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子供にレベル差があっても取り組める!U8で「止まる」「方向を変える」「避ける」が出来るようになる練習法

サッカー指導者のためのオンラインセミナー『COACH UNITED ACADEMY』では、U-8やU-10など、サッカーと出会ったばかりの子どもを指導する際の参考になるトレーニング動画を多数配信中だ。

指導経験の少ないコーチに向けた指導動画を配信する中で、いくつかの悩みが寄せられた。それが「動画に出てくる選手が上手なので、自分のチームでトライするときに、うまくいかない」「チーム内の選手にレベルの差があるので、動画で見たトレーニングをどのように導入すればいいかがわからない」といったものだ。

そこで今回は、エルマルカサッカースクール代表の山本雅史氏に「レベル差がある選手たちの中で、ドリブルスキルを磨く練習法」を教えてもらった。サッカーを始めたばかりの子にもわかりやすい説明、飽きさせないトレーニングメニューは、参考になること間違いなしだ。(文・鈴木智之)

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U8で身に付けたいドリブルの基本姿勢と軸抜き

U-8など、サッカーを始めたばかりの子ども達によくある現象が、相手がいるのにドリブルで前進し、衝突して取られてしまうこと。

原因としては「ボールを足から離れた場所に置いてしまっている」「ボールを蹴ってドリブルしてしまう」「ボールへのタッチ数が少ない」「前に進む意識しかない」などがあげられる。

そこで今回は、この年代で身につけておきたい「止まる」「進む」「方向を変える」といったプレーに必要なステップやフェイントをトレーニングしていく。

最初のテーマは「ドリブルで大切なステップと基本姿勢」。まずはコーンドリブルからスタートし、(1)フリードリブル、(2)スライド、ドラックバック、(3)シザースと動作を変更していく。

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山本コーチは「まずは利き足でたくさんボールに触ろう。競争じゃないのでていねいにやろう」と優しく声をかけ、様子を見ながら、次のような説明を加えていく。

「大事なポイントが3つあります。それが、1歩ずつボールに触る、腰から進む、軸抜きをする、です。足より前に頭が出ると、重さによってバランスが崩れてしまいます。頭を固定して、腰から進むイメージでドリブルしてみましょう」

軸抜きとは、ボールに触っていない方の足(軸足)をしっかり動かすこと。山本コーチは「真夏のプールサイドに裸足で立っているときに、地面に足をペタペタ付けないよね?それと同じで、細かくステップを踏むイメージで動いてみよう」と説明していた。

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子どもたちのプレーを見ながら「頭の位置はどうかな」「腰はどうかな」「慣れてきたらギアチェンジして、スピードを上げてみたら?」などの声をかけるとともに、ボールへの触り方のアドバイスを送っていく。

「ひざより前に足先が出ると、前方にボールが転がるので、相手に取られやすくなる。ひざを曲げた状態でボールを押し出して、体が先に行くイメージでドリブルしてみよう」

山本コーチのていねいな説明、わかりやすいデモンストレーションは非常に参考になる。

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まず身に付けたい3つのドリブルテクニック

続いては、赤と緑のコーンを並べ、赤のコーンまでドリブルで進む。そこで一旦止まり、ボールを引いてコントロールするか、横に動して、緑のコーンのある方へ進み、コーンをかわしていく。

ここではドラックバック、スライド、シザースという3つのドリブルを伝授。ドラックバックとは、ボールを引いてコントロールし、方向を変えて前方へ進んでいくプレーのことで、ポイントはひらがなの「く」を描くようにボールを動かすこと。

「横にボールを動かすと、相手が前に出した足にボールが引っかかって取られてしまうので、くの字を描くように、後ろにボールを引いて前に出よう」

スライドとはダブルタッチの要領で、インサイドでボールをコントロールして横に動かすプレーのこと。シザースはおなじみの、またぎフェイントだ。

トレーニングでは赤(止まる)、緑(進む)のコーンが横に並べて置いてある。そこで山本コーチは「シザースは相手をだますためにやるものだよね。赤信号の方にまたいで、青信号の方に進むようにやってみよう」とわかりやすく説明。

プレーを見ながら「タイミングはどうかな?」「難しかったらボールを止めてシザースしてもいいよ」「自分が進みたい方と逆に相手を動かすイメージだよ」と声をかけていた。

自分の左右・前後のスペースを活用するドリブル

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2つ目の動画は「空間を使う、運ぶドリブルの基礎」をテーマに、フリードリブルを実施。15m四方のグリッドで、全員が同時にドリブルを開始する。

ルールとしては、

1:コーチの笛が鳴ったらボールを置き、周りを見て、他の人のボールを拾ってドリブルをする。

2:笛が2回鳴ったら、ボールに軸足を置いて1回転する。

3:笛が1回鳴ったら、スライドかドラックバックをする。笛が2回鳴ったらシザースをする。

フリードリブルは他の選手と衝突しないように、周りとボールを見ることがポイントで、前に進むだけでなく、止まる、避ける、後ろに下がるといったドリブルにもチャレンジさせていく。

山本コーチは子どもたちの様子を見ながら「ドリブル中に、足下からボールが離れてしまい、他の人とぶつかってしまう子が多い。試合でそれをすると、相手にボールを取られてしまうので、すぐにボールを止められる場所はどこかなと探しながらドリブルをしよう」と声をかけていく。

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また、シザースのポイントも解説し「足でボールを迎えに行くのではなく、ボールを追い越すと、後からついてくるのでまたぎやすくなる」など、わかりやすく実用的なアドバイスを送っていた。

トレーニングの最後は、30秒間集中してフリードリブルにトライ。ここでも前にだけ進むのではなく、人にぶつかりそうになったら止まったり、下がったり、横に行くことの大切さを繰り返し伝えていた。

山本コーチによる巧みなデモンストレーション、わかりやすい声かけは、U-8など集中力を保つのが難しい子を指導する際の参考になる。ぜひ動画を見て、真似していただければと思う。

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【講師】山本雅史/
埼玉スタジアム2002サッカースクールで長年指導し、専門学校講師やスポーツ幼児園コンサルタントなどを経験。各年代の監督・ヘッドコーチを歴任し、
現在は、///自己肯定感を高める///をコンセプトとした【エルマルカサッカースクール】の代表として活動している。
→2022年度U-16サッカー 日本代表2名輩出
また(一社)日本凸凹支援スポーツ協会の代表理事として、発達障がい児たちにサッカー教室を通じてスポーツ療育『ジャッジをしない個育て』を行っている。