12.04.2023
くさびのパスを使うと攻撃のリズムが生まれる。攻撃を組み立てるパスと動き方を実践するトレーニング
クラブ創設3年目ながら、今年度のチビリンピック全国大会に出場し、静岡県1部のSリーグでも優勝を果たしたFCガウーショ。
今年度の「全日本U-12サッカー選手権大会静岡県大会」でも優勝を果たし、初となる全日本U-12選手権の出場を決めた。
チームを率いるのは、清水エスパルスやFC岐阜、福島ユナイテッドでプレーした、柴原誠氏。同クラブは、周りを見て判断することを大切にし、攻撃ではくさびのパスでスイッチを入れることで周りが連動し、多彩な攻撃を展開することをトレーニングしている。
前回より、柴原監督による「攻撃のスイッチを入れるくさびのパスと周りの関わり方」のトレーニングを公開中。素早く、正確な判断と、それに伴う技術の発揮を高め、連動した攻撃を展開していくためのトレーニングを紹介したい。(文・鈴木智之)
ボールを受けたらまずは、縦に展開することを意識する
後編のテーマは「攻撃を組み立てるパスと動き方を実践するトレーニング」。ここでは「3対3対3+1フリーマン」を実施。
設定としては、12m×10mの隣り合うグリッドに、中央のラインにフリーマンを置き、3対3対3を行う。
ルールとしては、ボールを奪ったら反対側のグリッドにパスを出し、ボール保持を継続する。守備は1つのグリッドに2人入り、もう1つのグリッドに1人が残る形で行う。
柴原監督は「ボールを奪ったら展開しよう」「方向があるので、縦を意識しよう」と、攻撃に関するアドバイスを送り、守備面では「後ろの選手が声を出す」など、連動したプレーの重要性を伝えていた。
また小学1年生から6年生までが混在してトレーニングしているのが特徴的で、良いプレーが出るたびに「ナイス!」「いいね!」と随時褒めていた。
そのほか「ファーストタッチでボールを動かそう」「ボールを持っている選手は縦を覗きながら」「味方をコントロールしよう」などの声かけで、意識すべきことをサポートし、プレーのポイントを伝えていく。
くさびのパスを受けた選手がどこにボールを落とすのかを予測する
途中から「フリーマンはターン禁止」「中央のラインを突破するパスはワンタッチ」に変更。そうすることで、フリーマンにボールが入った瞬間に、落としのパスを受けるための動き出しにフォーカスしていく。
柴原監督は「どうやって、ワンタッチでパスを入れる状況を作る?」と投げかけ、フリーマンが落とすボールを予測して、スペースに走り込んで受け、パスを出した選手に「ナイス」と声をかけていた。
この「落としを予測して動き出すこと」がポイントで、実際の試合でも、落としをスペースに入り込んで受け、ダイレクトで展開することで、チャンスになる場面は多い。
さらに、ワンタッチのパスを受ける選手の予測も重要で、攻撃側の選手が、2人のDFの間を通すパスを受ける準備をすることが求められる。
「仲間がDF2人の間を通しそうだなと思ったら反応しよう。そして、その反応を速くすること。中央のフリーマンにくさびが入るなと思ったら、反応を速くしよう」
加えて、フリーマンの落としを受けて、ワンタッチでパスを出す選手は、味方2人と守備の位置関係を見て、両方のパスコースから適切な方を選べるところまで持っていきたい。
動画ではプレーを止めて、どのように予測して動き出すのかを、柴原監督がレクチャーしているので、ぜひ映像で確認してほしい。
くさびのパスや周りの関わり方で、相手のリズムを崩せる
最後は「8対8」のゲーム形式で締めくくり。試合中も「切り替え」「カバーは?」「6年生がなんとかしてあげるんだよ」など、絶えずプレーに対してコーチングしていく。
トレーニング終了後、柴原監督は「攻撃のスイッチを入れるくさびのパスと周りの関わり方をテーマにトレーニングを行いました。くさびのパスや周りの関わり方で、相手のリズムを崩したり、攻撃側でリズムを作ることで、より良い攻撃に繋がります」と振り返った。
練習会場は小学校の校庭という、ボールが跳ねやすいコートながら、随所に良いプレーが見られた。
柴原監督の的確なコーチングに合わせて、静岡を制覇した選手たちのプレーの様子もぜひご覧いただければと思う。
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【講師】柴原誠/
1992年4月23日生まれ。清水エスパルスユースから2011年にトップチームへ昇格。その後、FC岐阜、福島ユナイテッドFCでプレーし、2014年に現役を引退。
引退後は、古巣の清水エスパルスのサッカースクールコーチに就任。2021年には、「世界」でも闘える人材を育成する「FCガウーショ」を設立。2023年度には「JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN東海」、「JFA 第47回全日本U-12サッカー選手権大会静岡県大会」でともに優勝し、チームを創設3年でジュニア年代の主要な全国大会出場へ導いた。