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低学年で身に付けておくパスコースを作る基本技術!サポートの原則を学びボールを保持する3対1の練習法

COACH UNITED ACADEMYでは、指導経験の浅いコーチに向けて、U-8~U-10年代を指導する際の参考になる動画を配信中だ。

低学年は自分とボールとの関係からスタートし、周囲の味方と関わりながらプレーすることなど、学びたい、知っておきたいことがたくさんある。

そこで今回はジュニア育成に定評のある、バロジュニアサッカースクール代表の野澤健一氏に「パスコースと判断力を向上させるトレーニング」を実施してもらった。

U-8~U-10年代を指導する際に「周囲との関わりの中で、サッカーの技術、戦術をどのように向上していけばいいのだろう?」と悩む指導者にとって、参考になる動画を紹介したい。(文・鈴木智之)

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トライアングルのサポートの原則を身につける練習法

野澤コーチは開始前、「グループでボールを保持するために、サポートする選手とボールを持つ選手が、いつ、どこへ、どのようにプレーすると効果的かをトレーニングします」と説明し、トレーニングに移っていった。

最初のメニューは「ハンドパス鬼ごっこ」。10m×10mのグリッドに攻撃3人、鬼1人が入り、攻撃側はボールを1個持ち、ハンドパスを行う。鬼はボールを持っている人にタッチするか、ボール奪取を狙う。攻撃は鬼にタッチまたはボールを取られないように、パスを回す。(鬼は時間で交代する)

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まずは浮き球を使って3対1を行い、次に「ボールを手で転がす」とルールチェンジ。そうすることで、攻撃側は鬼の手足に当たらないように、角度をつけたサポートが必要になる。

このように、徐々に難易度を上げ、サッカーに近づけていくことも、U-8~U-10年代を指導する際のポイントと言えるだろう。

野澤コーチは「ボールを持っている人の右手と左手に仲間がいるよね。左右の仲間は、鬼にボールを持っている人との間に立たれるとボールをもらえないよね。動くことが大事だよ」とていねいに説明。

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さらに「ボールを持っている人を、どんなところで助ければいい?」と投げかけ、子どもたちから考えを引き出していく。

「(仲間が)鬼の背中にいると通せんぼされてしまうから、鬼の手足が当たらないところに出ていくといいよね」と、パスを受けやすいところへ動くことをコーチングしていった。

野澤コーチはシンクロしながらアドバイスし、常に大きな声で、わかりやすく説明していた。このような雰囲気作りも、U-8~U-10年代を教える上で大切な部分だ。

3対1で必要なパス&コントロールの基本トレーニング

2つ目のメニューは「パス&コントロール三角形」。5mの距離で三角形を作り、各コーンに選手を配置。コーンを相手に見立て、コーンから後ろに離れてボールを受ける。パスを出した選手は、パスを出した先に移動し、その動きを繰り返す。

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野澤コーチは「グループでのボール保持を成功させるために、相手がいない、プレッシャーがない状態でのパスとコントロールの質にフォーカスしてトレーニングします」と話し、「相手がいないとリアリティがないので、コーチが追うようにして、少しずつプレッシャーをかけます。コーチはボールを奪わず、成功体験を増やします」と狙いを明かす。

トレーニング前、野澤コーチは「(1つ目の練習を経て)3対1でどうすればボールが取られないかわかった?」と投げかけ、「相手の背中に隠れないことが大事だったね」と念を押す。

「ボールを持っている人のどこに立ってあげれば良かったかな?」と質問をすることで、子どもたちから「右と左」という答えを引き出すと「今度、それを足で成功させるようにパスの練習をするよ」と説明していく。

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まずは「コーンを相手だと思って、ぶつからないように離れてボールを受けること」を伝えた後、ボールを次の相手に届けられるように、ボールが来た方から遠い方の足で止めることに言及。

「遠い方の足で止めると壁になるので、次のところへボールを出しやすい」とデモンストレーションを交えて説明していく。

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また、ボールが自分のいる位置からずれたときに、カバーする動きが乏しいことから「ボールがずれたときに対応できるように、その場で棒立ちになるのではなく、移動することでボールを止められるし、良いところにボールを止めると、ボールが蹴りやすくなる」といったことも実演を交えて伝えていった。

トレーニングはトライアングルパスを右回りで行った後、左回りを行い、左足で止めて、左足で蹴る動きを繰り返す。その後、コーチが笛を鳴らすと、反対周りにチェンジ。

最後は、右周り、左回りを自分で選び、コーチに取られない方向へパスを出すというルールに変更することで「周りを観ること」「状況に応じてプレーを変えること」にアプローチしていった。

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トレーニングを通じて、アドバイスをした後、子どもたちが上手くできたことを見逃さず、素早く褒める姿勢が印象的だった。このあたりの子どもたちとの接し方も参考になるので、全容は動画で確認していただければと思う。

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【講師】野澤健一/
長野県松本美須々ヶ丘高等学校から立正大学サッカー部を卒業後、JFLで165試合出場、AC長野パルセイロではJ3リーグに19試合に出場。
2014年に現役を引退後、指導者に転身し、AC長野パルセイロU-18のコーチや市立長野高校のコーチを務め、ボアルース長野(フットサル)の選手としてフットサルにも進出。
2017年に、北信サッカーの発展に貢献すべく、C.F.BARROを立ち上げ、スクールに加えてジュニアユースも設立。2023年現在ではU-15県トレセンのチーフコーチも務める。
JFA公認A級ジェネラル、JFA公認フットサルB級保有。