TOP > コラム > 大津高校の「フィジカル・ボール・シンキング」の速さと正確さを高める8人のサーバーを活用したトレーニング

大津高校の「フィジカル・ボール・シンキング」の速さと正確さを高める8人のサーバーを活用したトレーニング

『サッカー指導者のためのオンラインセミナー「COACH UNITED ACADEMY」』では、これまで50名近くのJリーガーを輩出してきた大津高校が実践する100分トレーニングを公開している。前編では、平岡総監督の下で、指揮を執る山城朋大監督の指導によるフィジカル・ボール・シンキングの向上を目指す基礎的なトレーニングを紹介したが、後編ではより人数を増やした応用的なトレーニングを紹介していく。

この内容を動画で詳しく見る

yamashiro02_01.png

<< 前回の記事を読む 

スムーズなパス回しを続けるためには、トライアングルの形成がポイント

後編ではより実戦に近いトレーニングで、前編のメニューで身につけた動きをしみこませる。始めに行うのは、「5vs3 2グリッド」だ。守備は5人のうち3人が相手エリアに入って、ボール奪取を狙うのがルール。守備がボールを奪ったら攻守が交代し、自陣から5vs3をスタートさせる。ボールがグリッドから出たら、指導者が素早く反対側のグリッドのチームにボールを入れ直し、メニューが再開する。

yamashiro02_02.png

テンポよくボールを回すためには、ボールを持った選手のフォローに入り、トライアングルの形を常に作り続けなければいけない。素早い相手の状況を見て、正しい判断が求められる。気をつけたいのはパススピードだ。グリッドが狭いため、パススピードが遅ければDFに追い込まれてミスが生まれる。

DFの寄せよりも速いスピードでボールを動かせば、プレッシャーのかからない状況でプレーができ、1タッチ、2タッチでテンポよくボールを動かせる。ボールを持った選手がDFに寄せられた状況だと、周りの選手は確実にボールを受けられるコースを探すための移動距離が増えるが、相手の寄せよりも速くボールを動かし続ければ、味方が近くにパスを出せば良くなり、移動距離も微調整程度で済むのもメリットだ。

また、素早いパス回しが続くと、3人のDFが分断され、守備の中央が空いて、縦パスが入れやすい。局面を変えるためにもテンポよくボールを動かしながら、縦パスを狙っていきたい。

yamashiro02_03.png

ボールを受ける際の動きも意識しながら、プレーするのもポイントだ。前編で紹介したパス&コントロールのメニュー同様、確実にボールを受けたいからといってボールを持つ選手に寄り過ぎると、次にパスを出す場所への角度がなくなり、ボール回しが詰まってしまう。

狭いエリアでのボール回しは、追い込みやすく相手にとっても好都合だ。受けることばかりを考えず、次の展開まで考えたポジション取りを考えて欲しい。また、パスを出して終わりではなく、出したら素早く動きなおしてリターンパスが貰える位置に動くこと、そして常に誰か一人は中央の位置にポジションをとり、相手の視線を引き付けておくことも円滑なパス回しを続けるために重要だ。中央の位置でボールを受け、リターンパスからサイドに展開するとスムーズにボールが動く。

ボールを動かすことを目的にせず、ゴールから逆算したボール回しが重要

最後の仕上げとして行うのは、「8vs8+8サーバー」。グリッドの大きさは、ハーフコートを横向きにしたサイズ。両方のゴール横に2人ずつ、両サイドのタッチラインに2人ずつ合計8人のサーバーを使いながら、攻撃をするため、ボールはほとんど外に出ることがない。常にプレーが続き身体的負荷がかかった状況でもトライアングルを作り続けるのが、メニューの狙いだ。

yamashiro02_04.png

パスの選択肢も多いため、どこにボールを出して、どこに走ればゴールに繋がるのかも考えながらプレーして欲しい。ゴールの横に立つサーバーに縦パスを入れて、別の選手が走り込んで受けるなど、サーバーを上手く活用しながらゴールを目指すのもポイントとなる。

受ける前の準備も忘れてはいけないポイントだ。ボールを受けてからパスコースを探していると、相手はパスコースを消してくる。素早くボールを動かすためにも、ボールを受ける前からパスコースを見つけておく必要がある。

また、ボールを持つ選手のパスコースを確保するためにも、周りの選手が素早く移動しなければいけない。初めに紹介した「5vs3 2グリッド」のパスコースで身につけた常にトライアングルを作り続ける動きが意識しながら、スペースに顔を出し続ける必要があると言えるだろう。

yamashiro02_05.png

サーバーを交えた16対8の状況では簡単にパスは繋がるが、ボールを動かすのが目的ではない。ゴールを奪う意識を常に持ち続けるのが重要で、テンポよくボールを動かしながらも、勢いよくゴール前に飛び出す選手を見つけて縦パスを入れる作業も忘れてはいけない。

山城監督が指導中に行うコーチングには、記事内で紹介したポイント以外にも、フィジカル・ボールスキル・シンキングの3つを高めるためのヒントが隠されている。COACH UNITED ACADEMY動画では練習を余すことなく公開しているので、実際に指導する際の参考にして欲しい。

<< 前回の記事を読む 

この内容を動画で詳しく見る

【講師】山城朋大/
大津高校、福岡教育大学でMFとして活躍。大学院に進学後は、2年間学生監督を務めた。卒業後は母校のコーチを6年勤め、2020年からは監督に就任した。