01.15.2024
タイミングよくアクションすることでチャンスを作る。2人目、3人目のコンビネーションを高めるTR
相手の守備を攻略し、ゴールを決めるために効果的なのが「複数人の連動」だ。そこで前回より、流通経済大学、流通経済大学付属柏高校の下部組織として活動する、クラブ・ドラゴンズ柏U-12コーチの鳥井翔太氏による「２人目、３人目のコンビネーションを使ったゴール前の崩し」のトレーニングを公開中。
多数のプロ選手を輩出する、流経グループ下部組織のクラブ・ドラゴンズ柏では、どのようなトレーニング、声かけを通じて「ゴール前の崩し」を向上させているのだろうか？
後編では「ゲーム形式でコンビネーションを磨く、実践トレーニング」をテーマに、試合を通じて、判断やプレーの基準を浸透させていく。（文・鈴木智之）
良い形でフィニッシュするために、相手の背後や間にアクションをして変化を起こす
「２人目、３人目のコンビネーションを使った、ゴール前の崩しのトレーニング」。後編最初のトレーニングは「３＋１サーバー対３＋GK」。
ゴール前の設定で、攻撃側は３人＋サーバーを使い、ゴールを目指す。守備側はボールを奪い、攻撃側の背後にあるミニゴールかライン突破を狙う。オフサイドは、ゴール前12ｍラインから適用するというルールだ。
鳥井コーチは「（前編で行った）２人のパスドリルや３人のコンビネーションからのシュートのイメージ、アイデアを大切にしよう。今回は相手がいるので、味方とのつながりやアイデアに加えて、相手を観てプレーしよう」とアドバイス。
さらにはプレーを見ながら「ゴール前のトレーニングなのに、ゴールに向かう意識を持った選手が少ない」と指摘。
「ゴールに向かうアクション、仕掛けを意識しよう。ゴールに向かうのは（前編でやった）ボールを持っている人が前を向いたとき。もう１つはターゲット（ゴールに一番近い位置にいる選手）にボールが入ったとき。そこで抜ける動き、寄る動き、相手の背後をとる、相手の間を割るプレーを増やそう。そのときのミスはOKだよ」
そして、ボール保持者が前を向いた瞬間に、相手の背後に抜け出て、ボールを受けた選手に対して「ナイスアクション！」と声をかけていた。
ほかに、「味方とのつながりを増やそう」「サーバーと誰かではなく、３人のつながりを作らないと突破できないよ」とコーチング。
「相手選手の背後を狙うアクションを起こすことで、相手選手の間や脇のスペースが空いてくる」と話し、「斜めのランニングで相手がついてきた。動きがあると相手に変化が生まれる。そこを見逃さずにフィニッシュまで持っていこう」とアドバイスを送っていた。
ゲーム形式でこれまでの練習メニューで行ったことを確認する
最後は「７対７＋１フリーマン」。GKを含むゲーム形式で実施し、オフサイドはゴール前12ｍラインから適用する。
鳥井コーチは「今日やった、ゴール前でのコンビネーションからの崩し、フィニッシュに積極的にチャレンジしよう。ゲームなのでビルドアップ、守備があってゴール前に行ける。総合的にしっかりやって、チャレンジできるゲームにしよう」と話し、ゲームがスタートした。
ここでは「切り替えを速く」「前はしっかりポジションを取る」「縦パスを覗いて」「スイッチが入った、つながる人数を増やす、アクション」といった声かけで意識付けをしていく。
また、ゴール前の場面でプレーを止めて「ここは相手ゴールを仕留めに行くところだよ」と強調。そこで、相手の背後を取りに行く動きや、相手の間をドリブルで割って入る動きをすることを伝えていった。
「ボールを持っている選手のところで時間がかかっているときは、周囲の選手がオーバラップやインナーラップをして、人と人の間や外側に人数をかけていこう」
鳥井コーチの声かけにより、良いプレーが出始めるので、詳細は動画で確認してほしい。以上でトレーニングは終了。鳥井コーチは次のように締めくくった。
「今回紹介したトレーニングは、ゴール前でのフィニッシュのバリエーションを増やす狙いがあります。このトレーニングを実施することで、ゴール前での個人のアイデア、チームでのイメージの共有、得点力アップにつながると思います」
今回のトレーニングは、ゴール前の崩しの意識、共通認識を持たせるための基準になるトレーニングだ。繰り返し観て、指導の参考にしていただければと思う。
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【講師】鳥井翔太／
RKU GK アカデミーで指導者としての活動をはじめ、國學院久我山高校・ジェファFC、Wingsでコーチを歴任し、2021年より現職。上部組織にあたるクラブ・ドラゴンズ柏U-15、流経大柏高校女子サッカー部のGKコーチも兼任し、幅広いカテゴリーでトップレベルを目指す選手たちの指導にあたっている。
取材・文 鈴木智之
