04.03.2023
ファーストタッチでボールを動かすと優位な状況ができる。グループで局面を打開する実践トレーニング
セレクションは行わず、練習は週末だけながら、2022年末に行われた「第46回全日本U-12サッカー選手権大会」でベスト8に進出した、大山崎少年サッカークラブ(京都府)。
先日行われた、京都府のNo.1を決める「サンガカップ」でも準優勝を果たすなど、進境著しいクラブだ。
前回より、チームを率いる村尾雅人監督による「相手を剥がすファーストタッチと局面を打開するコンビネーション」をテーマにしたトレーニングを公開中だ。
トレーニング後編では「グループの中で相手を剥がす実践トレーニング」をテーマに、複数人が関わる中で、どのようにしてゴールを目指すのかにフォーカスしたトレーニングを紹介したい。(文・鈴木智之)
次の人が関わることのできるタイミングで縦パスを入れる
トレーニングは「2対2+2サーバー」を実施。縦16m×横12mのグリッドに、ミニゴールとサーバーを配置して行う。サーバーはワンタッチで落とすか、やり直しOK。シュートはワンタッチというルールだ。
村尾監督はトレーニング前に「2人の距離、ギャップを覗く、ワンタッチで差し込むところ、ファーストタッチ、3人目の関わりを入れていきましょう」と話し、プレーがスタートした。
その後、選手の様子を見ながら、デモンストレーションを披露。相手の逆を取り、前を剥く方法や、テンポを変える、ボールを動かすことを実演。的確なコーチングにより、選手たちの動きが変わり、パスがつながっていく。
また「サポートがない状態で、サーバーにボールを当てても意味がないよ」と指摘。「2人で縦に入れるタイミングを共有すること。次の人が関わることのできるタイミングで縦パスを入れよう」とプレーの狙いを提示していった。
「このトレーニングの目的は、サポートできる状態を作り、縦パスを入れること。人を使いながら、ギャップを狙おう」
ファーストタッチでボールを動かすと数的優位を作れる可能性が高まる
続いては「4対4+3ゴール」に移行。グリッドの両サイドにミニゴールと2つのゲートを設置し、ミニゴールへのシュートはワンタッチ。ゲートはドリブル通過で1点とする。
「ファーストタッチとワンタッチのコンビネーションを使ってゴールを狙おう。(中央の)ゴールを閉められたら、サイドを使うイメージを持とう」
このトレーニングで村尾監督が強調したのが、前向きに走ってくる選手を使うこと。「真ん中のゴールを狙うためにはどうする?」と問いかけ、「シュートはワンタッチというルールなので、ポイントに入ってボールを落とす人がいないとシュートは打てない」とアドバイス。
サッカーの目的であるゴールを目指しながら、中央のコースを閉められるとサイドが空くので、そこを狙っていくことがポイントだ。
「2人のDFにゴールを守らせると、サイドが空いてくる」と、プレーの優先順位を考えることの重要性を説いていった。
また、ファーストタッチにも言及し、どのような状態でも足元に止めるのではなく、ボールを動かすことで、相手のプレッシャーを回避することに触れ、ファーストタッチで一気に3対2を作ることができた選手に対して「そういうの大事だよ」と声をかけていた。
ほかにも「縦パスがないと、相手の矢印がボール保持者に来るので、プレッシャーを感じる。プレッシャーを回避するためにも、ゴール前に人が入ることが大事。そうすることでギャップや間ができてくる」と、わかりやすく説明していた。
トレーニングを通じて、村尾監督の声かけはシンプルでわかりやすい。ポイントを絞って声をかけ、デモンストレーションをしているので、選手も理解しやすいアプローチになっている。
動画ではトレーニングメニューに加えて、村尾監督の声かけやデモンストレーションの内容にも注視していただければと思う。
トレーニング後、村尾監督は次のように語った。
「今回紹介したトレーニングは、ファーストタッチ、ワンタッチプレーからの連続性、グループの連動の意識を高める狙いがあります。人と関わりながら局面を打開していくプレーが期待でき、チームでボールを保持しながら前進することや、局面を打開する力が身につきます。ぜひ日々の活動の参考にしてみてください」
良いトレーニングを繰り返すことで、良い選手へと進化する手助けをする。この難しい問いかけに、村尾監督は確かな指導力で答えを出している。
大山崎少年サッカークラブのトレーニング動画は、他では見ることができないので、これを機会にぜひ視聴してほしい。選手を成長させる指導の真髄を、垣間見ることができるはずだ。
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【講師】村尾雅人/
京都サンガFCU-15、京都サンガFCU-18、SP京都FC(JFL)でプレーし、その後、大山崎サッカースポーツ少年団(京都府)で指導者としての活動をはじめる。「第46回全日本U-12サッカー選手権」では、チームを初の全国大会出場に導き、ベスト8進出に貢献した。また、サッカーを楽しむための技術・戦術向上を目的とした指導を行うゴザールサッカースクールでも指導を行っている。
取材・文 鈴木智之