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キャッチングで大切なのは「手の形と構え方」。GK経験が少ない選手でもできる基礎技術向上のトレーニング

ゴールキーパーは勝敗に直結するポジションでありながら、GKコーチがいるチームは多くはなく、専門的な指導を受ける機会の少ないポジションでもある。

そこで前回より、アルゼンチン、ウルグアイでGKとしてプレーし、帰国後は奈良クラブや筑波大学蹴球部などで通訳兼GKコーチとして活動した経歴を持つ、座間亮太GKコーチによる「ジュニア年代から実践できる、キャッチングの基本トレーニング」を公開中だ。

現在は東京都国分寺市で活動するワセダJFC(4種)と国分寺フットボールアカデミー(3種)のGKコーチとして、ジュニア、ジュニアユース年代を指導している座間コーチによる、基礎を抑えるトレーニング。

後編では「キャッチング動作の実演」を通じて、GKの基礎技術を高める様子をお届けしたい。(文・鈴木智之)

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基準となる手の形と構え方を理解する

ジュニア年代から実践できる、キャッチングの基本トレーニング。後編は「ボールキャッチの実演」からスタート。コーチと選手が向かい合って立ち、コーチが投げたボールを選手がキャッチする動作を行う。

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座間コーチは「手の形と構え方を覚えよう」と話し、選手は最初にボールを持った状態で構え、コーチの合図でボールを真下に落とす。

そのタイミングで、コーチが構えの状態をキープしている選手に対してボールを投げるので、手の位置を変えずにキャッチする。

座間コーチは「ひじはどう?」「ボールはどこで捕る?」「親指の向きは?」など声をかけながら、正しい構えをレクチャーしていく。

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選手によって手の位置や指先の向きなどが違うので、コーチは細かく観て、逐一アドバイスを送ることがポイントだ。

ここでは「ひじを曲げて、手は顔が隠れるぐらいの位置で構え、そこにボールを収めるイメージ」とわかりやすくアドバイス。

ひじを曲げる角度、手の位置、指の角度などに注視する様子が、動画から伝わってくる。座間コーチが、どこに注目しているかを考えながら見ると、理解が深まるだろう。

ボールを捕ったときに「バチっ」と音がするときは、両手で均等にボールをキャッチできていない、もしくは指先だけでボールを捕っている証なので、そこにも注目したい。

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キャッチングでは前傾しすぎない姿勢も重要になる

続いて、構えの動作にトライ。1、2、3のリズムで前に出て、両足を開いて構える。そこに対して、コーチがボールを投げるのでキャッチする。

ここでは、ボールを捕ったときに、体が後ろに反ってしまうことを指摘。「ボールを捕る前に前傾姿勢になっているので、ボールを捕る勢い、上体を起こす勢いによって、上半身が後ろに行ってしまう」と説明。

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「前傾になりすぎず、リラックスして、反応しやすい状態を作ろう」とアドバイスを送る。

次に、座間コーチは「構えるときの足の広さは、肩幅を意識しよう。足幅が広いと、横に動きづらくなるし、跳べたとしても距離が出ない」とデモンストレーション。

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また、手を開いてボールをキャッチするとファンブルしやすくなるので、キャッチ時に「バチ」っという音をさせず、手のひら全体で捕ることがポイントだ。

「左手と右手の両方を同じタイミングで前に出し、ボールを収めよう」

以上でキャッチング動作の基本を身につけるトレーニングは終了。

座間コーチは「一つひとつを丁寧にやろう。ポイントを頭の中で意識をすること。自分の基準を作ると、ミスをしたときに何が違うかがわかるよ」と話し、こう続ける。

「そうすると、試合でミスをしたときに、同じミスを繰り返さなくなる。なぜミスをしたかがわからないと、プレーの安定性がなくなってしまう。それだと技術として定着せず、積み上げができなくなる」

今回のトレーニングでは、構えや重心、手の出し方、タイミングなどを細かく説明したが、「それもすべて、基準を持ってほしいから。基準ができると、自信を持ってプレーできるようになる。ミスをしても修正できるから、怖がる必要がなくなる」と、選手たちの背中を押す声かけで締めくくった。

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COACH UNITED ACADEMYの読者に向けては「今回紹介したトレーニングは、ジュニア年代以降、幅広く使うことができるものです。プレーの基準を持つことで、選手に自信を与えることができます。何が間違っていたかがわかるので、成長が早くなります」とアドバイスをくれた。

ぜひ動画を見て、キャッチのポイントを理解し、日々のトレーニングで活用していただければと思う。

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【講師】座間亮太/
1986年9月12日生まれ。東京都出身。高校卒業後、南米に留学しアルゼンチン、ウルグアイでGKとしてプロ契約する。帰国後指導者として活動をスタートする。
奈良クラブトップチーム(通訳兼GKコーチ)筑波大学蹴球部(通訳兼GKコーチ)ジョイフル本田つくばFCトップチーム(GKコーチ)などで指導し、現在は国分寺市にあるワセダJFC(4種)と国分寺FA(3種)のGKコーチとして活動している。