10.25.2021
サッカーの練習はミスが出る強度が大切!青森のチャンピオンチームが行うドリブルの技術を高める方法とは
青森県代表として、4年連続で「全日本 U-12サッカー選手権大会」に出場しているリベロ津軽SC。先日行われた青森県大会でも優勝を果たし、5年連続で全国大会の出場を決めた。OBには、青森山田高校出身の藤原優大選手(浦和レッズ→SC相模原)がいる。過去にも、アカデミーダイレクターの住谷学氏による「少人数&狭いスペースで足元の技術とプレーの判断力を早めるトレーニング」をお届けしたが、ユーザーから「参考になる」「わかりやすい」という声が多数届いた。
好評につき2回目となる今回のトレーニング。前編の練習テーマは「足元の技術を高めるリフティングとドリブルのトレーニング」。ドリブルなどの個の技術を高めるため、役立つ練習メニューを実践してもらった。(文・鈴木智之)
リフティングはバランスを崩さないように「頭の位置を変えない」
トレーニングを実施してくれたのは女子中学生の選手たちだが、住谷氏は「ジュニア年代でもできるトレーニングになっています」と説明。サッカーの練習の基本とも言えるリフティングからスタートした。
まずはボールを1人1個使ってリフティング。最初は両足を使い、フリーでリフティング。ここでは「ボールを地面に落としてもいいので、正確に真上にあげる。リズムよくやろう」とと練習のポイントを伝えていた。
次は右足インステップ2回、左足インステップ2回。続いて左右3回ずつ、インサイドを使うなど、練習の難易度がアップ。短い時間で次々にすべきことが変わっていく。
その際に住谷氏が強調したのが、頭の位置を変えないこと。「バランスを崩さないように、頭の位置を変えない。頭が動くとバランスが崩れるよ」と、ボールを操るための、体の使い方に働きかけていく。サッカーの指導をしていると、どうしてもボールの扱いばかりに目が向いてしまいがちだが、体の使い方に対する指導も大切な要素となる。
「ボールを落とさないことより、真上にしっかりあげることを意識しよう。インサイド2回では、1回目のタッチでトラップし、2回目のタッチでキックするイメージでやってみよう」
続いてはリフティングをしながら、浮き球を胸トラップ。さらには2人1組になり、向かい合った状態で1つのボールをインステップで真上にあげる。その後、インサイドを使った浮き球のパス交換を実施し、相手とイメージを合わせながらボールを扱うことにフォーカスしていった。
次のプレーが決まっていると、速いプレーにつながる
ここからは「ボールストップ&スタート」を実施。選手がボールを各自持った状態で始め、グリッドの外にいる選手へパスを出し、リターンを受ける。戻ってきたボールを正確に止めて、2タッチ目を速く触ることを意識し、3m程度スピードアップ。この動きを繰り返すという練習だ。
練習のポイントは以下の3つ。
・蹴りやすい場所にボールを止めること
・腰を落としてプレーすること
・外にいる選手にパスを出す前に、周囲を見渡し、次のプレーの決断を素早く行うこと
住谷氏からは「いいキックが蹴られる場所を意識してボールを止めよう」「棒立ちではスピードが上がらないので、ボールを止めた後に腰を落として、スピードをアップさせよう」「次のプレーが決まっていると、速いプレーにつながる。ボールを受ける前にどこに出せるか、周りを見て、次のプレーを速く決断しよう」といったアドバイスが送られていた。
練習を通して、動きの緩急を、相手がいない状態で体感していく。このような緩急のつけ方はドリブルをする際にも役立つものだ。
ドリブルの練習はミスをするスピードでチャレンジする
続いては「ドリブル」のトレーニング。
グリッドの端から端へ、小股で素早くボールに触りながら速いスピードでドリブルをするというシンプルな練習だ。その後、アウトサイドターンでそれぞれ左右に一回転して進んでいくなどのバリエーションが加えられた。
ここでは「視線は下げてもいいけど、あごを下げないように。あごが下がると前が見えなくなるよ」「ボールを触るときは、次の足を意識しながらやろう」「ゆっくりできて当たり前。速いスピード、ミスをしてしまうようなスピードでやろう」と積極的なチャレンジをうながしていった。
さらには、相手選手をイメージした上で「相手にどこに行くかをわかられると、実際の試合ではボールを奪われやすくなる」と話し、「どこに行こうとしているかは、おへその向きでわかられてしまう。体の向きとボールの動きがばらばらになるように、自由にドリブルしよう」とポイントを伝えていく。
「スピード、あごの位置、全部つながっているよ。相手から遠いところにボールを置くイメージでやろう。急にストップしたりスピードアップしたり、工夫しながらやってみよう。練習ではたくさんミスをしたほうがいい。スピードをあげたり、変化を入れるとミスしやすくなる。ミスをしないということは、すでにできることをただやっていることになるよ」
トレーニングを通じて、積極的にチャレンジすることの重要性を説いていた住谷氏。終了後、次のように述べた。
「今回は足元のトレーニングを中心に行いました。できることの繰り返しになると、学校の勉強でいうところの復習になるので、ミスを増やしながら、予習として考えるように、ミスは堂々としていいんだということを中心にコーチングしました。基礎的な内容が中心ですが、私はこういった基礎の練習が一番大切だと考えております」
後編では、足元の技術を生かした1対1や頭の回転を早くするボールポゼッションのトレーニングに移っていく。
サッカーの指導に取り組んでいる人、ドリブルや個人技術を磨く練習方法を知りたい人はぜひ引き続き参考にしてほしい。
【講師】住谷学/
2009年より指導者を始め、2015年より全国大会の常連である青森の強豪チームのリベロ津軽SCでの指導を開始。2018年から2020年までU-12監督を務め、2019年からは女子U-15監督を兼務しながら、2020年よりアカデミーダイレクターも務める。
取材・文 鈴木智之