアドバイスを送り、ボールを持っていない攻撃の選手は、ボールを持っている選手がプレーしやすいように、守備の選手を引きつけて、味方がプレーするスペースを作ることの重要性を説いていく。

さらに石垣監督は、ボールを保持していない攻撃側の選手に対して、「最初はボール保持者から離れて(広がって)パスを受けるアクションを起こすが、守備側にマークされてボールを受けられない状況になった場合は、守備側の選手を引きつけて動くことで、ボールを持っている選手が突破に使えるスペースを作り出す」という部分をコーチング。

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詳細は動画で確認して頂ければと思うが、コンビネーションを使った突破において、非常に重要なプレーだ。

また、プレースピードが上がらないと見るや、「コーチが5秒数えて、その中でフィニッシュに持ち込む」というルールにすることで、素早い判断と動作に働きかけていった。

前編のトレーニングは設定がシンプルで取り入れやすく、コーチングのポイントもわかりやすいので、ジュニア年代の指導者には大いに参考になるだろう。

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【講師】石垣博/
18歳から指導に携わりスポーツ少年団での監督、宮城県のU-12年代の地区トレセン・県トレセンなどでも監督を務める。ジュニアユース年代ではFC FRESCAでの監督経験を経て、2005年より現在のFCみやぎバルセロナの監督に就任し15年目を迎える(2011年からは女子チームも立ち上げる)。また、宮城県サッカー協会 指導部 サブチーフインストラクター(47FA C級D級インストラクター)も務めている。