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相手を規制して、サイドに誘導してボールを奪う。日本代表選手を指導したコーチが実践する守備の原理原則

2023年度の「IFAリーグU-13 2023(茨城)」で1部リーグ優勝を果たし、関東リーグ昇格を決めた、水戸ホーリーホックU-13。

今年度からジュニアユースの指導に携わっているのが、長年、三菱養和SCで指導し、相馬勇紀選手(カーザ・ピアAC)や、中村敬斗選手(スタッド・ランス)、瀬古樹選手(川崎フロンターレ)など、多くの選手の指導に関わって指導をしてきた大槻邦雄氏だ。

大槻氏は現場の指導に加えて、2023年末には「やってみようサッカー (こどもスポーツ練習Q&A) 」を出版するなど、幅広い角度で選手育成に携わっている。

指導経験豊富な大槻氏による「ジュニアユース年代で抑えておきたい、守備の原理原則」をテーマにしたトレーニング。

後編では「守備の基本を実践する、ゲーム形式のトレーニング」を通じて、個人の判断をベースに、グループでボールを奪いに行くための考え方を身につけていく。(文・鈴木智之)

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守備のトレーニングでは、GKとの関係性を大切にする

後編最初のトレーニングは「6対6+GK」。縦60m×横45mのエリアで実施。大槻コーチは「これまでのトレーニング(※前編参照)は、1列の守備だったけど、ここから2列の守備になります」と説明。

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前3人、後ろ3人の2列なので、横ズレしながら、縦にズレて守備をする場面が出てくる。

そこで「(前列の選手は)プレスバックまでを考えて守備をしよう」とアドバイス。さらには前編のトレーニングで、味方同士の指示の声が少ないことに触れ、「もっと声を出そう。守備は強い闘争心持ってやらないと失点に直結する」と指摘。

前編同様、ゴールキーパーにもフォーカスし、「ディフェンスラインの背後に抜けてくるボールやクロスボールが入ってくる。ディフェンスラインのコントロールや、ボールに行く・行かないの判断も、後ろからコーチングしてあげよう」と声をかけていく。

実戦形式のトレーニングでは、ゴールキーパーが参加することも多い。指導する際は、フィールドプレーヤーへの指示ばかりになりがちだが、実際の試合ではゴールキーパーとディフェンスラインが協力して、守備をすることが重要になる。

そのため、トレーニングのときから、ゴールキーパーにも気を配るべきだろう。さすが経験豊富な大槻コーチ。ゴールキーパーとの重要性にも言及していた。

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トレーニングが始まると、プレーにシンクロしながら、前編で伝えたポイントを端的に伝えていく。

「中を閉じながら」「ポジションをとって」「中を閉じて相手を外に」「間を通されないように」

ここで重視したのが、守備は内側を閉じるポジションをとり、中から外を見られるようにしておくこと。

また、中の選手が早いタイミングで外に出て対応すると、中のスペースが空いてしまう。そのため、いつ、どのタイミングで外に出るかという、認知や判断にもアプローチしていった。

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前編では、相手を規制して、サイドに誘導し、予測のもとにボールを奪うことを繰り返し伝えていたが、ゲーム形式でもポイントは同じ。グループでボールの取り所を定めたら、パワーを持って奪いに行くことが重要になる。

さらには、攻撃の前線の選手に対し、自分の横をボールが通過したら、プレスバックして、味方とサンドしてボールを奪うことを強調。その他にも、守備の個人戦術からグループ戦術に発展させていくことについても触れているので、全容は動画で確認してほしい。

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守備には闘争心が必要。そのために重要なのが声のかけ方と雰囲気作り

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最後は「7対7+GK」をジュニア用のコートで実施。ここでは「ファーストディフェンダー役のセンターフォワードの選手を、チーム全体でコントロールしてプレーしよう」と話し、トレーニングがスタート。早速、これまで取り組んできた誘導、規制からボール奪取のシーンが出ていた。

以上でトレーニングは終了。大槻コーチは次のように締めくくった。

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「守備には約束事があり、グループ、チームで合わせていく作業が必要です。そして、絶対に守るんだという強い意志、闘争心がなければ成立しません。そのためには、トレーニングの中での声のかけ方、雰囲気作りがとても大切です」

さらに、こう続ける。

「トレーニングメニューはたくさんありますが、まずはサッカーを楽しませてあげることを大切にしています。今回のトレーニングに限らず、指導者が子どもたちと一緒になってサッカーを楽しむ気持ちを大切にしてほしいと思います」

今回の動画は、どのようにして、個人・グループに守備のベースを植え付けるのか。そのための考え方と方法論を知ることができる内容になっている。

ジュニア年代の指導者にも参考になるので、ぜひ繰り返し見て、指導に役立てていただければと思う。

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【講師】大槻邦雄/
1979年4月29日生まれ。
三菱養和サッカークラブジュニアユース、ユースを経て国士舘大学サッカー部でプレー。卒業後、JFLなどでプレーし、選手生活と並行して国士館大学大学院スポーツシステム研究科を修了。
2006年より三菱養和サッカースクールで指導者としてキャリアをスタートさせ、各年代で全国大会を経験。クラブとしての実績を残すとともに、相馬勇紀(カーザ・ピアAC)、中村敬斗(スタッド・ランス)、瀬古樹(川崎フロンターレ)など、述べ20人のJリーガーの指導に携わった。
現在はJリーグ水戸ホーリーホックでアカデミーの指導にあたっている。保護者も含めた多角的なアプローチで選手を育成するスペシャリストとして定評がある。中学校・高等学校教諭一種免許状(保健体育)を持つ。