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練習は週末の2日のみ。全国大会ベスト8の少年団が行うチームの連携を高めるオフェンストレーニング

2022年末に行われた「第46回全日本U-12サッカー選手権大会」で、初出場ながらベスト8に進出した、大山崎少年サッカークラブ(京都府)。

セレクションは行わず、練習は週末のみの実施だが、先日行われた京都府のNo.1を決める「サンガカップ」でも準優勝を果たすなど、確かな成績を残している。

「全日本U-12サッカー選手権大会」では、選手個々の高い技術と判断をベースに、テンポの早いパス回しで攻撃的なサッカーを繰り広げる姿が印象的だった。

そこで今回は、チームを率いる村尾雅人監督に大山崎SCが得意とする「相手を剥がすファーストタッチと局面を打開するコンビネーション」をテーマに、トレーニングを実施してもらった。

ジュニア年代で身につけたい、技術と判断がともなったプレーを、どのようなトレーニングで高めていくのだろうか? 全国ベスト8のチームが、日々行っているトレーニングを紹介したい。(文・鈴木智之)

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ボールを保持するには、距離とテンポを変えるワンタッチプレーが大切

トレーニングのテーマは「相手を剥がすファーストタッチと局面を打開するコンビネーション」。前編では「個人の技術を向上させる、様々なパス&コントロール」のトレーニングを実施する。

村尾監督は「大山崎SCは、ボールを保持しながら前進し、個人のテクニック、アイデアを活かしながら、攻撃的なスタイルが特徴のチームです」と話し、次のように続ける。

「相手を剥がすファーストタッチと局面を打開するコンビネーションを高める上でのポイントは、相手を観て、どこにボールを置くのかを判断するファーストタッチ。そして距離とテンポを変えるワンタッチプレーです。これらの技術が上達すると、チームとしてボールを保持しながら前進することや局面を打開する力が向上します」

最初のトレーニングは「六角形パス&コントロール(3種類)」。六角形の位置に選手を配置し、パス&コントロールを行う。

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設定は以下のとおり。

1:マーカーの内側に立ち、行う
2:マーカーの外側に立ち、行う
3:ワンタッチパスで落とし、次の選手へパス

すべて右、左回りで行い、1、2はボール2個で実施する。

村尾監督は「ボールをしっかり止めること。パスの方向、相手につける足を意識してやろう」「ボールをしっかり止めて、動かさない、前にいかないように。体をうまく使おう」といった声掛けを通じて、選手の意識を高めていく。

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次に、味方からのパスが緩いときは、前に出て、素早くボールに触るプレーを実演。「相手がいるイメージで、逆をとれるように」と声をかけていく。

3つ目の設定である「ワンタッチパスで落とし、次の選手へパス」のときは「人とボールの動きを速くしよう。走りながら、次のプレーを目で観て確認すること。観ることでミスが減るよ」とアドバイスしていった。

ボールを止める位置は相手を見て判断する

続いては「3対1のボール回し」。5m四方のグリッドで、ボール回しを実施。最初のルールは「必ず2タッチ以内で行う」。その後「2タッチの後は必ずワンタッチで行う」に変更する。

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村尾監督は「相手を観て、トラップを決めること。相手が遠かったら、足元にボールを止めてしっかり出そう。相手が近かったら、ファーストタッチで逆をとってパスをつなごう」と、認知、判断に働きかけていく。

また「ボールを動かすから、相手の逆をとれる」と、相手が近いときのプレーを実演しているので、動画で確認してほしい。

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続いて、「2タッチの後は、必ずワンタッチで行う」とルールを変えることで、2タッチした後の関わり、サポートにフォーカスしていく。

「パスを出したら、動いてサポートをしよう。2タッチした人はパスの強弱で、次にどんなプレーをしたほうが良いかを伝えよう」

他にも、ワンタッチのときに、パスを相手の足に当てないように、しっかりと体を動かしてかわし、パスコースを作ることを実演。「しっかり相手を見て、逆をとること」を繰り返し、伝えていった。

焦ってワンタッチプレーをしない。相手を見てボールを運ぶことも考える

前編最後のトレーニングは「3対3+2フリーマン」。12m四方のグリッドでボールポゼッションを行う。同じ色同士のパスはワンタッチ、違う色同士はフリータッチで行うというルールだ。

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村尾監督はプレーを観察した後、「ワンタッチではない人がワンタッチプレーを探しすぎてボールを失っている」と指摘。「フリータッチの人は、ボールを運ぶ作業も必要。フリータッチの人が急いでワンタッチになると、ミスが起きる。周りを観ておこう」とアドバイスを送っていた。

さらには、人が密集して、スペースが狭くなったときに、ワンタッチをうまく使って、広い方へボールを動かすことを実演。指導がシンプルでわかりやすいため、選手たちの動きもすぐに変わっていく。

その後、タッチ制限なしで行い、ワンツー裏取り(相手の前で行うワンツーは無効、相手の裏(背中を取る)ワンツーを得点)もしくはパス10本がつながったところで1点というルールで強度を高めていった。

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ここでは「相手との距離を見て、ファーストタッチで駆け引きを入れること」「動きやワンタッチで相手の逆をとり、プレッシャーを回避すること」「相手のアプローチの方向と勢いを利用して逆をとること」などをアドバイスしているので、全容は動画で確認してほしい。

動画後編では、グループの中で相手を剥がし、ゴールへ向かうトレーニングを行っていく。

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【講師】村尾雅人/
京都サンガFCU-15、京都サンガFCU-18、SP京都FC(JFL)でプレーし、その後、大山崎サッカースポーツ少年団(京都府)で指導者としての活動をはじめる。「第46回全日本U-12サッカー選手権」では、チームを初の全国大会出場に導き、ベスト8進出に貢献した。また、サッカーを楽しむための技術・戦術向上を目的とした指導を行うゴザールサッカースクールでも指導を行っている。