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鎌田大地を輩出したチームが実践。U-12から11人制に必要なスキルを身に付けるオフェンストレーニング

ジュニアからジュニアユースにかけて、8人制から11人制へと移行する。そのため小学6年生になると、ジュニアユースの準備として、両方に平行して取り組むチームも少なくない。

そこで今回は「U-12年代から11人制に必要なスキルを身に付けるオフェンストレーニング」をテーマに、ゼブラキッズの平家英紀コーチにトレーニングを実践してもらった。

愛媛県代表として、2年連続で「全日本U-12サッカー選手権大会」に出場し、鎌田大地(フランクフルト)や東俊希(サンフレッチェ広島)が所属していたゼブラキッズでは、どのようなトレーニングを行うのだろうか?(文・鈴木智之)

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11人制を見据えた上で大切なのが丁寧にパスを繋いで前進させること

U-12を担当する平家英紀コーチは、FC今治でプレー経験を持つ指導者で、チームを2年連続で愛媛県チャンピオンに導いている。

前編では、11人制に必要なスキルを身につける上でゼブラキッズが重要視している「ボールを大切に保持しながら前進していく練習法」を教えてもらった。

最初のトレーニングは「3対1ロンド(3コート)」。

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7m四方のコートを3つ作り、その中で3対1のロンドを実施。攻撃は3タッチ以内、守備はボールに触ったら交代というルールだ。(コーチの笛の合図で、守備側はコートを移動する)

平家コーチは「大事なことは、ボールの行き先を予測しながら、ボールホルダーに対して、素早くパスラインを2つ作ること。スキルの部分で大切なのは、しっかりボールを止めること」と話し、トレーニングが進んでいく。

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また、選手のプレーを見ながら「ボールを受ける前はポジションをとれているんだけど、パスを出した後のポジショニングが遅い」と、プレーの切り替えを指摘するとともに、「テンポよくボールを回すだけでなく、相手が来なければ食いつかせておいてパスを出そう。その間に、周りの選手はポジションをとろう」など、周囲の状況を見て判断し、素早くポジションをとることの重要性を伝えていく。

パスを奪われないポイントは「相手と重ならないポジショニング」

次は「4対2(2コート)」。10m四方のグリッドを2つ作り、4対2のロンドを実施。攻撃は3タッチ以内、守備はボールを取り切るまで行うこと。パスをミスした人の両脇の選手が守備になるというルールだ。

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ここでも「相手と重ならない位置にポジションをとる」「トラップをずらさないこと」を意識させ、「パスは受け手の遠い足に出そう」とアドバイス。また、守備の人数が2人なったことで、攻撃側は2人の間のパスコースを積極的に狙うことを奨励していた。

「ディフェンス2人の間が空いたら、そこを狙おう。左右だけでなく、ディフェンス2人の間を加えた、3つのパスコースができるよ」「ボールを持っている人に対して、両脇の選手はフリーを作ろう。両脇が相手に守られたら、ディフェンス2人の間を通そう」

ここでのポイントは、ボールの置きどころだ。左右とディフェンス2人の間の両方にパスを出すことのできる位置に、ファーストタッチでボールをコントロールしたい。

さらには、守備側がボールを奪いに来ない状態であれば、すぐにパスを出すのではなく、ボールに食いつかせて、近寄ってきたところで空いたコースにパスを出すことを強調していった。

パスコースがないときは、無理やり前にいかず、フリーの人をみつける

前編最後のトレーニングは「6対6+1フリーマン+2GK(4ゴール)」。縦40m×横46mのコートにゴールを4つ配置して実施。各チームとも、前方にある2つのゴールを目指す(GKは2つあるゴールの両方を守る)。

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平家コーチはこれを「ビルドアップの練習」と定義し、「いままでのトレーニングでやったように、ボールホルダーに対してパスラインを2つ作ろう」と声をかけていく。

6対6の設定で、システムは3-3。ボールの配給はコーチから行う。平家コーチはボールホルダーに対し、「パスコースがないときは、無理やり前にいかない。ボールを大事にしながら、フリーの人をみつけよう。ボールが来る前にフリーの人をみつけておいてパスを出すか、自分がフリーだったらドリブルで持ち出そう」とコーチングしていった。

ビルドアップを想定したトレーニングなので、GKがボールを保持したときに、最終ラインの選手は、前線のフリーの選手を探しながら、素早くポジションをとることも重要だ。

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「センターバック(後方にいる選手)は、自分にプレッシャーがかかりそうだったら、かからないところまで下がり、フリーになることを考えよう。そして、フリーであれば前を向くこと。その瞬間に周りの選手がアクションを起こすことで、ボールを前進させることができるよ」

ゼブラキッズの選手たちは技術、判断のレベルが高いので、ボールがテンポよく回っていく。コーチングのポイントもわかりやすいので、トレーニングのモデルとして活用しやすいだろう。「グループでボールを前進させる」プレーを理解し、指導に落とし込みたい指導者は必見だ。

後編では、「前進してゴール前まで繋いだボールをどうフィニッシュまで持ち込むか」をテーマにトレーニングを進めていく。

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【講師】平家英紀/
日本文理大学を卒業後、FC今治でプレー。
引退後は、FCゼブラで指導者としてのキャリアをスタートし、U-8~12年代を幅広く指導。2020年、2021年には、2年連続愛媛県代表として、チームを「全日本U-12サッカー選手権大会」出場に導く。JFA公認A級ジェネラル所持。