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3年連続全国大会に出場した大分トリニータ。岩田智輝を指導した指揮官がU-12の育成で大切にしていること

3年連続で『全日本U-12サッカー選手権大会』に出場した、大分トリニータU-12。グループリーグを1勝2敗で終え、2年連続のラウンド16進出はならなかったが、最後まで粘り強く戦い抜いた。

監督を務めるのが、大分トリニータのアカデミーで長く指導を行い、チームを3年連続で大分チャンピオンに導いた首藤圭介氏だ。大分U-15宇佐監督時代には、2022年度のJ1リーグMVPの岩田智輝を指導した首藤監督に、U-12年代で大切にしていることを聞いた。(取材・文:鈴木智之/写真:渡邉健雄)

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(グループK、1次ラウンド第2節。大山崎少年SC(オレンジ)vs 大分トリニータU-12(青))

U-12年代では「判断をともなった技術の質」に拘った指導を強化

『全日本U-12サッカー選手権大会』に臨んだ、大分トリニータU-12。グループリーグで優勝候補の鹿島アントラーズつくば(茨城)、後にベスト8に進む、大山崎少年SC(京都)といった強豪と対戦した。

敗れた大山崎SC戦後、首藤監督に話を聞くと「去年、一昨年と比べると、力強さが足りなかったですね」と悔しさを滲ませた。

COACH UNITED ACADEMY動画では「ボールポゼッション」をテーマにトレーニングを実演してもらったが、「(全国大会では)ポゼッションが単発だったり、途中までだったりと、繰り返しできなかったところが課題だと感じました」と振り返る。

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節目となる大会は終了したが、彼らのサッカー人生はこれからだ。Jクラブのアカデミーとしても、上のカテゴリーへどれだけ選手を送り出すかが重要になる。首藤監督は言う。

「上の年代に繋げるために、選手の判断を大切にしたいと思っています。そのためには、ボールを止めて蹴る技術や、動きながらのボールコントロール、キックの質を高めていきたいです」

なかでも「判断をともなった技術の質」にこだわっており「できることを増やしていきたい」と、将来に向けた土台作りに注力しているという。

「小学生から岩田のような献身性を身に付けてほしい」(首藤監督)

『全日本U-12サッカー選手権大会』の期間中、首藤監督の教え子である岩田智輝(当時・横浜F・マリノス)のセルティック移籍が決定的と報じられていた。彼のエピソードについて尋ねると、次のように返ってきた。

「智輝のお兄さんが、大分U-15宇佐の1期生だったんです。智輝は自分の所属クラブ(四日市南SSC)の練習がない日に、お兄さんについてグラウンドに来ていたので、その流れでジュニアユースから宇佐に来てくれました」

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(大山崎少年SC戦後、インタビューを受ける首藤監督)

首藤監督によると「体が強くて、学年が上の選手とぶつかっても、当たり負けしない選手」だったそうで「ひたむきに、一生懸命努力ができる選手で、黙々と守備をして、攻撃もしていました」と懐かしそうに語る。

「智輝のストロングポイントは1対1の強さですね。とくに1対1の突破は、周りとはちょっと違ってました。『戦術・岩田』ではないですが、彼を前に置いたら攻撃的になるし、後ろに置いたら守備が固まる。ひとりで2人分の働きができる選手でした」

岩田がプロになってからも、当時の面影は感じているようで「大分のときも、マリノスのときも、日本代表のときもそうですが、しっかりと守備をした上で、チャンスがあったら攻撃参加する。そのダイナミックさは変わっていませんよね」と、教え子の活躍に目を細める。

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大分U-12の選手たちにも、偉大なOBの話をすることもあるそうで「いまの選手はどうしても、攻撃が好きだったら攻撃、守備だったら守備となりがちですが、両方してほしいと思っているので、(岩田の)人柄だったり、献身性の話はします」と教えてくれた。

首藤監督によると、大分U-12は「地元にいる普通の子どもたちが、一生懸命頑張って全国に来た」チームだという。これからも岩田を始め、プロの世界へ羽ばたいていく選手の輩出を目指し、トリニータアカデミーのチャレンジは続く。

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